日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第35回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: 35
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一般演題
Rituximabが治療抵抗性全身性エリテマトーデス(SLE)症例のリンハ゜球上P糖蛋白質発現に及ぼす長期効果
*辻村 静代齋藤 和義岩田 滋田中 良哉
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抄録

薬物排泄機構にてステロイト゛(ス剤)不応性を齎すP糖蛋白質(P-gp)はSLE疾患活動性に伴い, 病態に関与する活性化リンハ゜球に発現し, P-gp>1000molecules/cell又はP-gp高発現分画high expressing subgroup(P-HES)を伴う症例はス剤不応性である上に現行の免疫抑制療法が効果不十分であり, 治療強化・変更を要する. RituximabはB cell上CD20を標的とし, 治療抵抗性SLEに高い認容性と治療効果が得られる. そこでIVCYにても尿蛋白1.5g/日, BILAG A1/B2項目と多臓器病変が進行し, B cell上P-gp>1000かつCD4 T cellはP-HESを伴う症例にrituximabを投与した. 尿蛋白は速やかに消失して活動性低下, 末梢血B cellの消失に伴い, T cellのP-HESも消失, ス剤減量でき, 投与6ヵ月後に検出できた末梢血B cellにもP-gp発現を認めなかった. この後2年間再燃なく, 現在PSL4mg/日まで減量できている. Rituximab奏効症例はB細胞の消失にてT cell活性化も抑制され, かつ治療抵抗性がリセットされる可能性が示唆された. Rituximabは難治性病態の改善のみならず, 治療反応性の回復を齎し, 長期寛解維持を可能としうる.

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© 2007 日本臨床免疫学会
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