主催: 大阪大学保健センター、大学院医学系研究科身体防御健康医学
近年Epstein-Barr (EB) 95-8 ウイルスがコードするmicroRNAが報告された。EB ウイルス感染症と全身性エリテマトーデス(SLE) の発症・病態の関係については従来から様々な報告がされている。我々はSLE 患者と健常人でこれらmicroRNAを定量し比較した。 方法は、1)SLE 患者由来末梢血リンパ球でReal-time PCR 法により、EB ウイルスがコードする5個のmicroRNAを定量した。2)SLE 患者と対照健常人由来末梢血リンパ球にEB 95-8 ウイルスを感染させリンパ芽球様細胞株を作成した。それらの細胞株においてこれらmicroRNA を定量し、健常人の細胞株由来のものと比較した。3)SLE腎障害を起こす抗DNA抗体を産生するリンパ芽球様細胞株,O-81でこれらmicroRNA を定量し、SLE 患者由来リンパ芽球様細胞株由来のものと比較した。 結果は、1)SLE 患者由来末梢血リンパ球では、これらmicroRNAは検出されなかった。2)SLE 患者と対照健常人由来のリンパ芽球様細胞株では、これら5個のmicroRNAは共に検出できたがその量に有意差は認めなかった。3)抗DNA抗体産生リンパ芽球様細胞株, O-81においてこれらmicroRNAの発現レベルは、SLE 患者由来リンパ芽球様細胞株由来のものと比較して高かった。 従って、EBウイルスがコードするmicroRNAが、SLEの病態、特に抗DNA抗体産生能に関連している可能性が示唆された。