抄録
【背景】ほとんどの抗リウマチ薬は、IPを合併するRAへの投与についてIP悪化の注意が喚起されている。これらの注意喚起はIP合併例と非合併例を比較した検討に基いている。一方で、IP合併RAのみを対象とした抗リウマチ薬の安全性、有効性に関する報告は少なく、IP合併RAに対する薬剤の選択に苦慮するのみならず、積極的治療の妨げとなっている可能性がある。【目的】IPを合併するRAに対して、安全性・有効性が少しでも高い薬剤を選択したい。【方法】2008年11月~2009年1月の3か月間に当科を受診した患者を対象とし、IP合併RAにおける抗リウマチ薬の投与状況を調査、経時的に観察することとした。IPの定義は、(1)聴診でfine crackleあり+胸部Xpで網状影・すりガラス影あり、または(2)CTで間質影あり、とした。【結果】調査期間に受診したリウマチ性疾患患者は414人であった。このうちRAは243人(男性67、女性176)でIP合併は31人(男性16、女性15)であった。調査時点での抗リウマチ薬の内容は、ブシラミン(2)、サラゾスルファピリジン(6)、タクロリムス(13)、エタネルセプト(4)、エタネルセプト+タクロリムス(4)、抗リウマチ薬なし(2)であった。ステロイド薬は抗リウマチ薬なしの2人を含む24人に投与していた。【まとめ】IP合併RAの臨床像はこれまでの報告と同様であった。抗リウマチ薬の選択には偏りがあった。今後も経時的に観察を続けることで上記薬剤の有用性を検証する。