日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第37回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: 2-17
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一般演題
Tocilizumabの骨破壊および軟骨破壊抑制効果の機序の解析
*橋詰 美里三原 昌彦
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抄録
Tocilizumab (抗IL-6受容体抗体)は関節リウマチ(RA)患者での骨破壊および軟骨破壊を抑制するが、その作用機序は明らかでない。RA滑膜組織では、滑膜線維芽細胞の増殖が認められ、滑液中には滑膜細胞から産生された可溶性RANKLやMMPが高濃度に存在する。そこで、IL-6がRA患者由来滑膜繊維芽細胞 (RA-FLS) にRANKLおよびMMP-1, MMP-3, MMP-13発現を誘導するか検討した。RA-FLSにIL-6, IL-6+soluble IL-6R (sIL-6R)を添加して培養したところ、RANKLおよびMMP発現はIL-6+sIL-6Rのみが誘導した。sIL-6R存在下でIL-6により誘導されるRANKLおよびMMP発現はtocilizumabの添加で阻害された。IL-6+sIL-6RによるRANKLおよびMMP発現に対するSTAT阻害剤またはMAPK阻害剤の影響を検討したところ、RANKL発現はSTAT阻害剤で抑制され、MMP発現はMAPK阻害剤で抑制された。以上の結果から、tocilizumabはIL-6 trans-signalによるJAK/STAT経路を介したRANKL発現およびMAPK経路を介したMMP発現を抑制することにより骨破壊および軟骨破壊を抑制すると考えられた。
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© 2009 日本臨床免疫学会
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