日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
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第39回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: PW-43
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一般演題(ポスターワークショップ)
全身性血管炎・川崎病はスギ花粉に対する遅延型過敏性疾患であろう
*粟屋 昭
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抄録

[背景]全身性血管炎を惹起する川崎病は乳幼児特異的な急性発熱性疾患であり、1962年の学会報告後、今だ原因不明の疾患とされているが、2003年に粟屋&佐橋は、KDは花粉飛散・被曝と関連していることを1970年代からの両者の動態を比較して示した。 [方法]本報告では、1991~2002年の神奈川県KD発症数5,917名(自治医大公衆衛生学教室ご恵与data)と国立相模原病院観測・ご恵与dataの花粉飛散数との相関性を月別に回帰分析し相関マトリックスを作製した。 [結果]3月のすべての花粉合計数と各月のKD患者数との相関係数(c.c.)は、8月(0.88)、11月(0.72)、5月(0.68)、4月(0.66)であり、4月の全花粉合計数と8月のKD患者数とのc.c.は0.72、2月の全花粉合計数と7月のKD患者数とのc.c.は0.62であった。3月花粉数と各月の患者数の平均c.c.は、3月で0.60、10月で0.47、 7月で0.45、4月で0.35、2月で 0.31 であった。2月、3月、4月の花粉数は、年間花粉合計数のそれぞれ4.7%, 40.6%, 38.8%であり、スギ花粉の割合はそれぞれ93.8%, 84.3%, 10.9%であった。[結論]3月の花粉数、特にスギ花粉数と、遅延的に1~8ヶ月後の月の患者数との間に、有意な相関関係があることが示された。[推論]川崎病発症の際に起こるBCG接種跡腫脹は花粉再感作による遅延型過敏反応の全身的な亢進によるものと考える。

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© 2011 日本臨床免疫学会
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