抄録
潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)は10-20代に発症し再燃と寛解を繰り返す慢性炎症性腸疾患である。これまでの治療の中心は5-アミノサリチル酸製剤とステロイドであったが、この5年で炎症性腸疾患に対する治療法は劇的に変化している。その変化をもたらしたのは抗TNFa抗体製剤(インフリキシマブ、アダリムマブ)と本邦で開発されたタクロリムスである。これらの治療は単に臨床的に治療効果をもたらしたのみならず、腸管の粘膜治癒を得られることが明らかになっている。これまでの海外の成績および自験例より、粘膜治癒をもたらすことにより1)ステロイド減量・離脱効果、2)再燃率の低下、3)入院率の低下、4)腸管切除率の低下に寄与することが明らかになっている。これらの劇的な治療効果により、これまで治癒することがないと考えられてきた炎症性腸疾患が「治る時代」になる可能性も期待されている。本シンポジウムではUC、CDに対する抗TNFa抗体製剤、タクロリムスの治療成績・粘膜治癒効果・長期予後・安全性について、自験例および厚生労働省班会議研究からの結果を中心に発表する。さらに我々が試みている免疫調節薬、抗体製剤の新しい治療法の工夫や抗TNFa抗体製剤効果減弱例に対する治療法の選択についても紹介する予定である。