抄録
【背景・目的】関節リウマチ(RA)は多関節性滑膜炎とそれに伴う関節破壊を特徴とする全身性の炎症性疾患である。近年RA患者の関節液中にサイトカインIL-17が増加することが示され、IL-17を産生するリンパ球であるTh17細胞が注目されている。実際、Th17細胞はin vitroで骨吸収に携わる破骨細胞の分化を促進した(Sato et al., 2006)。破骨細胞分化のメカニズムを探る目的で、我々はRA患者由来滑膜細胞にIL-17を添加したサンプルを用いてトランスクリプトーム解析を行った。
【結果】意外なことに、従来IL-17の標的と考えられていた破骨細胞分化因子(RANKL)はIL-17刺激によって誘導されなかった。CXCL1など好中球遊走に関わるケモカインの誘導が顕著であり、またIL-6の誘導も認められた。これらの分子については、タンパクレベルでも誘導されていることを培養上清のELISAによって確認した。一方で、ヒト単球にRANKLを添加することによりin vitroで誘導される破骨細胞分化系において、CXCL1を添加しても分化は促進されないことを確認した。
【考察】IL-17による破骨細胞分化促進のメカニズムは、従来想定されたRANKL誘導とは異なる可能性がある。またIL-17は各種液性因子の産生を誘導することで免疫担当細胞の関節局所への遊走を制御すると考えられる。