臨床薬理
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症例報告
フレカイニド内服中に心停止をきたした高齢担癌患者の1例
小西 寿子志賀 剛瀬下 明良木村 利美
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2018 年 49 巻 4 号 p. 169-172

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抄録
症例は83 歳,男性.経皮的冠動脈形成術後に伴う心室期外収縮に対してフレカイニド 50 mg 1回 1錠 1日 2 回で服用していた.中部胆管癌を併発し,食事摂取量が減り,体重も減少した.他院でビタミン C 大量静注中に心肺停止を来し,心肺蘇生により心拍再開を得た.当院救急搬送後,心電図にてQT 間隔の延長 (0.76秒) を認め,フレカイニドを中止した (血中フレカイニド濃度は治療域であった) .さらに血清カリウム値が 2.0 mEq/L,血清アルブミン値が 2.7 g/dL と低値であったため,カリウム製剤による補正を行うとともにヒト血清アルブミン製剤 25 g/日の投与と中心静脈栄養を併用することで血清カリウム値も改善し QT 間隔が正常化した.本例では食事摂取不良による低栄養から低カリウム血症を来し,フレカイニドによる QT 延長作用が増強し心停止に至ったと考えられた.
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© 2018 日本臨床薬理学会
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