子育て研究
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Print ISSN : 2189-0870
NICU 卒業生の発達の予後
新版K 式発達検査2001 にもとづく定量的検討
沖潮 満里子登藤 直弥金重利典 金重利典
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2022 年 12 巻 p. 16-26

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抄録
本研究は、低出生体重児のどのような要因が発達の予後に関わるのか、包括的に捉える視点を得ること を目的としたものである。具体的には、新生児特定集中治療室(NICU)を卒業した児を対象に、出生時 体重を含めた様々な要因と新版K 式発達検査2001 の発達指数(DQ)にどのような関連があるのか定量的 な検討を加えた。その結果、まず出生時体重と各種DQ との間に有意な相関関係はみられないことが明ら かとなった。また、発達の予後を予測する要因として、退院時体重などといったNICU 在籍時の要因を用 いて行った重回帰分析や多変量回帰分析では、DQ の予測力が低く、NICU 在籍時以外の要因も含めること の重要性が示唆された。次に、DQ を利用した階層的クラスター分析では、対象児を2 つのクラスターに 分類できることが明らかとなった。これらのクラスターのうち、全てのDQ で定型群よりも有意にその値 が低くなるクラスターでは、定型群よりも認知・適応のDQ が有意に高くなるもう一方のクラスターに比 べて、男児の比率がより多く、在NICU 日数がより長く、そして退院時体重がより重くなっていた。これ らの結果からは、出生時体重以外の要因、NICU 卒業後に生じる様々な要因も、NICU 卒業児の発達の予 後に影響を及ぼし得るだろうことが示唆された。
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© 2022 日本子育て学会
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