2012 年 2 巻 p. 3-12
本研究の目的は、第一に、大学生が最もイメージする「子ども」の年齢層を調査により定義し、第二に、それに基づき大学生の「子どもへの関心」の程度を測定する尺度を測定し、それに関連する要因を探ることである。まず予備調査として大学生115名に「子ども」として最もイメージする年齢層を尋ねた結果、全体の約67%が「3~6歳の幼児」を挙げた。従って本調査では「子ども」を「(3~6歳の)幼児」と定義して検討した。本調査では、保育学、心理学を専攻する大学生247名を対象とした。その結果、子どもへの関心尺度は「好意的注目」「同情」「好奇心」「寛容性」の4下位尺度から構成されていた。この尺度について信頼性と妥当性を確認した後、関連する要因を検討した結果、幼児との接触経験が多い程、子どもへの関心が高い傾向にあった。また、「好意的注目」「好奇心」では女性の方が得点は高く、専攻別では全下位尺度で保育学専攻の方が得点は高かった。以上のことから、子どもへの関心は幼児との接触経験によって促進され、女性で高く、子どもを扱う学問を専攻する者で高いことが示唆された。