抄録
結晶性/非晶性ポリマーブレンドの融点が結晶性,非晶性双方の成分の分子量や組成にどの様に依存するのかを調べるために,ポリエチレンオキシド(PEO)/ポリメタクリル酸メチル(PMMA)ブレンドの融点を示差走査熱量計(DSC)で測定した。PMMAをブレンドすることで,PEO/PMMAブレンドは融点降下を示した。結晶性/非晶性ポリマーブレンドの融点に関する西-Wangの式によれば,本系がχ-パラメータが負の完全相溶系であることを示しているが,PEO,PMMA双方の分子量への依存性については,西-Wangの式で説明することができなかった。これらのことは,結晶性/非晶性ポリマーブレンドの融点を考える場合,平衡系の熱力学に基づいた平衡論的な議論だけでは不十分で,系内の高分子鎖の動き易さ等を考慮した動力学的な因子を考慮に入れる必要があることを示唆している。