新しい構造の多点式双子型伝導熱量計の開発・性能テストを行った。今回試作した熱量計は,互いに独立に操作できる12対の基準容器と試料容器がヒートシンクのアルミ・ブロック中で立体構造をとり,精密に温度制御された空気恒温槽に設置されている。このように設計された熱量計を用いることにより,従来多点同時測定に付随した種々の問題点が解決された。今回使用した空気恒温槽の温度変動は,±5×10-3K24h-1であり,熱量計の長期に亘るベースラインの安定性は8μWであった。性能テストとして行ったセメントの水和熱測定の結果からは,重大な誤差はなかった。また,セメントの水和熱に対して新しい知見が得られた。