抄録
地球システムは,大気圏,水圏,生物圏,地圏,人間圏というリザーバー(ボックス)からなっている。これらのリザーバー間では,物質とエネルギーの循環がなされている。長期的には,これらのリザーバーは定常状態にある。しかしながら,短期的には,地質現象(火山活動など)と人間活動(人間活動によるCO2の排出など)によって,リザーバー中の元素の量と濃度が大きな影響を受けている。
例えば,過去250年間,人間活動のCO2排出により大気中のCO2濃度が上昇してきた。多ボックスモデル(線形と擬線形モデル)に基づくグローバル地球化学サイクルシミュレーションは,過去及び将来の大気中のCO2濃度と気候(大気温など)の変化を明らかにするための有効な方法である。ここでは,過去(108年間,6.0×106年間,120年間)の大気中のCO2と気温の変化に関するこれまでになされたモデル計算結果を紹介した。計算の際の問題点(パラメータ値の確実性,仮定)について言及した。