2018 年 22 巻 1 号 p. 73-77
胎児心エコーで総肺静脈還流異常症を指摘され,重度の肺静脈狭窄を認めたため,選択的帝王切開術による娩出直後に肺静脈修復術を行った症例を経験した。娩出後の時間的猶予が予測困難なため,術前の多職種間合同協議で最重症例を想定した計画を立て,麻酔科医は児の麻酔管理と全体の監督を担当した。帝王切開により児を娩出し,両親と対面させた後,娩出9分後に児に気管挿管を行った。事前計画に基づく円滑なチーム連携により麻酔・手術経過に大きな問題はなく,児は集中治療室へ搬送された。胎児診断の精度向上により類似症例の増加が考えられるが,今回の経験を活かせるよう,日頃からのシミュレーションも有用と考えられる。