比較眼科研究
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ラットにおける光誘発網膜障害に対する各種眼科学検査法の検出感度の差異
小林 欣滋番 順子久世 博川合 是彰堀 正樹
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1994 年 13 巻 1-2 号 p. 1-2_17-1-2_28

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抄録

アルビノラット(Slc: SD系)および有色ラット(ACI/N系)を14日間にわたって連続照明下(120~190 lux)に置き,その間,瞳孔径測定,眼底検査,網膜電位図(ERG)記録および病理組織学検査を経時的に実施した。連続照明による網膜障害はアルビノラットにおいてのみ認められた。瞳孔径測定では,処置3日から散瞳がみられ,同5ないし7日に瞳孔径は最大となり,以後は縮瞳方向に転じた。眼底検査では,処置7あるいは10日に網膜動脈および網膜静脈の狭細化,眼底の反射性亢進ならびに視神経円板の顕在化がみられた。ERG記録では,処置1日から既にa波の頂点潜時延長および電位低下が認められ,同3日にはb波にも同様の変化が加わり,以後両波の異常の程度は進行し,同7日以降の波形はほとんど平坦化していた。病理組織学検査では,処置1日から視細胞外節に暗調物が出現し,以後退行性変化が進展し,同14日には部分的に視細胞層および外顆粒層が消失していた。眼底検査,ERG記録および病理組織学検査で確認された異常は,7日間にわたって通常の12時間照明下で飼育しても回復しなかった。今回実施した眼科学検査のうち,網膜障害を最も鋭敏に検出できたのはERGであった。瞳孔径測定も比較的早期に異常を検出し得たが,網膜障害と瞳孔径変動との関連についてはさらに検討を加える必要がある。

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© 1994 Japanese Society of Comparative and Veterinary Ophthalmology
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