比較眼科研究
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第15回記念年次大会一般口演
イヌ前眼房内への血液透析チユーブ装着の試み
長谷川 雅邦平見 博印牧 信行信清 麻子松浦 健二
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1996 年 15 巻 3-4 号 p. 3-4_131-3-4_136

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抄録

イヌの緑内障における外科療法として、血液透析用の中空糸による前眼房内装着を試みた。健常な雑種成犬4頭を用いて、左眼にのみ中空糸(膜厚:0.016mm、内径:0.125mm、泉工医科工業)を前眼房および結膜下組織に装着した。右眼は無処置または中空糸を装着しない疑似処置とした。術後療法は、抗生物質の点眼を1日3回とし、また抗生物質の全身投与も行った。アルコンPTGRとトノペンRを用いて、中空糸装着眼における処置後の眼圧変化について観察した。その結果、装着後1日から6日までの期間で装着眼の眼圧が無処置眼および疑似処置眼に比べ低値を示した。中空糸装着後の前房混濁は4眼中2例でみられたが、術後の経過とともに軽度のものとなった。中空糸へのフィブリン付着は外見上、術後1週より観察されはじめ6週では全4眼で見られた。走査型電子顕微鏡所見では装着中空糸へのフィブリン付着が外側面ばかりでなく内側面にもみられた。

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© 1996 Japanese Society of Comparative and Veterinary Ophthalmology
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