比較眼科研究
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資料
獣医学部学生を対象とする比較眼科学講義・実習に関する資料掲載に寄せて(解説)
福井 正信上田 八尋長 文昭
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1997 年 16 巻 3-4 号 p. 3-4_117

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抄録

'93年秋、米国Scottsdale市で開催の国際獣医眼科学会(ISVO)において、Prof. Bryanが学部学生対象の眼科講義・実習について、ひとつの提案を行った1)。この直後、米国獣医眼科学専門集団(ACVO)は本問題に関する委員会を設置し、その委員長に前記Prof. Bryanが指名された。脚注(1)

委員会は、'95年9月、ACVO幹事会(Board of Regents)に委員会報告を送付し、ACVO総会での討議は、'96年Maui (Hawaii)島での第27回年次大会の機会とされた。本報告の概要は、'95年9月横浜における世界獣医学大会(WVC)の眼科分科会にProf. Bryan自身により紹介され、米国のみならず広く世界に向けての提案として評価された。事実、Prof. Bryanは本報告起草に先立ち、米国内のみならず、カナダ、日本、オーストラリアなどの獣医師と面接し、意見を交わしたと前記報告書の送付状において説明している。

'84年秋、独国Hamburg市でのISVO大会において、Prof. Aguirre(米国)が責任者となって国際的な獣医眼科学講義・実習の標準化を図る委員会が発足し、その成果が'86年米国New Orleans市でのISVO大会に報告されると期待された。しかしながら、それは未だに実現していない。

'93年のScottsdale市でのProf. Bryanの報告1)は新鮮かつ衝撃的であり、われわれはその概要の比較眼科学会での紹介を、継続して同教授に依頼してきた。今回、委員会報告書を入手し得たため、国内で教育に従事する会員を中心に、講義・実習案作成時の資とされることを期待し、その全文を本誌に掲載を図った。近い将来、ISVOは中断している委員会の討議を再開し、報告書を常任理事会、総会に送付しよう。この過程でProf. Bryan起草の本報告書も有益な資料のひとつとして活用されよう。国内でも、それら海外の動きを視野に入れて、標準化に向けての活発な討議が行われることを望みたい。米国大学院(博士課程)における比較眼科学・獣医眼科学教育の内容(Gelatt, '95)2)とともに、本報告書が活用されれば、稿掲載につとめたものとして誠に嬉しく感じる。

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© 1997 Japanese Society of Comparative and Veterinary Ophthalmology
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