比較眼科研究
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原著
ビーグルにおける電気生理学的視覚機能検査法の検討
―パターンリバーサル網膜電図(P-ERG)について―
中山 直樹佐々木 正治樽本 保男
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1997 年 16 巻 3-4 号 p. 3-4_99-3-4_105

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抄録

ビーグルの毒性試験における電気生理学的視覚機能検査法の確立を目的として、パターンリバーサル刺激による網膜電図(pattern reversal-electroretinogram: P-ERG)を検討した。

雄ビーグル5~11匹(約10カ月齢、体重10~12kg)を用い、キシラジンおよび硫酸アトロピンの混合液を皮下投与することにより鎮静させ、散瞳剤の点眼により十分に散瞳後、P-ERGを測定した。測定は1週間から1カ月間の間隔を開け、2回行い再現性を確認した。その結果、ビーグルのP-ERGは、transient型およびsteady-state型ともにヒトのP-ERGと大変よく似た波形が記録された。transient型では36~39msecの間に陽性波が、89~105msecの間に陰性波が再現性良く記録され、振幅はchecker sizeの大きさに左右され、checker size 18cmで最も高振幅であった。また、steady-state型では500msecの間に3つのピーク(32~40、236~242および440~450msec)が認められた。

以上の結果から、P-ERGはビーグルにおいても再現性良く記録することが可能であり、ビーグルの毒性試験に電気生理学的視覚機能検査法として取り入れることが出来ると考えられた。

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© 1997 Japanese Society of Comparative and Veterinary Ophthalmology
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