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歯科衛生研究をすることは,自分自身の研究マインドを高めるだけでなく,歯科衛生士の専門性を高め,人々の健康の保持増進に寄与することに繋がります。歯科衛生研究は,日常の歯科衛生業務で疑問に思うことから始まります。本講演では歯科衛生研究へのアプローチの要点を簡単に解説します。
日常の歯科衛生業務の中から,「なぜ?」や「どうなるの?」などの疑問,すなわち「クリニカル・クエスチョン」を見つけます。「クリニカル・クエスチョン」を見つけたら,まずは文献で調べましょう。最も信頼できるのは,学術雑誌に発表された原著論文や総説です。文献で調べても解決できない疑問がリサーチ・クエスチョンとなります。
リサーチ・クエスチョンは研究テーマとしての具体性・新規性が求められます。研究を実施する前に,研究計画書を作成します。研究計画書には目的(緒言)・研究方法(研究デザイン・対象・材料・研究期間・研究場所・データの収集方法・分析方法)・倫理的配慮・文献を記載します。日本口腔衛生学会では,歯科衛生士会員の専門性の向上と学術活動の活性化を目的に「歯科衛生士研究支援事業」を行っています。全国に配置されたサポーティングメンバーが歯科衛生士会員の調査研究活動の相談・支援を行っており,この制度を活用することで効果的な研究計画を立案することも可能です。
多くの歯科衛生研究は人を対象とする研究であり,人間の尊厳と人権を尊重して実施することが求められます。所属機関や学会に設置されている研究倫理審査の承認を受け,「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」を遵守して実施します。
研究計画に沿って,研究を実施します。研究活動では,捏造,改ざん,盗用,剽窃などの不正行為は厳しく禁じられています。
学会は,様々な研究発表から知見を広げるだけでなく,自ら研究活動をして得た研究成果を発表することができる貴重な機会です。研究の成果を学会発表や論文発表することで,研究への他者からの客観的意見を受け,研究の自己の研究成果を可視化することができます。また広く公表することで歯科衛生学の発展に寄与できます。
犬飼 順子(いぬかい じゅんこ)
【現職】愛知学院大学短期大学部歯科衛生学科 教授
【職歴】1996年 愛知学院大学歯学部口腔衛学講座助手
2003年 愛知学院大学歯学部口腔衛学講座講師
2006年 愛知学院大学短期大学部歯科衛生学科助教授
(のち准教授)
2014年 愛知学院大学短期大学部歯科衛生学科教授
(現在に至る)
【著書・論文等】歯科予防処置論・歯科保健指導論,第2版,医歯薬出版,東京,2025.
新歯科保健ハンドブック ライフコースに沿った歯・口腔の健康づくりの展開にむけて,第1版,医歯薬出版,東京,2024.
歯・口腔の健康と予防に関わる人間と社会のしくみ1 保健生態学,第1版,医歯薬出版,東京,2023.
犬飼順子他:歯科衛生教育の学校区分別実体験レベル解析,日歯教誌41(2):23-34,2025.
犬飼順子他:歯科衛生士養成機関における歯科衛生教育の現状,日衛教育誌15(2):84-95,2024.(他)
【学会活動等】日本口腔衛生学会 代議員,認定制度運営委員会認定歯科衛生士認定部会委員,学会あり方委員会委員
全国歯科衛生士教育協議会 副理事長
日本歯科衛生教育学会 理事(他)