日本歯科衛生学会雑誌
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口演・ポスター発表
日本歯科衛生学会
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2026 年 20 巻 3 号 p. 38-99

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O-1 口演発表 20代女性における月経周期と口腔内環境の関連性

○鈴木 瞳1) 杉本久美子1) 德丸慶安1) 藤本来さき1) 佐藤由香1) 吉田奈永2) 吉田直美1)

1)東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 口腔健康教育学分野

2)東京科学大学病院オーラルヘルスセンター

キーワード 月経周期 歯周組織 口腔乾燥

【目的】 女性ホルモンが口腔内環境に影響するとされているが,女性ホルモン分泌が最も高い性成熟期を対象とした関連報告は殆どない。そこで,本研究では20代女性を対象に,月経周期と口腔内状況の関連を調べ,女性ホルモンの影響について検討した。

【対象および方法】 研究協力へ同意が得られた20代の健康女性19名(平均年齢±SD:23.2±2.8歳)を対象とした。月経期および月経開始14日後を目安とした排卵期において,安静時唾液量測定,歯周組織検査,プラークコントロールレコード(PCR),多項目・短時間唾液検査システム(ライオン株式会社,以下SMT)による唾液測定を行うとともに,口腔自覚症状について自記式質問票により回答を得た。月経期と排卵期におけるデータを統計学的に比較検討した。本研究は,東京科学大学歯学系倫理審査委員会の承認を得て実施した(D2023-011)。

【結果および考察】 安静時唾液量は,排卵期に比べて月経期で少ない傾向を示し,起床時の口の粘着きが「ある」と回答した者は月経期で有意に多かった。月経期に安静時唾液量が減少した者(n=10)は,排卵期に比べ,月経期のPCR値が有意に上昇する特徴がみられた。また,SMTの白血球値が排卵期に増加した群(n=9)と非増加群(n=10)に分類した結果,増加群のみ,排卵期で歯周ポケット値が有意に上昇し,PCR値が低下した。

【結論】 20代健康女性を対象とした調査より,月経期には安静時唾液量が減少する傾向が認められ,口の粘着き感の自覚,唾液減少に伴う口腔衛生状態の悪化が生じる可能性が示唆された。一方,排卵期には,口腔衛生状態に関わらず,歯肉炎症の指標である唾液中の白血球数の増加,歯周ポケットの局所的悪化を認め,女性ホルモンの影響を受ける可能性が示された。

O-2 口演発表 若年者の味覚へ与える影響の検討

○三浦碧巴1) 中濱有伽1) 水田百香1) 大林奈美2) 西村瑠美3) 内藤真理子3)

1)広島大学大学院医系科学研究科博士課程前期総合健康科学専攻

2)広島大学病院 口腔検査センター

3)広島大学大学院医系科学研究科口腔保健疫学研究室

キーワード 味覚 栄養摂取状況 口腔清掃状況

【目的】 味覚は食事をおいしく楽しむための主要な感覚であり,近年では若年者においても味覚機能異常が指摘されている。本研究では,若年者を対象に栄養摂取状況や口腔清掃状況が味覚に与える影響を検討することを目的とした。

【対象および方法】 若年成人65名(男性30名,女性35名,平均年齢22.2±2.5歳)を対象に味覚検査,質問紙調査,口腔衛生状態の評価を行った。味覚検査は,うま味と塩味に関して全口腔法味覚検査とTaste strips法による検査を行った。全口腔法では,味の感じ方を視覚的アナログ尺度で評価し,Taste strips法では味質を回答させた。質問紙調査では歯磨き習慣と簡易型自記式食事歴法質問票を用いた食習慣を調査した。また,細菌数測定装置を用いて口腔衛生状態を評価した。本研究は,広島大学疫学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(E疫-776号)。

【結果および考察】 味覚検査について性別で比較した結果,Taste strips法で塩味は全員が判別できていたが,うま味は男性の半数が判別できず,男女間に有意な差が認められた(p=0.012)。舌清掃の実施有無による口腔内細菌数と味覚検査結果に有意な差は認められなかった。全口腔法のうま味と塩味の感度には正の相関が認められ(rs=0.468, p<0.001),また,そば・うどんの摂取頻度とうま味感度に有意な正の相関が認められた(rs=0.249, 0.330, p<0.05)。

【結論】 健常若年者は塩味に比べてうま味の味の感度が低く,特に男性が女性よりうまみの感度が低いことが明らかとなった。また,うどん,蕎麦などの出汁を使用する食事の摂取とうま味の感度に相関を認めたことから,うま味に対する経験が味覚閾値に影響を与える可能性が示唆された。

O-3 口演発表 歯面滑沢感が及ぼす機械歯面清掃の患者満足度に関する研究

○松村佑季1) 上西よつ葉2) 矢木颯香2) 藤原奈津美1)

1)徳島大学大学院医歯薬学研究部 口腔保健医療管理学分野

2)徳島大学歯学部 口腔保健学科・学生

キーワード 患者満足度 歯面滑沢感 機械歯面清掃

【目的】 国民の歯科健診受診率は約半数にとどまり,受診率向上には患者の高い満足度が重要である。患者満足度は主観的評価に大きく影響され,治療後の爽快感が満足度に影響を与えることなどが過去に報告されている。今回我々は,歯科衛生士がプロフェッショナルケアとして行う機械歯面清掃後の歯面滑沢感が与える患者満足度への影響に着目して検討した。

【対象および方法】 天然歯を有する健常者5人を被験者(男性2名,女性3名)とし,3種の機械歯面清掃法(歯面研磨:P法,重炭酸ナトリウム/歯面清掃器:SAA法,エリスリトール/歯面清掃器:EAA法)を実施した。各試験後に主観的満足度評価(痛み・爽快感など)を質問紙にて調査し,さらに被験者は歯面滑沢感の変化を1週間記録した。客観的評価として,各試験前後に歯面の細菌数測定と,歯垢染色によるプラーク残存量をImage Jにて計測した。被験者の満足度と歯面滑沢感の関連性はスピアマンの順位相関係数を用いて検討し,歯面の細菌数およびプラーク残存量の時間変化はone-way ANOVAを用いて解析した(徳島大学病院生命科学・医学系研究倫理審査委員会承認番号:4562)。

【結果および考察】 主観的満足度評価において,EAA法による歯面清掃が最も満足度が高く,1週間の歯面滑沢感が持続されていた。また,歯面滑沢感と患者満足度には正の相関が示され,歯面滑沢感の持続は患者満足度の向上につながることが考えられた。細菌数変化は各清掃法によって有意な差は認めなかった。プラーク残存量評価において,EAA法は試験1週後の計測値が他の清掃方法に比べ有意に低かったことから,清掃効果の持続に優れることが考えられた。

【結論】 機械歯面清掃における歯面滑沢感の持続は患者満足度に関連し,なかでもEAA法は清掃効果の持続に優れていることが示唆された。

O-4 口演発表 知的障害のある生徒の歯磨きによる歯垢除去効果と精神年齢,認知機能,手先の器用さとの関連

○柴田佐都子1) 池田吉史2) 小川友里奈1) 松本明日香1) 吉田真綾3) ステガロユ ロクサーナ1) 濃野 要1) 大内章嗣1)

1)新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔生命福祉学講座

2)東京学芸大学教育学部

3)新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔生命福祉学専攻

キーワード 知的障害者(児) 歯磨きの効果 精神年齢 認知機能 手先の器用さ

【目的】 先行研究では福祉施設通所知的障害者を対象とし,実行機能に基づく歯磨き行動の評価で困難さを示した計画的遂行を補う歯磨きの指導・支援を実施し,その介入効果に社会生活年齢が関連することを報告した。また,知的障害者の歯磨きと手先の器用さ(MD)との関連を指摘する報告もある。本研究は対象年齢と関連要因を拡大し,知的障害者(児)の歯磨きによる歯垢除去効果(歯磨き効果)と精神年齢(MA),認知機能(CF),MDとの関連を検討することを目的とした。

【対象および方法】 特別支援学校(知的障害)の生徒28名(平均年齢15.4±1.8歳)を対象者とした。対象者の特性,口腔保健行動と手先の使用状況を質問紙で調査し,DI-S(歯磨き後の歯垢付着状態),DN-CAS(文字の追探し,文字の変換,系列つなぎ),M-ABC2(コイン入れ,ビーズのひも通し,線なぞり)を用いてそれぞれ,歯磨き効果,CF,MDを評価した。従属変数をDI-S,独立変数は,口腔保健行動と手先の使用状況,MA,DN-CASとM-ABC2の各粗点として回帰分析を行った(新潟大学倫理審査委員会承認番号:2019-0320)。

【結果および考察】 単回帰分析結果に基づき,独立変数をMA,DN-CAS文字の変換,M-ABC2ビーズのひも通しとした分析の結果,最終的な重回帰モデルでは,M-ABC2ビーズのひも通しのみにDI-Sと有意な関連が認められた(p<0.001)。本対象者の歯磨き効果向上には特にMDを考慮した支援が必要であると考えた。

【結論】 本研究の対象者の歯磨き効果にはビーズのひも通しのような手先の器用さが関連していた。歯磨き効果の改善には手先の器用さを補う指導・支援を検討することで指導方法のさらなる改善につながることが示唆された。

O-5 口演発表 慢性腎臓病療養管理に携わる看護師のオーラルフレイルへの認知に関連する要因の検討

○小原由紀1) 濵田昌実2) 小坂志保3)

1)宮城高等歯科衛生士学院

2)城西国際大学看護学部

3)東邦大学看護学部

キーワード 腎臓疾患 透析 口腔機能 医科歯科連携

【目的】 世界的な健康課題である慢性腎臓病(CKD)は,口腔乾燥,嚥下障害等を高頻度で引き起こすとされている。口腔機能が健康な状態と機能低下の中間にあるオーラルフレイル(OF)の予防は,CKD患者において重要である。そこで本研究では,CKD患者に日常的に関わる看護師のOFの認知度と関連要因を検証することを目的とした。

【対象および方法】 CKDに関わる看護師で構成される6団体にWeb調査を依頼した。調査項目は,腎不全看護従事年数,看護対象者の腎疾患状態,OFの認知度,口腔観察の実施状況,歯科医師および歯科衛生士との連携状況等とした。単純集計のほか,OFの認知の有無を従属変数とした二項ロジスティック回帰分析により関連要因を探索した(東邦大学倫理審査委員会承認番号:RE2024003)。

【結果および考察】 従属変数に欠損のない361名分のデータを分析対象とした。腎不全看護従事年数は,平均16.3年だった。OFの認知度については,「知っている」が34.8%,「聞いたことがあるが概念は知らない」が48.9%,「知らない」が16.3%だった。口腔観察を行っていたのは70.1%であり,歯科職種と連携していたのは34.9%であった。OFの認知に有意に関連する因子は,歯科との連携の有無(OR:1.76)だった。

【結論】 本研究の結果,約7割の看護師がCKD患者に対する口腔観察を実施している一方,OFの認知度は低く,歯科との連携は3割にとどまっていた。現状では,看護と歯科との連携は十分ではないが,本研究より歯科職種との連携強化がCKD患者へのOFに対する意識啓発につながり,早期の歯科介入が実施される可能性が示唆された。

O-6 口演発表 キシリトール咀嚼チェックガムを活用した高齢者の歯科保健指導について

○木村和子 工藤晃子 門前 瞳 向屋敷千恵子

軽米町健康福祉課 健康づくり担当

キーワード 高齢者の介護予防と保険事業の一体的実施事業 オーラルフレイル キシリトール咀嚼チェックガム行動変容

【目的】 高齢者においてむせる,固いものが噛みにくいことはオーラルフレイルの入り口として見逃せない。しかし住民のほとんどが高齢だから仕方がないとあきらめ,些細な症状であるために無意識のうちに機能低下が進んでいる場合が多い。今回は固いものが噛みにくいために起こりうるオーラルフレイルを予防するため,キシリトール咀嚼チェックガムを用いた歯科保健指導について報告する。

【概要および方法】 特定健診の問診票において高齢者の質問票のむせる・固いものが噛みにくいと答えた75歳以上の住民に対し,4カ所の会場で「噛み力アップ教室」と題し3回コースで教室を開催した。教室参加者は45名。評価項目を①歯数②聖隷式質問紙③口腔乾燥度④オーラルディアドコキネシス⑤咀嚼チェックガム判定⑥舌の清掃状態とし課題解決のための指導を実施した。キシリトール咀嚼チェックガム咀嚼能力判定をアプリで数値化し,他の評価と組み合わせて歯科保健指導や歯科受診勧奨を行った。結果をまとめるにあたり参加者から書面で同意を得ている。

【経過および考察】 ガムの判定数値を示すことにより歯科保健指導および歯科受診勧奨の説得力が増し,対象者が生活改善や歯科受診をするなどの行動変容につながった。従来の色の判定だけではなくアプリで数値化されたものを示すことで効果的な指導ができた。

【結論】 問診で固いものが噛めてないと答えても,数値においてよく噛めている場合があり咀嚼の自信につなぐことができる。噛めていない場合,キシリトール咀嚼チェックガムの明確な数値判定に基づいての歯科保健指導や歯科受診勧奨を行うことができ,よく噛める環境につなげられる有効な手段であった。

O-7 口演発表 オーラルディアドコキネシス/ka/は軽度認知機能低下と相関する

○石原裕一1) 田口 明2) 湯之上志保1) 武儀山みさき1) 細久保和美1) 政井美南海1) 野原佳織1) 新明 桃1) 鬼木隆行1) 内山 章1) 佐治直樹3) 松下健二3,4)

1)ライオン歯科衛生研究所

2)松本歯科大学

3)国立長寿医療研究センター

4)大垣女子短期大学

キーワード 軽度認知機能低下(MCI) 認知症 オーラルディアドコキネシス 多項ロジスティック回帰モデル

【目的】 歯の喪失は咀嚼機能低下に影響を及ぼし,栄養不良を引き起こし,認知機能の低下や認知症の発症・進行の一因となることが報告されている。そこで,健常者,軽度認知機能低下(MCI),認知症に分類される外来通院患者を対象として,口腔機能と認知機能の関係を明らかにすることを目的に研究を実施した。

【対象および方法】 某センターもの忘れ外来に通院する178名(年齢中央値:79.0歳,女性49.4%)を対象とし,インフォームドコンセント後,臨床的認知症評価(CDR)を用いて認知機能を評価した。口腔機能は現在歯数,咬合力,舌口唇運動機能オーラルディアドコキネシス(ODK),反復唾液嚥下テスト(RSST),舌圧を評価した。認知機能と口腔機能の関係は,多変量ロジスティック回帰分析を用いて評価した。本研究は長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会(承認番号1533),ライオン歯科衛生研究所倫理審査委員会(承認番号LDH202107)承認のもと実施された。

【結果および考察】 被験者は健常者25名,MCI 92名,および認知症61名にそれぞれ分類された。ODKカ音の連続発音(/ka/)はMCIの高リスクと関連し,RSSTは,認知症の高リスク傾向と関連していた。MCIとODK/ka/に関連があったことから,歯科医療機関でMCIや認知症患者を検出できる可能性があり,これからの認知症の予防に役立つのではないかと考えられた。

【結論】 ODKカ音の連続発音回数の低下はMCI発症と関連していた。

O-8 口演発表 頭頸部がん化学放射線治療中の口腔カンジダ症発症リスク因子に関するケースコントロール研究

○桜井愛弓1) 河島美帆1) 盛 啓太2) 安藤千賀子1) 永嶺愛美1) 大塚智子1) 石田杏果1) 加藤美結1) 岡久美子1) 百合草健圭志1)

1)静岡県立静岡がんセンター 歯科口腔外科

2)静岡県立静岡がんセンター 統計解析室

キーワード 口腔カンジダ症 頭頸部がん 化学放射線治療(CRT) リスク因子

【目的】 頭頸部がんに対する化学放射線治療(以下,CRT)において,口腔カンジダ症(以下,カンジダ症)と口腔粘膜炎(以下,粘膜炎)の関連が報告されている。両者の発症予防はCRT完遂のために重要だが,CRT中のカンジダ症の発症リスク因子に関する報告は少ない。本研究ではCRT中のカンジダ症の発症リスク因子を解明することを目的とした。

【対象および方法】 がん専門病院単施設でX年1月からX+1年2月までにCRTを受けた頭頸部がん患者195名を対象とし,後ろ向きに調査を行った。カンジダ症を発症した15名を症例群,年齢マッチングにより選出した75名を対照群とし,二項ロジスティック回帰分析を用いて,各リスク因子におけるカンジダ症発症のオッズ比(OR)を算出した(静岡県立静岡がんセンター臨床研究倫理審査委員会承認番号:J2025-1-2025-1)。

【結果および考察】 統計解析について,単変量解析では,上顎義歯のみの使用(OR=5.1, 95%信頼区間(CI)1.2–22.0),粘膜炎Gr.2以上(OR=6.0, 95%CI 1.6–23.2),経腸栄養の使用(OR=6.4, 95%CI 1.6–26.1),多変量解析では,粘膜炎Gr.2以上(OR=8.3, 95%CI 1.5–44.4),経腸栄養の使用(OR=13.3, 95%CI 2.1–82.8)が有意なリスク因子だった。義歯床がカンジダ菌の温床となること,粘膜炎のためにセルフケア困難となること,経腸栄養の使用は口腔内の自浄作用低下・セルフケアへの意識の低下をもたらすことが発症へ繋がる可能性が考えられた。

【結論】 CRT中のカンジダ症発症のリスク因子が明らかとなった。本研究は,頭頸部がん患者における口腔衛生管理の質的向上に寄与する知見を提供するものである。

O-9 口演発表 術後肺炎リスク低減における術前歯科介入時期の検討─2週間前介入の臨床的意義─

○古田久美子1) 廣岡昌史1) 小手川雄一1) 坂本ゆり1) 三宅映己1) 河本裕美子2) 日野聡史3) 内田大亮3)

1)愛媛大学医学部附属病院 総合診療サポートセンター

2)愛媛大学医学部附属病院 診療支援部

3)愛媛大学医学部附属病院 歯科口腔外科・矯正歯科

キーワード 術前口腔機能管理 術後肺炎予防 介入時期

【目的】 某大学病院ではPFM(Patient Flow Management)の一環として,入院前から周術期口腔管理を推進している。術後肺炎は主要な術後合併症であり,手術前の口腔機能管理の有効性は既に報告されているが,その最適な介入時期については明らかとなっていない。本研究の目的は,術後肺炎予防における術前歯科介入の最適な時期を明らかにすることである。

【対象および方法】 2019年4月から2023年3月に某大学病院で全身麻酔下に手術を受けた,消化器がん,肺がん,心臓弁膜症,頭頸部がんの患者1,806名を対象とした。歯科介入の開始時期と術後肺炎の発症との関連を後ろ向きに解析した(愛媛大学医学部臨床研究倫理委員会承認番号:2403002)。

【結果および考察】 対象者1,806名中,1,159名(64%)が歯科医師の指導の下,歯科衛生士による術前の口腔機能管理を実施した。術後肺炎を発症した症例はすべて,手術前2週間以内に口腔ケアを開始した群に限られており,手術2週間以上前に介入を開始した群では発症は認められなかった。術後肺炎の発症率が,手術2週間以内に介入を開始した群で高かったことから,「術前2週間以内」という時期が,術後肺炎発症に関連する重要な閾値である可能性が示唆された。これにより,術後肺炎のリスク低減にはより早期の介入が重要であり,早期からの口腔機能管理が,肺炎を含む術後合併症の予防に有効であることが明らかとなった。また本研究は,入院前からPFMと連携した歯科介入体制の整備が,術後肺炎予防において重要であることを示している。

【結論】 術前の口腔機能管理は術後肺炎の予防に有効であり,特に手術2週間以上前の早期介入が重要である可能性が示唆された。今後は,PFMの一環として,入院前からの口腔機能管理体制の標準化が望まれる。

O-10 口演発表 安全な麻酔管理を目指した術前口腔スクリーニングの有用性

○山﨑淳子1) 山村佳子2,3) 高鹿栞帆1) 森本夢菜1) 佐藤優希1) 菅原佳奈子1,2) 平澤貴行1,2) 石川晴士4) 川越いづみ4) 篠原光代1,2)

1)順天堂大学医学部附属順天堂医院 歯科口腔外科

2)順天堂大学医学部 歯科口腔外科学研究室

3)順天堂大学医学部附属練馬病院 歯科

4)順天堂大学医学部附属順天堂医院 麻酔科・ペインクリニック

キーワード 術前口腔スクリーニング 麻酔管理 歯科的トラブル 周術期口腔管理

【目的】 大学病院術前外来は,安全な麻酔管理と術後合併症の軽減を目的に,2019年に開設された。とりわけ,麻酔症例件数が多く,全症例への歯科介入が困難な状況であることから,術前外来での口腔スクリーニング(以下,術前口腔スクリーニング)の役割は大きい。今回,歯科衛生士による術前口腔スクリーニングを実施し,その有用性について検討したので報告する。

【対象および方法】 術前外来にて,入院説明,薬剤師による服薬チェック,麻酔科診察と併せて歯科衛生士2人による術前口腔スクリーニングを実施した。スクリーニング内容として,動揺歯や不良補綴物・口腔衛生状態などの口腔状態を評価し,歯科介入が必要な症例の抽出を行った。術前外来での歯科への依頼内容や麻酔管理時の歯科的トラブルを集計した。また,麻酔科医を対象に術前口腔スクリーニングの有用性に関するアンケートを実施した。本研究は順天堂大学医学系研究等倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号:E24-0131)。

【結果および考察】 術前口腔スクリーニングでは,37名/日の患者の問診内容と口腔状態,麻酔管理時の注意喚起を行った。口腔スクリーニングにより,歯科的トラブルは術前外来開設前と比較して開設後は有意に減少した。麻酔科医は術前口腔スクリーニングにより歯科的問題が認識でき,その有用性を実感していた。

【結論】 歯科衛生士による術前口腔スクリーニングは歯科的トラブルを未然に解決し,安全な麻酔管理に寄与していることが示唆された。

O-11 口演発表 回復期病院における回復期口腔機能管理料算定患者の動向

○松本真佑里 西尾英莉 大脇利美 大崎佳奈 河野陽子 木谷悠麻 下村紗輝 野村月乃 谷口明日香 芝辻豪士

ときわ病院 歯科口腔外科

キーワード 回復期口腔機能管理 入院時口腔アセスメント 高齢者 かかりつけ歯科 栄養

【目的】 回復期口腔機能管理料の算定患者について,回復期病床・地域包括ケア病床を有する回復期病院における動向を調査した。

【対象および方法】 2024年6月~2025年2月に入院し口腔アセスメントを実施した患者のうち,回復期口腔機能管理料を算定した患者を対象とした。調査項目は,年齢,性別,入院時栄養状態(Geriatric Nutritional Risk Index; GNRI),口腔機能管理内容,入退院時の食形態・食事量変化,かかりつけ歯科医院の有無とした(ときわ病院倫理委員会承認済R6-3)。

【結果および考察】 新規入院患者994名中,口腔アセスメント実施者は同数であった。歯科介入が必要と判断されたのは839名(84%)であったが,同意を得て介入に至ったのは420名(42%)であった。420名の平均年齢は84.9±8.4歳で,入院時GNRIでは栄養の重度リスク75%,中等度リスク19%,軽度リスク5%,リスクなし15%であった。口腔機能管理内容は,専門的口腔ケア86%,義歯治療16%,抜歯6%,歯の治療5%であった。かかりつけ歯科医院がない患者は57%であった。入院患者は低栄養であることが多く,経口摂取促進には口腔環境改善が不可欠である。本調査では80%以上の患者に歯科介入が必要であり,多くは専門的口腔ケアを要する状態であった。これはかかりつけ歯科医院のない患者が多いことが一因と考えられる。入院時アセスメントでの歯科受診勧奨と,介入患者への診療情報提供による退院後の口腔機能管理継続システムの構築が必要である。

【結論】 回復期病床の入院患者は栄養状態・口腔環境ともに不良であり,口腔機能管理が不可欠である。積極的に回復期口腔機能管理を実施し退院後も継続させるためには,入院時口腔アセスメントが重要である。

O-12 口演発表 現実的には限界が。患者家族からの要望に対する応え

○中西春菜 永野伸一

永野歯科医院

キーワード 訪問歯科診療 患者家族 認知症 理想と現実

【目的】 訪問歯科診療でしばしば出くわすであろう,患者本人ではなくその家族からの歯科への要望。患者家族から見れば決して無理難題な要望ではないと思っている課題に対してどこまで答えていけるのか,答えようのないところに達した時にはどう向き合っていくか。今回は義歯の使用について,患者家族は入れ歯を入れてほしいという希望に対し歯科側としては使用を継続するのが困難であると思われる認知症を患う患者2症例を報告する。その際の診療対応と家族への説明の仕方も課題となった。尚,症例報告に際して個人情報保護に配慮した。

【症例の概要】 1例目。往診の依頼者は患者の息子である。主訴に対する治療方針は義歯作成が望ましいが,患者に対応した歯科衛生士はこの初診の段階で義歯を使いこなせるかどうか…と疑心あり。これは患者の意思疎通の程度をみて直感的に感じてそう思うところでもある。この直感はのちに答えとなる訳だがこれをどう伝えるか,微妙なニュアンスが伝わるか。結果として患者家族からは,なぜ作ったのに使わないのかと疑問をなげられる事態となった。2例目では,前例を教訓に事前に歯科の見解を伝えたものの患者家族の義歯使用の要望が強かった。入れ歯を入れて食べさせてあげたい,症例に限らず多くの人が望むであろう課題に対して試行錯誤して歯科医師の指示の下,義歯使用を試みた。理想(家族の願望)と現実(医療の限界)との乖離は我々にも悩ましいものである。

【経過および考察】 認知症・見当識障害では義歯の使いこなしも難易度が上がる。両症例共に患者には義歯を使う意思意欲はほぼ無いが,その状態を家族は理解するのかそれとも否定するのか。

【結論】 後者であれば十分な説明が不可欠であるため施設からでは説明しきれない微妙なニュアンスを伝える必要がある。結果として義歯の使用が不可能となった場合でも伝えたことには意味がある。

O-13 口演発表 有料老人ホーム入所中のワレンベルグ症候群患者の経口摂取希望依頼の取り組み一症例

○桝井悦子 前川隆太郎

くるみ歯科

キーワード ワレンベルグ症候群 PAP 口腔粘膜ブラシ 泡沫状唾液 多職種連携

【目的】 経口摂取を強く希望するも,評価や訓練に難渋する症例がある。特に性格的要因か疾患由来かの判断が困難な場合,対応が複雑化する。本症例では言語の壁も加わり,多職種連携を強化しながら嚥下機能の改善と食道入口部の開口獲得を目指した経過を報告する。

【症例の概要】 60歳代スペイン人男性。X年-1年1カ月に延髄梗塞によるワレンベルグ症候群を発症。慢性心不全の既往あり。嚥下内視鏡スコアー5点,中等度。退院後,有料老人ホームに入所。訪問介入あり。盗食し2回の窒息事故を起こし禁食となった。胃瘻管理下で半固形食2100Kcal/日。上下顎に部分義歯装着,高口蓋。泡沫状唾液を吐出し嚥下困難を呈していた。介護支援専門員と内科医の協議により認定歯科衛生士を希望され,某歯科医院が担当となった。本発表にあたり同意書にて同意を得た。

【経過および考察】 スマートフォンの翻訳機を用いて意思疎通を図るも,評価に非協力的な場面があり訓練に支障をきたした。頸部聴診やパルスオキシメータにより客観的評価を行い,口腔粘膜ブラシ使用時の事象や反応に応じて訓練を調整。歯科医師は舌接触補助床(PAP)作製と嚥下訓練,歯科衛生士は口腔粘膜ブラシ指導と訓練支援,施設職員は日々の訓練実施と観察を担い,内科医も助言を行った。2カ月後,舌圧は粘膜ブラシ前19.6kPa,実施後48.1kPa,PAP装着後53.3kPaに改善。食物が不明瞭なムース食等では泡沫状唾液が増加し嚥下困難は変わらないが,本来の食形態で本人の希望する食べ物を見せた後・口腔粘膜粘膜ブラシの実施・PAP使用・上肢のリラクゼーション・適切な姿勢保持を行うことで,日本蕎麦や煎餅など3回連続で食道入口部が開口し嚥下が可能となった。

【結論】 多職種の連携と情報共有により訓練の質と継続性が向上し,2カ月で3回連続嚥下の獲得につながった。

O-14 口演発表 開業医からみた口腔がんの経過 第9報 某歯科医院の病理診断と異なる経過を辿った2症例

○永野伸一

永野歯科医院

キーワード 病理診断 臨床診断 異なる結果

【はじめに】 某歯科医院における病理結果と異なる病理診断となった症例と,がんか腐骨か判断がつかなかった症例ががんと診断された症例の経過を発表する。なお,今回の発表に際しては倫理的配慮を十分したうえ患者本人の同意を得ている。

【症例の概要】 症例1 初診から34年経過しており,定期的に歯周病管理をしていた模範的な女性の患者である。症例2 主訴:義歯がゆるい。右歯肉に白色病変と残根あり。義歯調整と抗生剤を投与する。他覚的には変化なし。

【経過および考察】 症例1 X年+1カ月後当院に来科。カンジダ(+)1週間後病理検査をした結果,肥厚性カンジダ症の可能性があるとの診断。カンジダ症に対する軟膏を1週間塗布。表面は炎症状態がやや少退する。その後経過観察としたところ3週間後,痛みがあるため治療のできるところを紹介して欲しいと強く訴えたため,近医(公立病院)を紹介する。紹介先で舌がんの診断をされ,がん専門病院に転送される。その後の経過は不明である。

症例2 4日後,病理検査を施行した。がんか壊死組織かの判別は不明である。1週間後,さらに2カ所から病理切片を取る。やはり的確な判断がつかず。カンジダ検査にて(+++)の感染を起こしていたので,その治療を開始するも来院せず。3カ月後来院。やや病変は拡大しているので近医(公立病院)に紹介する。他覚的にがんとの診断のもと専門病院に転送された。その後の経過は不明だが,3年後には死亡が確認されている。

【結論】 多くの要素から,がんの確定診断が困難なことがある。患者の理解度やコンプライアンスなどにより治療開始が遅れてしまうことがあり,患者に対する説得の力量が問われる場合を紹介した。

O-15 口演発表 キメラ抗原受容体遺伝子改変T細胞療法患者へのオーラルマネジメント

○井上真佑1) 河田尚子1) 竹林香菜1) 宮井沙也加1) 福田怜央1) 野﨑文彩1) 上田美帆2) 岸本裕充2)

1)兵庫医科大学病院 歯科口腔外科

2)兵庫医科大学 医学部 歯科口腔外科学講座

キーワード キメラ抗原受容体遺伝子改変T細胞療法 感染管理 オーラルマネジメント 抜歯

【目的】 キメラ抗原受容体遺伝子改変T細胞(以下,CAR-T)療法とは,患者のT細胞にキメラ抗原受容体を遺伝子導入した細胞が患者の腫瘍細胞を攻撃する免疫細胞療法である。某大学病院では1回目の入院でリンパ球採取を行い,他院での約5週間のブリッジング療法を経て,2回目の入院ではリンパ球除去療法後にCAR-Tの投与を行う。CAR-T療法を遂行するためには,全身の感染管理が求められる。同院血液内科では,CAR-T療法が保険承認された当初から治療を実施し,2024年には51件の実績がある。同院歯科口腔外科ではCAR-T療法前の全例にオーラルマネジメント(以下,OM)を行っているが,歯科口腔外科受診のシステムを変更する契機となった症例を経験したので報告する。

【症例の概要】 患者:50歳代,男性。多発性骨髄腫に対してCAR-T療法を予定していた。前院の歯科口腔外科の受診歴があったため,血液内科より2回目の入院時OM依頼で歯科口腔外科を受診した。本発表について,患者より同意を得た。

【経過および考察】 前院で口腔の感染管理は行われていると血液内科で認識され,歯科口腔外科の受診が2回目の入院時となった。初診時,口腔衛生状態は不良で,抜歯適応歯があり,翌日より11本の抜歯,専門的口腔清掃とブラッシング指導を実施した。口腔衛生状態は改善し,抜歯窩の治癒は良好であった。抜歯のためにCAR-T療法は当初より2週間延期したが高い治療効果を示した。CAR-T療法は2回の入院を要し,綿密なスケジュール管理が必要で,予定変更は容易ではない。本症例を経験し,他院での歯科受診歴に関わらず,1回目の入院で歯科口腔外科受診を徹底するシステムに変更した。

【結論】 CAR-T療法患者には抜歯の治癒期間を考慮した早期からのOMの介入が重要である。

O-16 口演発表 住民健診時における歯周病スクリーニング検査の結果と口腔保健行動に関する調査

○川村佳美1) 小林 薫1) 森若専太1) 山下友里1) 大塚雅子1) 藪口陽平1) 河井将輝1) 丹生重光1) 渡辺一平2)

1)アドテック株式会社

2)アドテック株式会社内診療所

キーワード 住民健診 歯周病リスク検査 スクリーニング 口腔保健行動

【目的】 近年,歯周病と様々な全身疾患との関連が明らかになっており,歯科疾患を予防し口腔機能を維持・向上させることは,健康寿命の延伸にもつながる。しかし,令和4年度歯科疾患実態調査によると,過去1年間に歯科検診を受けた者は58.0%にとどまり,受診率の向上と住民への普及啓発が課題である。本研究では,住民健診時に歯周病スクリーニングツールによる簡易検査を実施し,検査結果の提示が口腔保健行動に与える影響を把握することを目的とした。

【対象および方法】 令和6年度住民健診に参加した者のうち145名(男性44名,女性101名)を対象とした。健診案内に簡易検査(無料)のチラシを同封し,当日も個別に声掛けを行い参加者を募った。簡易検査の結果と,問診票および検査後に記入するアンケートの結果から,口腔保健行動との関連について集計を行った(アドテック倫理審査委員会承認番号:第250311号)。

【結果および考察】 簡易検査の結果はA(低リスク)が100名(69.0%),B(中リスク)が26名(17.9%),C(高リスク)が19名(13.1%)であった。1年以上受診がない者72名(49.7%)のうち,71名(98.6%)が「今回の結果を受けて定期健診や治療を受けようと思ったか」の問いに「強く思った」または「まあ思った」と回答した。健診と同時に簡易検査を行い,リスクを可視化することで,歯科受診の動機付けとなると考えられた。しかし,あくまで動機付けのみであるため,歯科受診につながるような仕組みづくりや,受診に結び付いたかの確認が重要である。今後は,行政との連携を通じて地域住民の健康課題改善に貢献することを目指したい。

【結論】 特定健診や骨粗鬆症検診等と同時に簡易検査を行うことで,健康寿命延伸への寄与が期待される。

O-17 口演発表 主観的咀嚼能力の変化が血液検査値およびBMIにおよぼす影響の検討

○稲垣貴惠1) 市川奈央子1) 青木 稜1) 河原賢二1) 塙 智史1) 三森教雄2)

1)一般財団法人 明治安田健康開発財団 健康増進支援センター

2)一般財団法人 明治安田健康開発財団 明治安田新宿健診センター

キーワード 主観的咀嚼能力 健診データの利活用 生活習慣病

【目的】 主観的咀嚼能力(以下,咀嚼能力)の悪化が生活習慣病に関わる血液検査値とBMIにおよぼす影響を検討する。

【対象および方法】 2018年から2023年度に某健診センターを受診し,特定健診の質問票にある「食事をかんで食べる時の状態はどれにあてはまりますか(選択肢『何でもかんで食べることができる(以下『何でもかめる』)』,『歯や歯ぐき,かみあわせなど気になる部分があり,かみにくいことがある』,『ほとんどかめない』)」に回答した39,482名(平均4.6回受診)のうち,『何でもかめる』と回答した翌年度に『ほとんどかめない』と回答した受診者を対象とした。「何でもかめる」と回答したA時点,「ほとんどかめない」と回答したB時点における中性脂肪,HDL,空腹時血糖,HbA1c,GOT,GPT,γ-GTPの血液検査値とBMIに関してWillcoxon符号付順位検定を用いて比較した(有意水準5%)。明治安田健康開発財団倫理審査委員会で承認を得て実施した(承認番号:202401)。

【結果および考察】 解析対象は62名(0.16%)で男性41名(66.1%),年齢中央値49.0歳(範囲:22〜72歳),47名(75.8%)は複数回受診したうち1回のみ『ほとんどかめない』を選択した。検定の結果,BMI中央値はA時点22.68,B時点22.72になり有意差があった(p=0.005)。中性脂肪,HDL,空腹時血糖,HbA1c,GOT,GPT,γ-GTPでは有意差がなかった。本研究では咀嚼能力が低下するとBMIが高くなるという示唆を得た。

【結論】 今後はさらに継続的な咀嚼能力の変遷を確認し,個人属性や生活習慣の要因とあわせて多変量解析することで咀嚼能力低下がおよぼす影響や健康状態の可逆的ターニングポイントを探索していく。

O-18 口演発表 骨折リエゾンサービスにおける歯科の役割─退院時情報提供の実態─

○永井彩絵 守谷恵未 中野有生 佐藤穂香 村上正治 釘宮嘉浩 横山惟子 中村純也 渡邉 剛 田中誠也

国立長寿医療研究センター

キーワード 骨折リエゾンサービス 骨粗鬆症 薬剤関連顎骨壊死 かかりつけ歯科 退院支援

【目的】 骨折リエゾンサービスは多職種連携により脆弱性骨折患者の二次骨折を予防する取り組みであり,某病院では医師,歯科医師,看護師,薬剤師,放射線技師,理学療法士,管理栄養士,歯科衛生士が協働し大腿骨近位部骨折手術患者を対象に実施している。薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)予防,早期発見のために退院後歯科受診を促し情報提供を行うことは重要である。本報告では大腿骨近位部骨折患者の骨吸収抑制薬(ARA)投与率,かかりつけ歯科の有無及び診療情報提供書・歯科衛生士によるサマリの実施率について述べる。

【対象および方法】 対象は2023年4月から2024年2月に某病院で大腿骨近位部骨折に対する手術を行った患者59例(平均年齢85歳,男性16例)とした。入院前後のARA投与状況とかかりつけ歯科の有無,退院時の歯科医師による診療情報提供書,サマリの実施状況について調査した(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター倫理利益相反委員会承認番号:1856)。

【結果および考察】 入院時のARAの未投与患者は51名であり,そのうち42名に入院中に投与が開始された。対象者59名中33名(55%)に診療情報提供書やサマリでの情報共有がされた。ARA投与患者において,かかりつけ歯科がある患者29名中14名,かかりつけ歯科を持たない患者20名中14名に情報提供が行われた。

【結論】 MRONJ予防のためには,かかりつけ歯科がない患者に対して退院後の歯科受診を促すためには情報提供の実施率の向上はもちろんのこと,診療情報提供書やサマリなどの書面だけでなく退院前に本人や家族,施設職員に対して口腔内所見,ARAやMRONJについて直接情報提供を行う必要があると考えられる。退院時に必ず情報提供できるように病院のシステム化や病棟看護師との連携を行うなどの対策が必要と考えられた。

O-19 口演発表 ウォッシャーディスインフェクター使用時における超音波スケーラーチップの蛋白質除去効果

○柏井伸子1) 川口順也2) 庄司卓也2) 樋掛明洋2) 本多功知2)

1)有限会社ハグクリエイション

2)株式会社モレーンコーポレーション

キーワード 超音波スケーラー 蛋白質 ウォッシャーディスインフェクター 数値化 教育

【目的】 超音波スケーリングにはキャビテーションやイリゲーション効果があり,天然歯やインプラントのメインテナンスに活用される。使用済みチップは滅菌前の洗浄で確実に蛋白質を除去するが,省力化を目指し器械洗浄が普及しており,その洗浄効果を検証した。

【対象および方法】 株式会社ナカニシ社製超音波スケーラーチップ31本に,欧州基準の羊血100μLを塗布し,30分間室温乾燥させ試験対象物とした。洗浄は株式会社モレーンコーポレーションのウォッシャーディスインフェクターアルノを用い,蛋白質の熱変性を考慮し熱水消毒と乾燥工程は経ず,予備洗浄,中性酵素系洗浄剤での45度10分間の洗浄,すすぎとした。その後クリーンケミカル株式会社製PQ CLEANING TEST KITを用いて残留蛋白質を抽出し,OPA(ortho-phthalic dialdehydeオルトフタルアルデヒド)法で定量し評価した。

【結果および考察】 洗浄後の残留蛋白質量(㎍)は,最小値5.5(検出限界)未満,最大値490.7,中央値67.1であった。一般社団法人日本医療機器学会の『医療現場における滅菌保証のガイドライン2021』では,洗浄後の残留蛋白質量は200㎍下と勧告されている。今回は28本に許容範囲内の洗浄効果が得られたが,3本では基準値を超える残留量が確認された。このバラツキの原因としては,チップ差し込み箇所への洗剤の接触量不足が考えられ,差し込み角度および深度を考慮する必要がある。

【結論】 高性能な医療機器が上市されても特性を把握した運用が必須で,効率化により患者対応の時間を創出し,医療安全確立を追求すべきである。学生や新人教育において数値化された情報を示すことが,実益性の高い教育の一助となると考える。

O-20 口演発表 カンジダに対する抗菌ペプチドナイシンAと抗真菌薬の併用効果

○仁井谷善恵1) 太田耕司2) 矢野加奈子2) 北﨑ほなみ2) 劉 禮禎2) 兼保佳乃2) 重石英生2) 木村真菜1) 竹本俊伸1)

1)広島大学大学院 医系科学研究科 口腔保健管理学

2)広島大学大学院 医系科学研究科 公衆口腔保健学

キーワード カンジダ ナイシンA 抗真菌薬

【目的】 ナイシンA は,Lactococcus lactis が産生する抗菌ペプチドであり,グラム陽性菌に殺菌的に働くことが報告されている。一方,カンジダはがん周術期など免疫低下によって,口腔カンジダ症を発症する。ナイシンA は抗菌薬と併用すると,細菌に対し,併用効果があることが報告されているが,カンジダに対する効果は不明である。そこで本研究では,ナイシンA と抗真菌薬併用によるカンジダに対する効果について検討した。

【対象および方法】 Candida albicansNon-albicans カンジダ属標準株に対するナイシンAと各種抗真菌薬(アムホテリシンB,ミコナゾール,ミカファンギン)併用による増殖抑制効果をチェッカーボード法で検討した。ナイシンAと各種抗真菌薬の併用によるカンジダ属標準株に対する殺真菌効果,バイオフィルム活性の抑制効果を検討した。口腔より分離したC. albicans臨床分離株16株,C. glabrata 8株の各種抗真菌薬の増殖抑制効果に対するナイシンAの影響を微量液体希釈法によって検討した(広島大学倫理審査委員会E-3139)。

【結果および考察】 ナイシンA単独ではカンジダ属標準株に対して増殖抑制や殺真菌効果は認められなかった。ナイシンA と各抗真菌薬との併用によってカンジダ属標準株の増殖に対して相加,相乗抑制効果が認められた。ナイシンA は,C. albicans, C. glabrata に対するアムホテリシンB の殺真菌効果を増加した。ナイシンA によって各種抗真菌薬のバイオフィルム活性の抑制効果が増加した。カンジダ臨床分離株に対して,ナイシンAは各種抗真菌薬の増殖抑制効果を増加した。

【結論】 ナイシンAは,カンジダに対する抗真菌薬の増殖抑制や殺菌作用を増加させることが示された。

O-21 口演発表 タバコ煙抽出物が口腔粘膜上皮細胞における核酸導入で誘導される抗ウイルス遺伝子に及ぼす影響

○北﨑ほなみ1) 太田耕司1) 兼保佳乃1) 仁井谷善恵2) 矢野加奈子1) 竹本俊伸 2) 重石英生1)

1)広島大学大学院 医系科学研究科 公衆口腔保健学

2)広島大学大学院 医系科学研究科 口腔保健管理学

キーワード タバコ煙抽出物 ウイルス摸倣核酸 ウイルス認識受容 口腔粘膜上皮細胞

【目的】 喫煙は口腔粘膜の免疫応答に影響を与えることが報告されているが,タバコ煙抽出物(Cigarette Smoke Extract:CSE)がウイルス感染によって惹起される口腔粘膜上皮の宿主防御応答に与える影響についてはよくわかっていない。そこで今回,口腔粘膜上皮細胞におけるウイルス摸倣核酸の細胞内導入で誘導される抗ウイルスに関連する白血球遊走因子CXCL10やウイルス認識受容体の発現誘導に対するCSEの影響を検討した。

【対象および方法】 タバコの煙からリン酸緩衝溶液中にCSE を抽出した。不死化ヒト口腔粘膜上皮細胞(RT7),正常口腔粘膜上皮細胞にCSEを30分間前処理後,二本鎖RNAのPoly(I:C),二本鎖 DNAのPoly(da:dt),単純ヘルペスウイルス由来の二本鎖DNA(HSV)を細胞内導入し,12時間後の全RNAを抽出,cDNAを作成した。抗ウイルス白血球遊走因子CXCL10やウイルス関連受容体(RIG-I, IFI16, ACE2)の発現誘導をReal-time PCR法によって検討した。

【結果および考察】 口腔粘膜上皮細胞の細胞内に二本鎖核酸を導入することによってCXCL10やウイルス認識受容体の発現が著しく誘導された。CSEは単独の添加ではCXCL10や各種ウイルス関連受容体の発現に影響は与えなかったが,二本鎖核酸導入によるCXCL10の発現誘導やウイルス関連受容体の発現誘導を抑制した。

【結論】 CSEが口腔上皮細胞内に侵入した際に認識されるウイルス関連受容体の発現誘導を制御することで,抗ウイルス白血球遊走因子の発現誘導を抑制することが示唆された。タバコの煙が,口腔粘膜上皮のウイルス感染の際に惹起される初期免疫応答を抑制することが示唆された。

O-22 口演発表 某病院における周術期口腔機能管理に関する質問紙調査─前回質問紙調査と比較して─

○朝田萌映 荒木弘子 泊 紀美 木田莉里佳 西村玲香 三浦有紗 宮﨑優里 中村真之介

伊勢赤十字病院歯科口腔外科

キーワード 周術期口腔機能管理 質問紙調査 口腔ケア

【目的】 周術期口腔機能管理とは原疾患へ対する直接的な治療ではなく補助的なものである。患者の口腔内への意識変化や口腔機能管理への満足度の見直しを行い,質の向上を図ることを目的とした。

【対象および方法】 対象は化学療法や放射線療法を受け3カ月以上某病院歯科口腔外科にて口腔機能管理を行った患者で2025年3月の1カ月間,以前に調査した内容と同じ質問紙調査用紙を86人に配布し,全て回収した(伊勢赤十字病院倫理委員会承認ER2024-118)。

【結果および考察】 受診のきっかけは主治医や化学療法室で勧められたのが79.0%を占めた。口腔有害事象等に関しての歯科口腔外科スタッフからの説明に対しては97.7%が分かりやすかったと答え,口腔内を清潔に保つ意識が88.4%の方が上がったとの回答であった。歯科口腔外科受診の開始前後を比べて,ブラッシング回数は変わりましたかの質問に対しては,受診開始前1日1回で開始後に2回が21人,1日2回から3回が12人,1日2回から4回が1人であり,回数が増加したのは39.5%であった。しかし治療前後で変化なしが51人で59.3%であった。また,待ち時間に関しては91.9%がちょうどよいと感じていた。歯科口腔外科での周術期口腔機能管理は95.4%が受けて良かったと回答した。これらは前回とほぼ同じであった。しかし疾患治療後に定期的なかかりつけ歯科を受診しようと思っているかの質問に対して,わからないや思わないと回答したのは,前回29.9%に対して今回は44.5%と増加していた。

【結論】 前回の質問紙調査と比較して,今回も化学療法または放射線療法時の歯科口腔外科での周術期口腔機能管理に対する満足度は高いと考えられた。また,治療後のかかりつけ歯科の定期受診に関しては今後の課題とし,近隣歯科との連携を強化するなどかかりつけ歯科を受診するための工夫が必要であると思われた。

O-23 口演発表 化学放射線治療を行った患者に対する支持療法としての歯科的介入

○木下小百合1) 仲川洋介2) 河上真緒2) 伊地知由賀1) 藤川慶乃1) 綿松静香1) 畠中利英1) 山川延宏2)

1)奈良県立医科大学附属病院医療技術センター

2)奈良県立医科大学口腔外科学講座

キーワード 支持療法 CRT スペーサー

【目的】 頭頸部癌に対する化学放射線療法(CRT)では口腔有害事象が問題となる。特に高用量の放射線治療を受けた患者の重度口腔粘膜炎の発生率は約85%とされ,口腔粘膜炎のような有害事象の対策に当科では,歯科衛生士による口腔衛生管理に加え,口腔粘膜保護剤であるエピシル®や粘膜炎予防のためのスペーサーの作製等の介入を行っている。今回,頭頸部癌患者のCRTに対して当科で行った介入の現状について報告する。

【症例の概要】 患者は70歳代男性で,上顎洞癌に対して耳鼻咽喉科で動注併用放射線治療が計画され,治療中の口腔衛生管理及びスペーサー作製依頼で当科紹介となった。初診時より,歯科衛生士は口腔衛生管理を開始した。

【経過および考察】 治療開始後,週1回の口腔衛生管理を行った。14Gy照射時より上唇・口蓋にGrade1(CTCAEv3.0)の口腔粘膜炎が出現した。26Gy照射時からは,軟口蓋から咽頭部にも口腔粘膜炎が出現しGrade2と増悪し,エピシル®の使用を開始した。36Gy照射時には,同部の粘膜炎はGrade3となった。しかし,舌上の粘膜炎や味覚障害は認めなかった。また粘膜炎にエピシル®を使用したことで疼痛コントロールを図り,経口摂取は継続しながら治療完遂した。なお,発表に際して本人の同意を得ている。

【結論】 口腔衛生管理により局所感染を予防できたことやスペーサーの使用で舌等の正常粘膜への照射量が低減されたことで口腔粘膜炎が難治化することなく経過した。その結果,放射線治療が完遂するまで経口摂取が可能であり,患者のQOLが保たれたと考える。今回の症例では,頭頸部癌患者のCRTにおいての支持療法としての歯科的介入が重要であることが示唆された。

O-24 口演発表 歯科診療所におけるがん患者の受診の実態

○山浦 岬 青木久美子 万歳陽子 柏木淑江 桝本 緑 高木史野 岩間總一郎

医療法人 相志和診会 岩間歯科

キーワード がん患者 診療所 周術期口腔機能管理

【目的】 平成24年度に保険診療に周術期等口腔機能管理料が収載され約12年が経過した。NDBオープンデータでは病院内歯科での算定は増加しているが診療所での算定はいまだ少ない。今回,診療所を受診したがんの既往がある患者の診療録を後ろ向きに調査し,診療所におけるがん患者受診の実態を把握することを目的とした。

【対象および方法】 2024年4月から2025年3月までの1年間に某歯科医院を受診し,がん既往の詳細を聴取していた92例を対象とした。診療録より性別,年齢,原発部位,治療内容,情報提供書の有無等について抽出した。

【結果および考察】 男性38例(41.3%),女性54例(58.7%),平均年齢66.6歳であった。原発部位は頭頸部が26例(28.3%)と最も多く,乳腺が15例(16.3%)と続いた。治療内容は手術のみが41例(44.6%),化学(放射線)療法のみが25例(27.2%)であった。情報提供書有が29例(31.5%)であった。周術期等口腔機能管理対象であったのは術前が5例(5.4%),化学療法中が6例(6.5%)であった。問診でがん治療について聴取できていたが,周術期等口腔衛生管理と担当歯科衛生士が捉えられていなかったのが22例(23.9%)あった。診療所での周術期等口腔機能管理算定数が増加しない原因には,病院からの紹介がない,患者が周術期等に歯科受診を必要と認識していない等が考えられるが,今回の結果から,周術期等口腔衛生管理が必要な患者に対して,診療所の歯科衛生士が適切な対応ができていない可能性が示唆された。

【結論】 今回の調査で通常の口腔衛生管理のみならず周術期等口腔衛生管理ついて,診療所の歯科衛生士が認識し,知識を向上させ,患者へ啓発できる能力が必要と考えられた。

O-25 口演発表 早期口腔管理が口腔環境の改善とともに定期的な歯科受診に導いた一症例

○佐久間愛 麻生幸男

麻生歯科クリニック

キーワード 早期口腔管理 う蝕予防 リスク評価 小児

【目的】 超高齢社会を迎えた日本において,健康寿命の延伸が大きな課題となっている。歯科においては,口腔の健康を維持することが求められ,特に定期的な口腔管理が重要である。今回,幼少期から歯科医院に通院し,定期的な口腔衛生管理を行うことで,う蝕の発症リスクが抑制できた患者を報告する。

【症例の概要】 患者は16歳男性(初診時0歳9カ月)。右側下顎乳前歯舌側粘膜に白色潰瘍があり,上皮真珠の疑いを主訴に来院した。Plaque Control Record(PCR)62.5%であったため,口腔環境の改善,口腔管理の必要性を説明し,3カ月ごと定期的に口腔衛生指導や予防処置を実施した。本発表にあたり同意書にて同意を得た。

【経過および考察】 0歳から2歳までは手遊びや音楽に合わせた歯磨き教室を実施し,3歳からは母子分離での口腔衛生管理を行った。DMFTは0であったが,細菌検査よりう蝕リスクが高いことからフッ化物配合歯磨剤の使用,食生活指導,フッ化物歯面塗布を実施した。8歳時には矯正治療を開始し,治療期間中も口腔衛生指導を継続した。矯正治療終了後も定期的に通院し,軽度の歯肉炎を認めるが,新たなう蝕の発症はなく,口腔内環境は良好に保たれている。これより,幼少期からの定期的な口腔管理が,口腔環境の改善とともに,う蝕予防において重要な役割を果たすことが示唆される。また,早期からの口腔衛生管理は,予防に対する意識を高め,歯科医院への親しみを育み,今後の口腔健康維持にも繋がると考えられる。

【結論】 本症例において,幼少期から定期的に歯科医院に通院し,口腔環境の改善により,現在に至るまでう蝕の発症を抑制できている。また,定期的に歯科医院に通院する習慣が身につくことにより,口腔健康への意識を高め,生涯を通じた口腔衛生管理に繋がる可能性が示唆された。

O-26 口演発表 歯科衛生教育でアドバンス・ケア・プランニングを理解するための「もしバナゲーム」の有用性

○新井 恵1) 平野裕子2)

1)埼玉県立大学保健医療福祉学部健康開発学科口腔保健科学専攻

2)埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科

キーワード 歯科衛生教育 アドバンス・ケア・プランニング もしバナゲーム

【目的】 「もしバナゲーム」を通じて,アドバンス・ケア・プランニング(以下,ACP)教育の資料を得ることを目的とした。

【対象および方法】 2025年1月にA大学口腔保健科学専攻4年生30名を対象に,授業で米国で開発された終末期医療における医師と患者のコミュニケーションツールの日本語版である「もしバナゲーム」を行い,無記名で質問紙調査をした。性別,年齢,質問1「自分の最期の過ごし方を考えることはありますか」,質問2「家族や友人などと人生の最期の過ごし方について話すことはありますか」,質問3「病を患う前に最期の過ごし方を考えてもよいと思いますか」,質問4「もしバナゲームは最期の過ごし方を考えるきっかけになりましたか」,質問5「もしバナゲームをほかのメンバーでもやってみたいですか」は4件法で,質問6「もしバナゲームを行ってどのような気づきがありましたか」は自由記述とした。結果は記述統計とKH Coderで分析した。埼玉県立大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(24125号)。

【結果および考察】 回答者は29名(回収率96.7%)で全員が女性,平均年齢は22.5歳であった。質問1,2は,「思う」と回答したのは16人(55.2%),13名(44.8%)であった。質問3,4,5は29名(100%)が「思う」と回答した。自由記述では「人」,「自分」,「大切」,「違う」,「考える」,「最期」,「死生観」が多く抽出された。「人」は「それぞれ」,「違う」,「価値」との関連が強かった。「自分」や「人」の頻出は,自己や他者について深く考える機会を得たと考えられた。ACPは個人の価値観や希望を明確にするプロセスであり,ゲームを通じて認識が深まった可能性がある。

【結論】 「もしバナゲーム」は自己認識や他者理解,価値観の再認識に寄与し,ACPを理解するための一助となることが示唆された。

O-27 口演発表 某福祉医療サービスグループにおける口腔ケアの現状と今後の課題

○武田好美1) 村井雅子4) 近藤礼美3) 中嶋千穂1) 土井一輝2)

1)(株)ハッピーサービスグループ ハッピーデイサービスセンター

2)(株)ハッピーサービスグループ

3)(株)ハッピーサービスグループ リゾートデイサービス ハッピーリライフ

4)(株)ハッピーサービスグループ 有料老人ホーム ハッピーガーデン京西

キーワード 口腔ケア 福祉医療サービス 意識調査 多職種連携 QOL向上

【目的】 福祉医療の現場において,口腔ケアは利用者の健康とQuality of Life(QOL)に直結する重要な要素である。口腔の健康は,誤嚥性肺炎や全身疾患の予防,栄養状態の改善に寄与し,利用者のQOLを向上させることができる。本研究では,高齢者・児童・障害者の福祉医療サービスに従事する職員の口腔ケアに関する現状を調査し,課題を明確にすることで今後の口腔ケアの向上に向けた取り組みを検討することを目的とする。

【対象および方法】 2025年3月3日〜15日に,福祉医療サービスに従事する職員203名を対象に無記名のWEBアンケートを実施し,121名から回答を得た。回答率は60%であった。回答は本調査の目的以外に使用しない旨を伝え同意を得た。

【結果および考察】 職種は介護福祉士38名,作業療法士11名,看護師10名,言語聴覚士8名,歯科衛生士5名,管理栄養士3名など多岐にわたり,経験年数は5年未満28名,5年以上10年未満38名,10年以上55名であった。職員の多くは口腔ケアの重要性を認識しているが,利用者への実施は不十分であり,時間的制約や知識不足が課題であった。利用者の口腔ケア実施回数は,1日「1回」23名,「2回」8名,「3回」14名,「4回以上」2名,「行っていない」74名(うち55名は非直接ケア職種)であった。研修受講経験は,受講経験あり79名,未受講42名であった。歯科衛生士の協力を求める職員は74名おり,「利用者の歯の磨き方・義歯の取り扱い等の勉強会開催」を希望する職員が66名と多かった。

【結論】 職員教育の充実,多職種連携,口腔ケア時間の確保が求められる。歯科衛生士が事業所毎のニーズに合わせた継続研修や情報交換を行うことで,職員の知識・技術向上と利用者のQOL向上を目指し,組織全体で口腔ケアの質を高めて行きたい。

O-28 口演発表 歯科診療所に就業する歯科衛生士の地域分布と関連要因:パネルデータ分析による検証

○相澤直依1) 大島克郎1,2) 池田利恵1,3)

1)日本歯科大学東京短期大学

2)日本歯科大学生命歯学部衛生学講座

3)日本歯科大学生命歯学部解剖学第2講座

キーワード 歯科衛生士数 歯科診療所 地域分布 パネルデータ分析

【目的】 歯科診療所に就業する歯科衛生士数(以下,歯科衛生士数)は年々増加傾向にあるが,その関連要因を分析した報告はほとんどない。本研究の目的は,都道府県別における常勤・非常勤の歯科衛生士数の増加要因について,パネルデータ分析を用いて検証することとした。

【対象および方法】 データは,2011~2023年(3年間隔)における医療施設静態調査,患者調査,賃金構造基本統計調査等の各政府統計から,都道府県別の数値を使用した。まず,1歯科診療所あたり歯科衛生士数の地域分布について,GISとジニ係数により評価した。次に,被説明変数を常勤・非常勤の歯科衛生士数とし,説明変数は,歯科診療所数,歯科医師数,歯科助手数,歯科訪問診療実施施設数,賃金等を設定し,パネルデータ分析により各々のモデルを推定した。各変数は対数値等を算出し,モデルに投入した。なお,本研究は公表データを用いた生態学的研究のため,研究倫理審査の対象外である。

【結果および考察】 歯科衛生士数のジニ係数は,経年的に減少傾向を示していた。パネルデータ分析・固定効果モデル(HAC標準誤差で算出)において,歯科衛生士数と統計学的有意な関連を示した項目として,常勤では,歯科助手と負の相関,歯科訪問診療実施施設と正の相関がみられた。非常勤では,歯科助手と負の相関,賃金と正の相関がみられた。これらの結果から,地域別での歯科衛生士数の増加は,常勤と非常勤とでは一部異なる要因が関連していることが考えられた。

【結論】 2011~2023年における歯科衛生士数の地域偏在は縮小傾向にあった。常勤・非常勤ともに歯科衛生士数の増加は,歯科助手数の減少と関連していた。また,常勤では歯科訪問診療実施施設数の増加が関連し,非常勤では賃金の増加との関連が示唆された。

O-29 口演発表 某病院における医療安全が介入した口腔内偶発症の検討

○川野知子 春日佳織 安藤恵利 湯川あい 泉 聖子 小野寺晴 細見桃花 澤村真由 大前堯之 橋谷 進

宝塚市立病院

キーワード 口腔内偶発症 歯牙損傷 医療安全 口腔内装置

【目的】 全身麻酔下の手術や,鎮静下での経口的消化管内視鏡検査・治療を行なう場合,歯牙損傷や粘膜損傷等の口腔内偶発症が発生する可能性がある。今回われわれは,某病院において発生した口腔内偶発症について検討したので,その概要を報告する。

【対象および方法】 2020年4月から2025年3月までの5年間で,口腔内偶発症が発生した症例について,医療安全管理室のデータをもとに集計,分析した。本研究は,宝塚市立病院臨床研究倫理審査委員会の承認を得た(承認番号 20250402号)。

【結果および考察】 口腔内偶発症は30名に認められ,その内訳は,病室2名,ICU2名,中央手術室19名,消化器内視鏡センター7名であった。その内,全身麻酔下にて手術を行った患者10412名,経口的に消化管内視鏡検査・治療を行った患者26988名であった。処置前や入院後および周術期口腔機能管理等で歯科口腔外科に診察依頼のあった患者(歯科口腔外科患者含む)2177名には,口腔内偶発症を起こした者はいなかった。また,口腔内偶発症を起こした患者は,すべて歯科口腔外科を受診していなかった。口腔内偶発症の詳細は,挿管,抜管時,または内視鏡処置前後の歯牙損傷であった。歯牙損傷発生予防策として,口腔内装置が有効であると考えられるが,経口的に消化管内視鏡検査・治療患者は,口腔内装置作成の保険収載が認められていないため,歯科受診依頼がない事もリスク要因の一つと考えられる。

【結論】 緊急対応時での口腔内偶発症を予防することは不可能であるが,予定処置や入院であれば,歯科受診をしていれば口腔内偶発症を限りなく減少させることができる。医療従事者も口腔内の観察を行い,動揺歯等があれば歯科受診を行うような体制が必要と考える。

O-30 口演発表 これで患者さんが納得する歯周病の発症進行リスクが伝わるツールの検討

○石﨑未祐 森塚未紗 川﨑佳代子 江田朱杏 田村有梨沙 髙野美紀 谷口美奈子

幸町歯科口腔外科医院

キーワード 唾液検査 歯周病リスク 口腔ケア

【目的】 歯周病の発症進行リスクの高い患者に対して,患者が納得しやすいツールを検討する。

【概要および方法】 某歯科医院で口腔ケアを行っている患者を対象に年一回健診を実施している。この健診において歯周組織検査・レントゲン検査・細菌数測定検査・プラークコントロールレコード(PCR)・歯周ポケット測定検査(EPP)・口腔内写真撮影に加え唾液検査を導入した。今回は歯周病の発症進行リスクの高い患者を対象とし,歯周病の発症進行リスクについて納得の得られやすいツールとして唾液検査の使用を検討する。本検討は,アークレイ株式会社倫理審査委員会の承認を得て実施した(EC610009)。

【経過および考察】 歯周病の発症進行リスクの把握にはPCR,EPP,唾液検査は有用である。唾液検査において歯周病の発症進行リスク(歯肉の健康)を把握する項目として白血球,蛋白質があげられる。唾液検査を実施した際白血球が同年代より多めの方は歯肉に炎症があり歯周ポケットも4mm以上が複数個所確認された。蛋白質が同年代より多めの方は歯肉出血が見られた。出血が無くともプラークの付着が多くなるもしくはドライマウスの場合に蛋白質が多めを示すことがあった。

【結論】 PCRやEPPの検査結果と唾液検査結果を組み合わせて説明を行うことで歯周病の発症進行リスクが少なめ,平均,多めという患者が比較的イメージの付きやすい指標で歯肉の状態やその後の口腔ケアで注意すべき点を総合的にお伝えすることが可能である。唾液検査の結果がその他の検査結果と乖離した場合にも追及していけば原因は存在し唾液検査を行わなければ,歯周病の発症進行リスクとして簡潔に伝えることが難しい。PCR,EPPと組み合わせた唾液検査の実施は歯周病の発症進行リスクを患者により納得してもらうための有用なツールとなりえる。

O-31 口演発表 リハビリテーション・栄養管理および口腔管理による多職種連携を行うことで見えてきた変化

○江藤倫子 木村圭一 久保寺彩香 大津由季 高橋花奈 藤田莉子

埼玉協同病院

キーワード リハビリテーション・栄養管理および口腔管理 多職種連携 病院歯科衛生士

【目的】 厚生労働省は病院における歯科医療の重要さを示している。某急性期病院では昨年より急性期におけるリハビリテーション・栄養管理および口腔管理(以下リハ栄養口腔)に取り組んできた。歯科標榜のない病院の歯科衛生士の役割やその効果を考える。

【概要および方法】 歯科標榜のない某急性期病院では,リハビリテーションに注力することを目的に,歯科衛生士が配置され,口腔健康管理,摂食機能療法,周術期等口腔機能管理を実施してきた。活動は外来での指導や入院時,薬物療法導入時の有害事象予防など多岐にわたる。リハ栄養口腔連携体制加算は,内科循環器病棟で2024年8月より算定を開始した。全患者に48時間以内の評価と計画を作成し,歯科医師等の連携とし,地域かかりつけ歯科への逆紹介を行った。これらの活動のなかで,多職種協同による職員の意識や行動にみられた変化や,歯科衛生士業務に関わる状況を報告する。

【経過および考察】 多職種における口腔評価の学習により,情報交換が早期に行われ,歯科衛生士への介入依頼件数が増加した。理学療法士や作業療法士は積極的に口腔ケアを実施し,看護師は入院時にカルテへ義歯の写真の添付を行い,開始食の食形態も適切に提供されるようになった。OHATは44%が改善,52%が維持されており,改善率においても上昇した。早期介入により絶食患者への歯科衛生士介入率が増加したと考えられる。歯科への逆紹介は,歯科衛生士介入率の30%に留まった。

【結論】 本取り組みにより口腔環境が維持され,絶食患者に早期に適切な食形態の食事が提供可能となったと考える。入院時の口腔健康状態は入院期間に有意に関連し,継続した口腔衛生管理で改善し退院時の経口摂取確立に寄与するとの先行研究もあり,口腔健康維持のために歯科逆紹介を増やしていくことが課題である。

O-32 口演発表 口腔衛生管理から生きる力を取り戻した末期がん患者の一症例

○山本佳世

医療法人社団 悠翔会

キーワード 口腔衛生管理 終末期 緩和ケア 在宅医療 多職種連携

【目的】 在宅医療専門クリニックの歯科診療チームの一員として従事する中,終末期の患者の家族として母の療養を見届けることで,日常業務の行間を埋めるような患者の変化を観察することとなった。日常の業務経験を活かした口腔衛生管理と多くの職種の協働の下で,終末期の患者本人や家族の生活と心を支えた一症例を報告する。

【症例の概要】 80代の女性。X-6年3月診断の肺腺がんを原発巣とし,治療後のX-1年11月全身多発転移。頸部骨浸潤から左麻痺を生じ経鼻胃管による経管栄養開始。4クールの予定で化学療法を開始するも,薬剤侵襲に耐え切れず3クールで終了。治療不可となりX年5月緩和ケアに移行した。本症例発表に際し,患者家族の同意を得た。

【経過および考察】 歯科介入期間:X年5月~X年12月。緩和ケア当初自力体動困難,経鼻カニューレによる酸素投与2L。口腔乾燥著しく,乾燥痰や剥離上皮に覆われ声も出せない状況から看護師とともに口腔衛生処置を行い,咽頭に停滞していた乾燥痰を除去すると有声音を発する。「何か食べてみたい」との意思の表出を起点に,言語聴覚士,作業療法士,栄養サポートチーム等による協働を経て,同年12月末在宅復帰。在宅医療チームのサポートを得つつ,コロナ禍による制限下においても,住み慣れた場所でX+1年11月まで家族とともに穏やかな療養生活を送った。末期がんにて死を待つ患者が口腔衛生を契機に,失っていた口腔機能・身体機能を取り戻し,多職種のサポートを得ながら在宅復帰を果たした。その回復の経過と在宅生活は,患者を支えた家族の苦悩をも癒すこととなった。

【結論】 歯科衛生士がチーム医療に参加することで,患者の予後や家族の療養生活の質を大きく変え,「安心できる生活,納得できる人生」を実現するための支えの一端を担うことを学んだ。

O-33 口演発表 歯科衛生士によるシミュレーションロボットマナボットを使用した口腔ケア研修会の取り組み

○瓜阪良美1) 吉田尚美1) 古川理沙1) 筒井大輔1) 杉浦 勉2)

1)南和広域医療企業団 南奈良総合医療センター 医療技術センター

2)南和広域医療企業団 南奈良総合医療センター 歯科口腔外科

キーワード マナボット 多職種 チーム医療

【目的】 2025年問題に直面している昨今,過疎化の著しい南和地域に所在する某病院では厚生労働省が推奨している地域包括ケアシステムの構築で様々な取り組みが行われている。その一環としてチーム医療は不可欠である。今回某病院職員に対し,入院患者の口腔機能の維持・回復を図り,在院日数削減を目的とし,高齢者の口腔内を再現したシミュレーションロボット「MANABOT®-F(以下,マナボット)」を使用した口腔ケア研修を実施したので報告する。

【概要および方法】 摂食嚥下サポートチームにて,多職種27名より入院患者の口腔ケアに対する意識,関心,実施状況および問題点を事前調査した。人工呼吸器管理の必要な高度治療室,急性期フロア,回復期フロアでチーム分けをし,マナボットを用いて多職種を対象とした実習付き研修会を行い,研修後アンケートを実施した(南奈良総合医療センター倫理審査委員会:非該当)。

【経過および考察】 参加職員の多くが口腔ケアの重要性を認識していた。しかし,多忙な業務の中での口腔ケアは不十分で,時間が取れず実践に至っていない現状が見受けられた。また,口腔ケアにかける所要時間と使用用具についてもフロアごとに差が見られた。そして,臨床経験年数の長い看護師ほど口腔ケアの重要性を認識しており,抱えている問題点も開口困難や,易出血等具体的であった。患者に一番近い存在である看護師・言語聴覚士による日常的口腔ケアは不可欠であり多職種での協力なくしては成り立たない。本研修会の取り組みにおいて歯科衛生士として多職種協働の役割についても再確認することができた。

【結論】 マナボットを通じて高齢者の口腔内を知り周知することで,口腔ケア定着の為の協力体制が明確になった。今後も互いの専門性を活かした連携方法を検討し,歯科衛生士からの情報発信を継続していくことが重要である。

P-1 ポスター発表 小学校4年生と6年生の口腔保健に対する意識と口腔保健行動との関連

○奥村琴音 原山裕子 鈴木一吉 犬飼順子

愛知学院大学短期大学部専攻科

キーワード 口腔保健行動 自律的な歯と口の健康づくり 児童 保護者

【目的】 小学校4年生と6年生における口腔保健に対する意識を明らかにし,自ら行う口腔保健行動とその要因の検討を行うことを目的とした。

【対象および方法】 愛知県A市内公立B小学校4年生(150名)と6年生(163名)の313名に対し,2024年6月に無記名のWeb質問票調査を実施した。保護者による同意を得られた場合のみ,自宅にて児童から提出させた。結果はχ2検定もしくはFisherの正確確率検定,二項ロジスティック回帰分析を行った。また,自由記載についてはテキストマイニングを用いて分析した。本研究は,愛知学院大学短期大学部倫理委員会(承認番号24-014)の承認を得た。

【結果および考察】 140名(有効回答率44.7%)を解析対象とした。学年間による比較では,6年生は4年生と比べ保護者の口腔ケアの関与が有意に減少し(p<0.001),児童自身にケアが委ねられていることが示唆された。また,フッ化物のう蝕予防効果に関する認知度は6年生が4年生より高く(p<0.05),B小学校が行っている口腔保健教育の成果が示唆された。二項ロジスティック回帰分析により,「歯と歯肉の境目の歯磨き」はブラッシング時の口腔保健行動や知識などを問う項目に有意な関連がみられた。自由記載「歯磨きをすると良くなること」の頻出語出現回数は,「虫歯」が最も多かったが,「歯周病」に関する言及は少なく,歯周病予防への意識はう蝕予防に比べて低いと考えられた。

【結論】 本研究より,小学校4年生から6年生にかけて小学校での口腔保健教育の成果が示唆された。一方で歯周病への意識はう蝕予防と比較して低かったことから,歯肉炎予防に対する歯科保健教育の重要性が示された。

P-2 ポスター発表 予防歯科情報冊子を活用した小児歯科保健指導に対する歯科衛生士の情報ニーズ調査

○関谷恵里香 福田真紀 亀田麻未 鬼木隆行

公益財団法人ライオン歯科衛生研究所

キーワード 小児歯科 歯科衛生士 保健指導 年齢別

【目的】 小児の年齢に応じた口腔状況及び指導内容を記載した予防歯科情報冊子を用いて,歯科衛生士が求める情報を明らかにする。

【対象および方法】

〈対象者〉某所メールマガジンの登録医院から募集し,1.小児歯科を標榜しているが,小児歯科専門医・認定医資格は保有していない,2.開業年数10年以下かつ院長の年齢が20~40代を満たした医院に勤務する歯科衛生士11名とした。

〈試験品〉予防歯科情報冊子(with DH, 弊所2023年作成)

〈方法〉対象者は年齢別に保健指導内容が記載されている試験品を読み,重要だと思う情報に赤シールを貼った。その後,3カ月間,保健指導を行い活用した情報には青シールを貼った。3カ月後,試験品を回収し,シールの枚数をカウントした。事前事後に小児保健指導に対する不安度をヒアリングした。

(公財)ライオン歯科衛生研究所倫理審査委員会承認番号:LDH202303

【結果および考察】 事前ヒアリングでは,全ての対象者が「小児に対する保健指導に課題がある」とし,その理由として「知識・経験不足」が挙げられた(11名中7名)。また,患者の対象年齢が下がるにつれて重要だと思う情報が増加し,活用されている傾向が見られた。このことから,特に乳幼児に対する保健指導情報へのニーズが高いことが示唆された。また,患者への活用回数が多い項目については,知識付与に繋がる情報よりも,患者の実践に直結する実技的な情報が多く,短い診療時間の中で即活用でき,患者をより良い予防習慣に導く情報に対するニーズが高いことが示唆された。

【結論】 小児の歯科保健指導に不安を抱える歯科衛生士は,低年齢の患者および保護者が実践に直結しやすい実技的な情報に対するニーズが高いことが示唆された。

P-3 ポスター発表 歯科衛生士をめざす高校生と保護者の歯科保健行動の関係性についての調査

○竹村文伽 渡邊幸慧 近藤久貴

愛知学院大学短期大学部専攻科(口腔保健学専攻)

キーワード 歯科保健行動 高校生 保護者 仕上げ磨き

【目的】 近年,高校生のう蝕罹患率が増加し,成人ではさらに高くなっていることが明らかになっている。先行研究では高校生の生活習慣は保護者の養育態度と関連し,幼少期の歯科保健行動と関連性があると示されているが,高校生と保護者の歯科保健行動の具体的な関連性は十分に明らかにされていない。そのため本研究では,高校生と保護者の歯科保健行動の関連について検討した。

【対象および方法】 A大学短期大学部歯科衛生学科のオープンキャンパスに参加した高校生102名とその保護者72名とした。質問項目は属性,健康に対する認識,仕上げ磨きの有無,口腔清掃習慣とし,無記名自記式Web質問票調査を実施した。本研究は,愛知学院大学短期大学部倫理委員会(承認番号24-010)の承認を得て行った。

【結果および考察】 仕上げ磨きの経験は,高校生も保護者も経験ありが最も多く,仕上げ磨きの経験がある者の方がない者よりも歯科定期受診をしていた(p<0.05)。そして,一般健康行動と効果の認識は,保護者よりも高校生の方が高かった(p<0.05)一方で,歯科保健行動と危険性の認識に有意な差はみられなかった。親が子どもに仕上げ磨きを行うことで,子どもが高校生になってからも定期歯科受診の習慣が形成されることが明らかになった。

【結論】 生涯にわたる口腔の健康づくりを支援するために,妊産婦期から仕上げ磨きを含めた口腔保健に関する啓発活動等の重要性が示唆された。特に親の学歴に関わらず,日常的な関与や歯科保健への積極的な姿勢が子どもの習慣形成に寄与することが示されたため,親子で取り組む歯科保健プログラムの導入や,親を対象とした口腔衛生や仕上げ磨きの役割についての啓発活動等の普及が必要であると考える。

P-4 ポスター発表 甘味嗜好とストレス・うつ傾向との関連性

○鈴木 瞳1) 安藤 遼2) 石井美空3) 杉本久美子1) 宮澤絢子4) 吉田直美1)

1)東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 口腔健康教育学分野

2)東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 生涯口腔保健衛生学分野

3)医療法人社団佑秀会

4)神戸常盤大学保健科学部 口腔保健学科

キーワード 甘味嗜好性 ストレス うつ傾向

【目的】 ストレス時には甘味摂取欲求が増すとされているが,関連研究は限定的である。本研究は,甘味嗜好が高いとされる若年女性を対象とした調査より,ストレス度・うつ傾向と甘味嗜好・摂取頻度との関連性について明らかにすることを目的とした。

【対象および方法】 国内2大学に所属する女子学生193名を対象とし,自記式質問紙調査を実施した。質問項目には,日常的ストレス,うつ傾向についての自己評価,甘味の嗜好と摂取状況に関する設問を含めた。ストレスの有無およびうつ傾向の有無で2群に分け,甘味の嗜好と摂取頻度を統計学的に比較するとともに,甘味の高嗜好群と低嗜好群に分け,ストレスとうつ傾向のスコアを比較した。本研究は,東京科学大学歯学系倫理審査委員会の承認を得た(D2019-017)。

【結果および考察】 回答者は190名(回答率98.4%)で,平均年齢は19.5±1.3(SD)歳であった。ストレスあり群(n=124)はなし群と比較して,1日1回以上甘味を摂取したいとする者が有意に多く,ストレス時の甘味摂取欲求が有意に高かった。うつ傾向あり群(n=52)はなし群と比較し,1日1回以上の甘味摂取欲求を持つ者が有意に多く,1日の甘味摂取頻度が高い傾向が示された。一方,甘味高嗜好群(n=39)と低嗜好群の比較では,高嗜好群の方が総合ストレススコア,うつ傾向スコアが有意に高い結果となった。

【結論】 若年女性を対象とした質問紙調査より,高ストレス状態やうつ状態にある者では甘味摂取欲求が高いこと,さらに,甘味嗜好が高い者はストレス度とうつ傾向が高い状況にあるとの結果が得られた。甘味嗜好とストレス・うつ状態の関連性が示されたことから,健康教育の際に,精神的状態と甘味嗜好・摂取との関連性を考慮した指導が必要であることが示唆された。

P-5 ポスター発表 就労世代の歯科健診の推進に関する検討─継続受診による口腔保健状況の変化─

○中村瑞希 大関慧子 松木晴香 山田麻央 宇原由桂 水口洋子 児玉弓子

一般財団法人 日本口腔保健協会

キーワード 職域口腔保健活動 就労世代 歯科健診 継続受診

【目的】 生涯を通じた歯科健診を推進する上で,法定健診がなく,かつ,多忙な就労世代に対する歯科健診の取組みが課題となっている。前回は,就労世代の歯科健診受診率を高めるための試みとして,2023年に某事業所で一般健康診断(以下,一般健診)と同時に歯科健診(ポイント指導含む)を実施し,受診者(256名)の結果について報告した。今回はその続報として,2024年に継続して歯科健診を受けた者(継続受診者)の口腔保健状況について報告する。

【対象および方法】 調査対象者は,2023年度・2024年度に,前回と同じ事業所で一般健診と同時に歯科健診を受診した継続受診者225名(男性211名,女性14名)とした。歯の状態は視診により診査し,歯肉の状態はCPI代表値により「健康」「歯肉炎」「歯周炎」とし,歯口清掃習慣および歯科医院での受診経験は聞き取りにより調べた。調査報告は対象者の同意を得て行い,データの取扱いは個人が特定されないよう匿名化した。

【結果および考察】 継続受診者の2023年度と2024年度の比較では,2024年度において「未処置歯がある者」は20歳代,50歳代,60歳代において減少し,「歯肉の状態」は全ての年代で歯周炎の者の減少が認められた。「歯科医院での定期健診受診者」は20歳代が最も少なく,30歳代,50歳代でやや増加した。「歯間部清掃用具使用者」は20歳代の継続受診者において増加率の高いことが認められた。

【結論】 今回の調査結果から,職場での定期的な歯科健診で自分の口腔状況を知り,行動変容や口腔保健状況の改善に繋がったことが認められ,継続受診の重要性を確認することができた。これらのことから,就労世代の歯科健診の推進には,一般健診との同時実施が有用であることが示唆された。

P-6 ポスター発表 高校生における歯科健診結果と口腔保健行動の関連

○花谷早希子 新井麻実 永田英樹 吉田理紗 磯貝友希 古賀 恵 畑田晶子 大岡知子 村上伸也 脇坂 聡

関西女子短期大学

キーワード 高校生 歯科健診 口腔保健行動

【目的】 文部科学省は,学校保健安全法に基づく歯科健診で問題を抱える生徒を医療機関へ繋ぐだけでなく,口腔状況を把握し自己管理能力を身につけ,生涯歯科疾患予防行動ができる生徒の育成を目指している。本研究では,高校生の歯科健診結果と口腔保健行動との関連を調査した。

【対象および方法】 令和6年度に歯科健診を受けた高校1年生265名に対し,本人及び保護者に同意を得たうえで健診結果及び問診票を基に分析を行った。検定には,χ2検定を使用し有意水準はp<0.05とした。本研究は,関西福祉科学大学研究倫理審査委員会の承認(承認番号23-27)を得て実施した。

【結果および考察】 う蝕経験者率は44.9%,CO保有者率は46.4%だった。う蝕経験者のCO保有者率(67.2%)は,う蝕未経験者(29.5%)と比較して有意に高かった。そこでう蝕経験者率及びCO保有者率と各調査項目との関連を検討した。「口腔状況」では,う蝕経験者率は「性別」「歯垢の付着」「顎関節異常」「定期健診の有無」,CO保有者率は「歯垢の付着」「歯肉異常」と有意に関連していた。ブラッシングの「回数」「タイミング」「丁寧に磨くタイミング」「時間」「歯磨剤の使用」とう蝕経験者率及びCO保有者率の間に有意な関連はなかった。口腔内の自覚症状では,ブラッシング時間が「3分未満」と「3分以上」の人の間で「口臭発生」に有意な差がみられた。

【結論】 本対象者のう蝕経験及びCOの保有は「歯垢の付着」と関連がみられたが,ブラッシングに関する口腔保健行動との関連はみられなかった。しかし,う蝕経験者の定期健診受診率は未経験者より高く,歯科医院受診が口腔保健行動に一定の効果を及ぼしたと推察された。今後,高校生の口腔状況改善策としてブラッシング方法にアプロ-チを行う必要があると示唆された。

P-7 ポスター発表 某急性期病院の高齢者における口腔内状況の把握を目的とした横断研究

○沖津佳子 山村真由美 新谷麻美 沖田奈々葉 松平絢菜 岡田真里奈 首田千尋 田中美恵 谷内優奈 出村 昇

金沢医科大学病院

キーワード 急性期病院 高齢者 OHAT FIM

【目的】 日本では2024年時点で高齢者の割合が29.3%となり,過去最高となった。高齢者は加齢や疾患,薬の副作用などに伴い口腔内状況が悪化すると言われている。そこで本研究は急性期病院に入院している高齢患者を対象とし,口腔内状況の悪化に与える要因について検討を行ったので報告する。

【対象および方法】 2023年4月から2025年1月の期間に某急性期病院の高齢医学科に入院している患者のうち,歯科介入した76名(男性30名,女性46名)を対象とした。調査項目は年齢・入院契機病名・残存歯数・Oral Health Assessment Tool(以下OHAT)・機能的自立度評価法(以下FIM)とした。調査方法は電子カルテより後ろ向き調査を行った。また,年齢・残存歯数・OHAT・FIMの相関についてSpearmanの順位相関係数を用いて分析した。金沢医科大学倫理審査委員会の承認を得て行った。(承認番号:C004)

【結果および考察】 平均年齢は86.7歳,入院契機病名は脳梗塞が最も多く,続いて肺炎が多かった。残存歯数の平均は5.9本,OHAT合計の平均は4.9であった。年齢と残存歯数(rs=-0.362,p=0.001),年齢とFIM(rs=-0.292,p=0.01)ではそれぞれ負の相関が認められた。FIMとOHAT合計でも負の相関が認められた(rs=-0.232,p=0.044)。年齢が高くなるにつれて残存歯数と自立度が有意に低下した。また,自立度が低下するとOHATにも影響することが分かった。このことから急性期病院に入院している高齢者の口腔内状況を良好に保つためには自立度に合わせた口腔衛生処置を行う事が重要であると考えられた。

【結論】 “自立度の低さ”が口腔内状況を悪化させている可能性が示唆された。

P-8 ポスター発表 透析患者の服用薬剤数が口腔機能に与える影響の検討

○藤倉みき1) 高石和子1) 上田甲奈1) 山口絵里1) 白井 茜1) 田代 学1) 川島友一郎1) 鈴木善貴2)

1)社会医療法人 川島会 川島病院

2)徳島大学大学院医歯薬学研究部顎機能咬合再建学分野

キーワード 透析患者 口腔機能精密検査 服用薬剤数

【目的】 透析患者には平均16錠の薬剤が処方されており,多剤服用していることが多いと報告されている。服薬数の増加は有害事象の発現リスクを高めることが指摘されており,それに伴い口腔機能低下が助長される可能性がある。そこで,本研究では透析患者の服用薬剤数と口腔機能の関係を検討した。

【対象および方法】 2021年8月から2025年5月に歯科を受診した50歳以上の血液透析患者37名,非透析患者44名を対象とした。口腔機能精密検査7項目(口腔衛生状態,口腔乾燥,咬合力,舌口唇運動機能,舌圧,咀嚼機能,嚥下機能)を実施し,実施日の服用薬剤を調査した。透析群,非透析群および各群において服用薬剤数0~9錠,10~19錠,20錠以上で3群に分け,各検査項目の群間比較を行った。本研究は川島病院研究倫理審査委員会の承認を得た(承認番号1253)。

【結果および考察】 透析群は非透析群と比較して服用薬剤数が多く口腔機能の低下がみられ,特に口腔湿潤度が有意に低下していた(透析群24.0,非透析群25.3,p<0.05)。また,透析群において10錠以上服用している者は口腔湿潤度が有意に低下していた(0~9錠25.7,10~19錠23.4,20錠以上23.4,p<0.05)。非透析群はいずれも有意差はみられなかった。透析患者は,透析除水や低アルブミン血症などの要因にて,血管内脱水や口腔内乾燥を呈していることが多い。そのような病態の透析患者がより多くの薬剤を服用することは,口腔機能障害をもたらす要因の一つと考えられる。

【結論】 透析患者において,10錠以上の薬剤を服用することは,口腔機能障害のリスク因子となる可能性が示唆された。

P-9 ポスター発表 視覚障害児に行動変容法を用いて口腔健康管理を行った1例

○伊西口初音1) 坂井 鮎1) 佐野祥美2) 吉田光由3) 田中紘子1) 井指李咲1) 濱元陽香1) 矢沢麻生1) 濱田菜月1) 光延弥生1)

1)藤田医科大学病院 歯科・口腔外科

2)藤田医科大学病院 形成外科

3)藤田医科大学 医学部 歯科・口腔外科学講座

キーワード 視覚障害児 行動変容法 口腔健康管理

【目的】 視覚障害児は視覚的な情報入手が困難となるため,歯科処置に際しては行動調整に配慮が必要と言われている。今回,視覚障害児に対してその特性と年齢に配慮した行動変容法を実施し口腔健康管理を行った1症例を経験したので報告する。なお,ご家族に口頭と文書で同意を得た。

【症例の概要】 初診時0歳2か月の男児で,口唇口蓋裂治療を目的に紹介となった。生後6日で左無虹彩症および先天性緑内障,右小眼球症と診断され,生後1か月時に他院で両目の手術を受け,右は義眼装着となった。当院では0歳2か月で口唇形成術,1歳7か月で口蓋形成術が施行されていた。視覚情報がないために言語発達はやや遅れているものの精神発達遅滞は指摘されていなかった。保護者の希望により2歳10か月から口腔衛生指導が開始された。

【経過および考察】 当初は診療に対する協力が全く得られない状態であった。声や歯ブラシの音に慣れる練習を開始したところ,模型上の歯磨きの音に興味を示すようになった。その後,行動変容法のひとつであるTell-Show-Do法のShowをTouchに変換し,聴覚と触覚からの情報を活用して繰り返し練習を行った。1年6か月後の4歳4カ月には患児自ら診療用チェアに移動して口腔内診査を行うことが可能となった。行動変容法としてはTell-Show-Do法が一般的であるが,本症例の場合showが有効ではないため,聴覚支援と触覚を活用した行動変容法が有効であったものと思われた。また未経験の歯科処置に対する不安から解放し,スモールステップによって成功体験を増やすことで,初診時に比べ抵抗が少なくなり協力的態度が得られたと考えられた。

【結論】 本症例に対し,積極的な聴覚と触覚を活用した支援は有効であった。今後は顎裂部骨移植術やその後の矯正治療が予定されており,継続した口腔健康管理が求められる。

P-10 ポスター発表 某医療センター障がい者歯科外来受診患者のフッ化物配合歯磨剤の使用状況

○照井梨央1) 山本綾子1) 松尾友紀1) 勝 柚華1) 深尾梨那1) 野田風歌1) 髙橋真衣1) 友藤孝明2) 岩瀬陽子3)

1)朝日大学医科歯科医療センター 歯科衛生部

2)朝日大学歯学部 口腔感染医療学講座 社会口腔保健学分野

3)朝日大学歯学部 口腔病態医療学講座 障害者歯科学分野

キーワード 障害児(者) フッ化物配合歯磨剤 含嗽

【目的】 障害児(者)の口腔の特徴として「感覚過敏や拒否によるブラッシング困難」「能力及び機能障害によるもの」等,様々なう蝕リスクがあり,不協力な患者は治療も困難である。そのためフッ化物応用等の一次予防が重要であると考える。フッ化物配合歯磨剤は多く市販されているが,洗口困難な場合や障害児(者)特有のこだわりから,使用していない患者がいると推察される。本研究は,障がい者歯科外来を受診した患者・介助者に,歯磨きに関する質問紙調査を行うことで,歯磨剤の状況を含め歯磨きの現状を把握しう蝕予防に対する正しい情報の提供を目的とした。

【対象および方法】 障がい者歯科外来を受診した40歳未満の患者(120名)とし,患者・介助者に「歯磨きを行うタイミングはいつか」「歯磨剤を使用しない理由はなぜか」等,質問紙調査を実施した。本研究は朝日大学歯学部倫理審査委員会の承認を得ている(承認番号:36026)。

【結果および考察】 今回の調査では,フッ化物配合歯磨剤を使用していない患者の割合が半数以下であった。その理由として「含嗽不得意」との回答が最も多かった。また,「含嗽不得意でも使用しやすい歯磨剤を認知しているか」の問いに対しては半数以上が「知らない」という結果であり,それぞれの歯磨剤に合った使用法の知識不足であると示唆された。そのため,歯磨剤の情報や使用法を患者・介助者に伝達し,う蝕予防に対する理解を深めていくことが必要であると考えられる。

【結論】 含嗽不得意という理由から歯磨剤を使用していない患者が最も多い結果となった。また,含嗽不得意でも使用しやすい歯磨剤を認知している患者が少なかったことから,う蝕予防に対する正しい情報提供と個々の状況に応じたスペシャルニーズなアプローチを行っていくことが今後の課題と言える。

P-11 ポスター発表 周術期等口腔機能管理中に発見した下顎骨内癌の一例

○道下千秋1) 池田恵理1) 平田友貴子1) 平石ひかる1) 竹田 優1) 太田嘉幸2)

1)市立伊丹病院 医療技術部

2)市立伊丹病院 歯科口腔外科

キーワード 周術期口腔機能管理 下顎骨内癌 口腔粘膜の観察

【目的】 全身麻酔症例に対する周術期等口腔機能管理(周管)は主に歯科衛生士が担うため,口腔粘膜疾患に遭遇することは少なくない。今回,周管中に歯科衛生士が下顎骨内癌を発見した症例を経験したので報告する。

【症例の概要】 80代男性,外科にて全身麻酔下による手術予定。手術1カ月前に右側臼歯部動揺と疼痛を自覚し地域歯科医院を受診し,右下7抜歯が実施されていた。なお,本症例を報告するにあたり患者より文書にて同意を得た。

【経過および考察】 歯科衛生士による周管を手術日前日に実施。開始前の問診で,抜歯後2週間が経過したが,抜歯窩から出血が持続しているとの申し出があり,右下7頬側歯肉に潰瘍,右下8に軽度動揺と歯肉腫脹を認めた。歯科担当医に報告し,外科手術後にパノラマエックス線写真撮影を実施。パノラマ所見は右下78を中心に下顎骨に骨吸収像を認めた。造影CT,造影MRIでは悪性腫瘍を疑う濃染は指摘されなかったが,病理組織検査の結果,高分化~中分化型扁平上皮癌との診断を得た。今後,再建を含めた手術が必要と判断され,転院となった。本症例に限らず,手術前後の周管や日常の口腔管理においても,歯科衛生士は患者により近い存在として口腔がんを発見する機会が多くなる。歯科衛生士が丁寧に患者の問診や口腔内診査を行うことで口腔疾患の早期発見につながり,患者のQOL(Quality of Life)低下予防の一助になると考える。そのためには口腔粘膜の観察方法を理解する必要があると考える。

【結論】 歯科衛生士が周管中に口腔がんを発見したことで,外科手術後スムーズに専門医と連携することができた。

P-12 ポスター発表 治療中断が懸念された頭頸部化学放射線療法を受ける患者に周術期等口腔機能管理を行った一症例

○井坂美智子 石本多実 服部 宇

安城更生病院

キーワード 周術期等口腔機能管理 頭頚部癌 化学放射線療法 拒否

【目的】 頭頸部がんに対する化学放射線療法(以下CRT)中の口腔粘膜炎は必発であり,口腔粘膜炎を軽減し重篤な感染症を予防するために周術期等口腔機能管理(以下周管)が重要である。今回,誤嚥性肺炎のリスクが高く口腔環境の悪化や治療中断が懸念された患者の周管を経験したので報告する。

【症例の概要】 70代男性。#左中咽頭癌(p16-cT4aN2cM0 stageIVA),#下咽頭癌(cT4bN2cM0 stageIV),#食道癌(cT1bN0M0)に対しCRT(シスプラチン(以下CDDP)+強度変調放射線治療(以下RT):70Gy食道領域は50Gy)を施行。耳鼻科より周管依頼あり介入開始した。残存歯は全て抜歯適応だが本人の拒否も強く抜歯を行わず歯科医師の指導の下口腔衛生管理を行う方針となった。発表に際して,本人には十分説明し,書面で同意を得ている。

【経過および考察】 初回介入翌日より誤嚥性肺炎を発症。痰がらみがありむせやすく,口腔清掃状態は不良で口腔内への関心が低く,口腔粘膜炎の重症化や誤嚥性肺炎の再発が懸念された。患者は腰痛やブラッシングによる歯肉の疼痛がありセルフケアが困難で頻回な介入は拒否もあったため,できるだけ短時間で疼痛や体調に配慮しながら専門的口腔衛生処置を週1回実施した。CDDP3クール目は患者が希望しなかったがRTは70Gyまで完遂できた。口腔粘膜炎はCTCAE(v3.0)Gr2であったが重篤な感染症や誤嚥性肺炎の再発はなく,今回の周管は治療完遂に寄与できたと考える。また歯科衛生士が継続的に介入したことで口腔内に関心を持ちセルフケアを習慣付ける事が出来た。

【結論】 口腔内への関心が低く拒否があった患者も歯科衛生士が患者の性格や背景に応じて継続的に介入することにより,治療完遂に寄与できることが示唆された。

P-13 ポスター発表 十二指腸腫瘍患者における口腔衛生状態と術後炎症反応との関係

○小沼美玖1) 重石英生2) 垣内陽菜乃1) 山木戸雛1) 升本陽菜1) 野見ほのか1) 兼保佳乃2) 矢野加奈子2) 仁井谷善恵3) 太田耕司2)

1)広島大学大学院医系科学研究科 公衆口腔保健学研究室学生

2)広島大学大学院医系科学研究科 公衆口腔保健学研究室

3)広島大学大学院医系科学研究科 口腔保健管理学

キーワード 十二指腸腫瘍 周術期口腔衛生管理 術後合併症 術後炎症反応

【目的】 十二指腸腫瘍は,消化管腫瘍のなかで比較的稀な腫瘍であるが,十二指腸腫瘍患者の術前の口腔衛生状態が術後炎症反応に及ぼす影響については明らかでない。そのため本研究では,十二指腸腫瘍の手術を受けた患者を対象に,術前の口腔衛生状態および歯周組織の状態と術後炎症反応との関係を明らかにする目的で,後ろ向きの研究調査を行った。

【対象および方法】 某大学病院にて十二指腸腫瘍(腺癌,神経内分泌腫瘍,消化管間質腫瘍,腺腫)に対して手術が行われ,術前より専門的口腔衛生管理を実施した患者36例(男性24例,女性12例)を解析対象とした(疫学研究倫理委員会承認番号:第E-1769号)。患者の臨床学的因子を診療録から転記した。2群間の比較には,Mann-WhitneyのU検定またはFisherの正確確立検定を用いた。

【結果および考察】 口腔内湿潤度は術前と比較して,術後1日目に有意に減少し,術後1週目,術後2週目,術後3週目において低い値で推移した。口腔清掃状態が良好な例(18例)と不良な例(18例)の2群に分け,術後合併症について検討した結果,口腔清掃状態が不良な例では,良好な例と比べて,術後発熱や膵液瘻の発生割合が高かったが有意な関連は認めなかった。また,術後1日目,術後3日から6日目,術後7日から10日目の白血球数は,口腔清掃状態が不良な例では良好な例と比較して高い傾向を認めた。さらに,出血を伴う6mm以上の歯周ポケットのある例では,出血を伴う6mm以上の歯周ポケットのない例と比較して,術後1日目のCRP値は高かった。以上より,口腔内の清掃不良は術後の炎症反応に関係していると考えられた。

【結論】 十二指腸腫瘍患者の術前の口腔衛生状態は,術後の炎症反応の増悪に関与している可能性が示唆された。

P-14 ポスター発表 尋常性天疱瘡患者に対して口腔衛生管理を行った1例

○五十嵐菜月 河野真由美 吉田涼子 折川未来 前紗也加 三笘瑞希 馬場海奏 本田智恵子

飯塚病院 医療技術部 歯科衛生室

キーワード 尋常性天疱瘡 ステロイド療法 アドヒアランス

【目的】 尋常性天疱瘡は,原因不明の水疱やびらんを生じる自己免疫疾患である。病変は身体および口腔粘膜に出現し,接触痛を伴うため,歯科治療や口腔清掃が困難となる。今回,尋常性天疱瘡により口腔内に粘膜炎が出現した患者に対し,口腔衛生状態の維持,粘膜炎の重症化予防,ならびに日和見感染の予防を目的として,歯科衛生士が長期にわたり口腔衛生指導および管理を行った症例を報告する。

【症例の概要】 40代女性。初診の2カ月前より口唇に粘膜炎を自覚し,口腔内全体及び体幹にびらんと水疱が拡大した。生検の結果,尋常性天疱瘡と診断された。その後,某病院皮膚科と歯科口腔外科との併診のもとステロイド療法と免疫抑制療法が開始された。本研究は飯塚病院倫理審査委員会の承認を得て実施している(25038)。

【経過および考察】 初診時,口腔内の広範囲にびらんを認め,疼痛のためセルフケアが困難となり全顎的にプラークの多量付着がみられた。皮膚科でのステロイド療法は,皮膚および口腔粘膜症状に応じて投与量の調整を行いながら,1年半にわたり継続された。歯科口腔外科では,支持療法として口腔衛生管理を行った。尋常性天疱瘡では,ステロイド療法が長期に及ぶことが多く,口腔衛生管理の重要性は高い。患者は清掃時の疼痛に対する不安から,十分なセルフケアを行うことができなかった。しかし,キシロカイン入りの含嗽剤や表面麻酔薬を用いて口腔衛生管理を行い,びらんに配慮した口腔衛生管理と患者に寄り添ったセルフケア指導を継続することで,不安の軽減と疼痛の緩和につながり,口腔衛生状態も改善した。

【結論】 本症例では歯科衛生士による口腔衛生管理を行い,患者との良好なアドヒアランスが構築されたことにより,患者が積極的にセルフケアを実施した。その結果口腔内状況の改善が得られた。

P-15 ポスター発表 頭頸部がん患者に対しがん治療開始直後より支持療法を行うことでがん治療を完遂できた症例

○越智友香 吉田陽子 真田万由 三浦留美 丸山貴之 窪木拓男

岡山大学病院

キーワード 頭頸部がん 化学放射線療法 口腔粘膜炎

【目的】 頭頸部がん患者に対して化学放射線療法(CRT)を行うと,口腔粘膜炎が頻発する。口腔粘膜炎が重症化すると,がん治療の休止・変更を余儀なくされる場合がある。今回,歯科衛生士ががん治療の早期より介入し,支持療法を行うことで,治療を完遂できた症例について報告する。

【症例の概要】 50歳代男性。中咽頭がんに対し,がん切除術,頸部郭清術,再建術を施行した。その後,舌骨傍領域に再発し,CRT(シスプラチン+強度変調放射線治療:68Gy)が施行された。発表に際して,文書を用いて十分に説明した上で同意を得た。

【経過および考察】 照射野に含まれる金属修復物からの散乱線や,歯の欠損部に舌が入り込み擦れる等,口腔粘膜炎が増悪する可能性が考えられた。そこで,CRTにより予測される口腔内の変化とその対応,口腔内の観察の重要性,含嗽剤の使用方法の指導等,CRT中のセルフケアに特化した指導計画を立案した。10Gy照射時,懸念されていた右側舌縁にGrade2(CTCAE v3.0)の口腔粘膜炎が観察されたため,エピシル®口腔用液やアズレン含嗽剤の使用方法を指導し,疼痛緩和に努めた。28Gy照射時,右側頬粘膜のGrade2の口腔粘膜炎に加え,口腔カンジダ症を認めたため,口腔内の保湿・保清ケアの徹底を指導した。また,患者は身体的苦痛や,がん再発の告知等による精神的苦痛,多職種の介入により情報量が多く混乱することが予想されたため,口腔ケアの方法についてのパンフレットを用いて情報を整理することで,がん治療に対するモチベーションの維持・向上に努めた。その後,CRT終了まで口腔粘膜炎はGrade1にとどまり,がん治療を完遂できた。

【結論】 歯科衛生士ががん治療開始直後より介入し支持療法を行うことは,患者のがん治療に対するモチベーションの維持・向上,がん治療完遂の一助となりうる。

P-16 ポスター発表 MA-T®含有の口腔衛生製品の口腔粘膜炎患者への使用経験

○横山ゆき乃1) 越田美和1) 向 真紀1) 槇野莉沙1) 塚本暁子1) 莨谷莉菜1) 平山恭子1) 干場明香1) 高島侑美2) 舩木勇人2) 渡辺 茜2) 高木純一郎2)

1)石川県立中央病院 歯科技術室

2)石川県立中央病院 歯科口腔外科

キーワード 周術期口腔機能管理 口腔粘膜炎 中咽頭がん 化学放射線療法

【目的】 MA-T®(Matching Transformation System®)は亜塩素酸イオンから水性ラジカルを要時生成することでウイルスの不活化と種々の菌の除菌を可能にする酸化制御技術のことであり,MA-T®含有の口腔衛生製品は様々な症例に有用と期待されている。今回MA-T®製品を用いることで,頭頸部癌の化学放射線療法が完遂された症例について報告する。

【症例の概要】 X年1月某急性期病院耳鼻咽喉科より右中咽頭癌(T4N1M0 Stage3)にて化学放射線療法開始前の口腔スクリーニングのため同院歯科口腔外科(以下,当科)紹介となった。当科初診時の口腔衛生状態は良好であった。治療開始43日目(シスプラチン療法2クール,放射線照射50Gy(2G×25))で強い咽頭部の訴えがあった為,当科歯科医師の指示の下歯科衛生士によるケアサポート介入となった。なお学会発表に関しては患者,主治医,歯科医師の同意を得ている。

【経過および考察】 再介入時の口腔内所見は,軟口蓋に癒合した潰瘍があり嚥下が困難な状態であった。口腔粘膜炎グレード分類CTCAEver.3.0はGrade3,疼痛はNRS(Numerical Rating Scale):9であった。疼痛コントロールは局所麻酔薬含有含嗽剤とアルギン酸Na内用液を第一選択としたが本人の不快感が強く使用できなかった。そのためMA-T®含有ジェルを歯磨剤と保湿目的に提案したところ,セルフブラッシングが可能となり,疼痛もNRS:5に緩和し,残りの治療を完遂した。MA-T®の抗菌・保湿作用が口腔粘膜炎からの二次感染予防と疼痛緩和に寄与したと考察する。

【結論】 MA-T®含有の口腔衛生製品は重度口腔粘膜炎患者の症状緩和に有用であった。

P-17 ポスター発表 某大学歯科病院における周術期等口腔機能管理の実態調査

○木内怜穂1) 柴田由美1,2) 豊永紗栄1) 西川友梨子1) 松原こずえ1) 木村有子1,2)

1)昭和医科大学歯科病院歯科衛生室

2)昭和医科大学大学院保健医療学研究科

キーワード 周術期口腔機能管理 大学歯科病院 専門的口腔衛生処置 埋伏抜歯 顎変形症

【目的】 令和6年度の診療報酬改定にて,入院期間が2日を超える歯科疾患に係る手術についても周術期等口腔機能管理料の算定が可能となった。今回,新たに対象となった顎変形症等の歯科疾患に対する周術期等口腔機能管理の実態を調査し,今後の課題について検討した。

【対象および方法】 令和6年6月から12月までに周術期等口腔機能管理料を算定し,歯科医師の指示を受けて歯科衛生士が専門的口腔衛生処置を実施した374名を対象とした。口腔内状況を含めた患者情報を診療録から後方視的に調査した(昭和医科大学倫理委員会承認番号:2024-249-B)。

【結果および考察】 男性153名,女性221名で平均年齢は36.2歳であった。抜歯等の手術が173名と最も多く,ついで顎変形症骨切り等の手術が83名であった。手術前後に専門的口腔衛生処置を実施したのは98名,術前のみが262名,術後のみは14名であった。術前に実施した360名のうち4mm以上の歯周ポケットを有する者は171名,歯肉出血は144名,動揺歯は25名に認め,PCRの平均値は48.8%であった。手術前の口腔内評価では口腔環境が不良な患者が多く,周術期にかかわらず日常的な口腔健康管理の不徹底が推察された。

【結論】 歯科疾患に係る手術を行う患者において周術期等口腔機能管理を実施した結果,口腔内に問題を抱えている患者が多い傾向があきらかとなった。そのため,歯科疾患に係る手術においても術後合併症予防を目的とした周術期等口腔機能管理の重要性が示唆された。入院前の外来通院時から術後まで周術期等口腔機能管理がすべての対象者に実施できるよう,多職種との連携体制の調整が今後の課題である。

P-18 ポスター発表 歯科衛生過程を活用した業務記録のあり方の検討─就業施設別にみた記録情報─

○宮澤絢子 江﨑ひろみ

神戸常盤大学保健科学部 口腔保健学科

キーワード 歯科衛生過程 業務記録 歯科衛生士 質問紙調査 多職種連携

【目的】 歯科衛生過程を活用した業務記録は,多職種との情報共有に有用である。本研究は,記録の残しにくさを明らかにし,その改善を目的としている。今回は就業別にみた記録情報について検討した。

【対象および方法】 A大学短期大学部口腔保健学科卒業生748名および臨地実習施設22件に就業する歯科衛生士59名,計807名を対象に質問紙調査を実施した。主な質問項目は,基本属性,業務記録の必要性,歯科衛生過程の記録情報,SOAP式記録の活用状況とした。分析はカイ二乗検定,フィッシャーの正確確立検定を用い,有意水準は5%とした(神常短研倫第23-5号)。

【結果および考察】 106名(13.1%)が回答し,有効回答90件を分析した。平均年齢27.7歳,就業施設は歯科診療所80%,病院14%,その他6%であった。業務記録の必要性を約80%が認識していたが,1割程度は記録を作成していなかった。記録媒体は,紙が半数以上,デジタル30%,併用15%であり,主な就業施設で比較すると,病院ではデジタル媒体の使用率が9割以上と有意に高かった(p<0.001)。記録項目は,実施内容,客観的情報,担当歯科衛生士氏名は9割以上,主観的情報は6割程度が記録しており,就業施設間で差はなかった。SOAP形式の記録は,多職種連携の実践の場である病院においても半数に留まった。

【結論】 業務記録の必要性は多くが認識していたが,患者の全体像をとらえる主観的情報や歯科衛生過程を活用したSOAP形式の記録作成は一部に留まった。客観的情報,主観的情報は患者を把握するために重要であり,その記録は多職種連携に有用であるため,今後は記録のしにくさなどの活用を阻む要因の検討を進めていく。

P-19 ポスター発表 某大学病院の新人看護師における口腔ケア研修の効果に関する報告

○岡留朝子1) 中村次代1) 塚本葉子1) 疋田春奈1) 菊村里香1) 江口恭世2) 渡邉則子2) 奥菜央理3) 井上良介3) 山添淳一3)

1)九州大学病院 医療技術部 歯科衛生室

2)九州大学病院 看護部

3)九州大学病院 高齢者歯科・全身管理歯科

キーワード 新人看護師 多職種連携 口腔ケア研修 満足度

【目的】 急性期病院では,周術期や化学療法・放射線療法,集中治療室管理を要する患者に対し,呼吸器合併症,口腔機能の廃用予防のため日々の口腔ケアは重要である。今回,新人看護師の「多職種連携口腔ケアに関する意識と口腔ケアの現状」について入職後に行う口腔ケア研修の効果を明らかにし,今後の研修に反映することとした。

【対象および方法】 2022年4月に入職し6月に口腔ケア研修を受講した新人看護師121名に対して研修前後と実務経験後に無記名自記式質問紙調査を実施した。受講前後の新人看護師の口腔ケアへの興味・重要性の認識,知識技術の自己評価について解析を行った。(Pearson's chi-square test, Kruskal-Wallis test, Mann-Whitney U test)九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会(許可番号:23019-00)

【結果および考察】 多職種連携の口腔ケア活動の興味に関する肯定的回答は,研修前78%から研修後96%へ上昇し,1年後83%であった(p<0.001)。口腔ケアにおける多職種連携の重要性や口腔ケアの流れ・観察ポイントの説明に関する肯定的回答も,研修前・研修後・1年後の調査で有意な上昇を認めた(p=0.008, p<0.001)。口腔ケアの知識技術における自己採点(点)では,研修前42.4±20.9,研修後67.3±14.3,1年後61.7±14.8であり,本講義・演習の満足度(点)は研修後92.7±9.0,1年後83.0±13.0と有意に変化した(ともにp<0.001)。1年後の調査結果から,再度情報提供や研修会の必要性が示唆された。

【結論】 研修前後で口腔ケアに関する意識や満足度などが向上した。また,実務経験後の研修会等の検討が必要である。

P-20 ポスター発表 某短期大学歯科衛生士研修支援センターにおける取組み─デジタル技術のスキルアップ研修─

○黒木まどか 馬場篤子 南 レイラ 石井綾子 川㞍 望 高木未沙稀 中園栄里 井上庸子 後藤加寿子 堀部晴美

福岡医療短期大学

キーワード 歯科衛生士 復職支援 離職防止 スキルアップ IOS

【目的】 近年,デジタル技術の進化により歯科医療では,診断精度や治療効率が向上し,質の高い医療の提供が可能となっている。某短期大学歯科衛生士研修支援センターでは,令和5年度より歯科衛生士の復職支援・スキルアップ・新人支援を目的としたセミナーを開催している。今回,口腔内スキャナー(以下IOS)研修受講者への質問紙調査の結果と今後の課題について検討したので報告する。

【対象および方法】 令和5・6年度のIOS研修受講者46名を対象に,卒業年,勤務状況,他の資格取得の有無,日本歯科衛生士会の所属,講義や演習の満足度,知識と操作の修得度,研修への感想・要望(自由記載)を調査した。満足度と理解度は4件法または5件法で評価し,受講前後の修得度の比較はVAS(Visual Analogue Scale)を用いた。統計解析にはχ2検定およびWilcoxonの順位和検定を用いた。本研究は学校法人福岡学園倫理審査委員会の承認(承認番号第681・686号)を得て行った。

【結果および考察】 卒業年は令和6年卒が最も多く32.6%,現在就業中は60.9%,日本歯科衛生士会会員は23.3%であった。「講義の内容はよく理解できた」と69.6%が回答し,実習における知識・技術の修得度(VAS)は受講後に有意に向上した(p<0.001)。以上より,本研修が一定の教育効果を有することが示唆された。一方でIOSの活用は,治療効率や患者満足度の向上に寄与する有用な技術であるが,教育過程における技術修得への対応は十分とは言えず,教育内容や指導体制の見直しが求められる。

【結論】 デジタル技術の進展に伴い,歯科衛生士の業務も変化していくと予想され,本センターとしては,継続的な研修会の開催を通じ,実践力の高い人材育成に貢献したい。

P-21 ポスター発表 某短期大学歯科衛生士研修支援センターによる口腔健康管理研修の成果と課題

○常清美佑 馬場篤子 高木未沙稀 森沙耶香 黒木まどか 井上庸子 中園栄里 秋竹 純 古野みはる 堀部晴美

福岡医療短期大学

キーワード 歯科衛生士研修支援センター 復職支援 離職防止 スキルアップ 訪問歯科診療

【目的】 近年歯科衛生士の人材不足から,厚生労働省は平成29年より「歯科衛生士に対する復職支援・離職防止等推進事業」を推進し,本学では令和5年度より歯科衛生士研修支援センターを立ち上げた。令和6年度は,訪問歯科診療に携わるために必要な口腔衛生管理と口腔機能管理に主眼を置き,4回の研修会を開催した。そこで受講者に実施した質問紙調査の結果と今後の課題について報告する。本研究は学校法人福岡学園倫理審査委員会の承認(第686号)を得て行った。

【対象および方法】 令和6年度歯科衛生士研修支援センター主催の研修プロブラム全8回のうち,口腔衛生管理と口腔機能管理に関連した4回の研修会を受講した計78名を対象に,「口腔ケアの基礎知識と実践」「食べる機能の理解と食支援」「地域福祉に関わる歯科衛生士の役割・認知症高齢者の理解と支援」「口腔機能の評価と支援」に対する講義や演習の満足度,知識と手技の理解度と修得度等を調査した。満足度と理解度は4件法または5件法で評価し,受講前後の手技の修得度の比較はVAS(Visual Analogue Scale)を用いた。統計解析にはχ2検定およびWilcoxonの順位和検定を用いた。

【結果および考察】 講義に関するスライドや内容,説明ではほとんど全員が理解できた,興味深かったと回答した。手技の修得度(VAS)は,知識・操作共に受講後は大きく向上した。今後,訪問に携わる歯科衛生士の需要は増加することが予想され,特に口腔機能に関する支援は必須と考える。

【結論】 今回の研修が,歯科衛生士の臨床実践能力の向上に有効であると同時に,この研修会を紹介したいと回答した受講者がほとんどであったことから,次年度以降も継続していくことが必要と考える。

P-22 ポスター発表 歯科衛生士をめざす学生の多職種連携教育の効果

○山下未雪1,2) 後藤君江1) 鈴木一吉1) 相原喜子1) 犬飼順子1)

1)愛知学院大学短期大学部専攻科(口腔保健学専攻)

2)朝日大学医科歯科医療センター歯科衛生部

キーワード 歯科衛生学生 多職種連携教育 専門職アイデンティティ

【目的】 歯科衛生学生の多職種連携教育(IPE:Interprofessional Education)の教育効果を明らかにするために,IPE受講前後に歯科衛生士としてのアイデンティティ形成に関する質問紙調査を実施した。

【対象および方法】 調査対象はA短期大学部歯科衛生学科1年のIPE受講学生とした。本IPEはA大学の歯学部,薬学部,健康栄養学科の1年生が医療に関わる題材を元にグループ討論を行う半日コースで,2024年6月に実施した。調査に同意した学生を対象に質問紙調査を行った。質問内容は,歯科衛生士の専門職アイデンティティ形成に関する現在と将来の自分について,選択肢は「非常にそう思う」から「まったくそう思わない」の5件法とした。同じ質問をIPE受講前後に行った。本研究は愛知学院大学短期大学部倫理委員会(承認番号24-008)の承認を得て実施した。

【結果および考察】 105名の回答を得た(有効回答率96.3%)。現在の自分では「私は自分の後輩が歯科衛生士になりたいと言ったら勧めると思う」は受講後は前より「非常にそう思う」の割合が25.7%から40.0%に増えた。IPEを通して自職種の役割を再認識し,モチベーション向上につながったと思われる。入学後の早い段階でのIPEは,学生が自身の職種について改めて考える機会になったと考えられる。将来の自分では「私は歯科衛生士を長く続けたいと思う」は受講後は前より「非常にそう思う」の割合が26.7%から38.1%に増えた。職種混成のグループ討論を通じて自身の専門性を認識することが,将来の職業観を考える契機になったと推察される。

【結論】 IPEは,職業意識を高める重要な学習の場であることが示された。このことから,IPEは歯科衛生学生の専門職アイデンティティ形成に効果があることが示唆された。

P-23 ポスター発表 歯科衛生士をめざす学生の歯科衛生教育の効果の調査

○竹村文伽 渡邊幸慧 近藤久貴

愛知学院大学短期大学部専攻科(口腔保健学専攻)

キーワード 歯科衛生教育 学生 歯科保健行動 定期歯科受診

【目的】 2022年の歯科衛生学教育コア・カリキュラムの改訂で,歯科衛生教育は知識中心から学生主体の学習へと変化し実践力が重視されるようになった。これまで,臨床実習の効果に関する研究はあるが,教育全体の効果を評価した研究は少ない。そこで歯科衛生教育の効果を評価するため,歯科衛生士学生の口腔および健康に対する認識を比較検討することを目的とした。

【対象および方法】 A大学短期大学部歯科衛生学科学生316名を対象とした。質問項目は属性,健康に対する認識(以下,各尺度),口腔清掃習慣とし,無記名自記式Web質問票調査を実施した。本研究は,愛知学院大学短期大学部倫理委員会(承認番号24-010)の承認を得て行った。

【結果および考察】 歯科衛生士学生の歯科医院の受診動機は定期歯科受診が最も多く,3年生は1,2年生に比べて定期的に受診していた。学年別の各尺度の得点では,歯科保健行動で有意な差を認め,1年生よりも3年生の方が高い結果となった(p<0.05)。また,口腔清掃用具の使用状況は,学年が上がるにつれて使用数が増加していた(p<0.05)。したがって,教育が個人の学習から対人スキルへと発展するプロセスが,行動変容に大きく関わっていると考えられる。

【結論】 歯科衛生教育が学生の歯科保健行動に与える影響は大きく,特に口腔清掃用具の使用状況や定期歯科受診率の向上に寄与していることが明らかになった。このことから,教育課程の中で行われる知識習得や実習を通じた臨床経験が,学生自身の健康意識やセルフケア行動の向上に貢献していると考えられる。

P-24 ポスター発表 通いの場における口腔機能向上を目指した介護予防推進事業実習プログラムの検証

○山本智美1) 森野智子2) 長谷由紀子3) 中村和美1) 仲井雪絵4)

1)静岡県立大学短期大学部

2)静岡県歯科衛生士会

3)広島大学大学院医系科学研究科歯周病態学研究室

4)神奈川歯科大学歯学部小児歯科学講座

キーワード 通いの場 介護予防実習 歯科衛生学生 口腔機能向上

【目的】 A短期大学では,地域の通いの場に集う高齢者に対して口腔機能低下の予防を目的とした歯科保健指導を実践する実習を新規導入した。本研究の目的は実習施設の運営スタッフと履修学生の評価を比較し,本実習の改善に向けた課題を抽出することである。

【対象および方法】 令和6年度A短期大学部歯科衛生学科2年生47名と介護予防推進事業実習施設であるB市ミニデイサービス(いきいき教室)4か所の運営スタッフ39名を対象に,同実習終了後,同じ評価項目で構成された質問票を用いてアンケートを実施した。運営スタッフは無記名自記式で回答し,学生は学習目的で自己評価を実施した。成績評価確定後,自己評価の研究への二次利用に同意の得られた者を分析対象とし匿名化を行った。評価項目は事前見学(情報収集),計画(事前準備),実施内容,媒体説明,参加者への対応の5項目(4段階:できた,少しできた,あまりできなかった,できなかった)とした(静岡県立大学研究倫理審査委員会承認番号6-18)。

【結果および考察】 情報収集,計画,実施内容,媒体説明の4項目について「できた」と回答した割合は学生より運営スタッフの方が有意に高かった(46.8%,71.1% p<0.05, 40.4%,78.4% p<0.01, 25.5%,78.8% p<0.001, 40.4%,72.2% p<0.01, Fisherの正確確率検定)。参加者への対応について有意差は見られなかった。運営スタッフの評価は高いものの,学生の自己評価は低かった。このことから学生は専門的知識の応用力と指導力不足を実感したものと考えられた。

【結論】 専門職としての知識を十分身につけ,その知識を応用し対象者に適した実習が展開できるような学生指導を工夫する必要性が示唆された。

P-25 ポスター発表 子どものプレパレーションに活かす子育て支援施設実習の学び─玩具と遊びの気づき─

○江﨑ひろみ 水村容子

神戸常盤大学保健科学部口腔保健学科

キーワード プレパレーション 玩具 遊び 子育て支援施設実習 計量テキスト分析

【目的】 小児歯科保健に不可欠なプレパレーションとは,治療を受ける小児の認知発達に応じた方法で説明を行い,小児が頑張ろうとする意欲を引き出す関わりである。本研究は,子育て支援施設実習における玩具と遊びの学びを明らかにし,プレパレーションに活かす教育上の示唆を得ることを目的とした。

【対象および方法】 A大学口腔保健学科3年生62名の実習記録「玩具と子どもの成長の観察」62件を対象とした。記述は,玩具の特徴,安全の工夫,玩具や遊びの気づきとした。分析は,計量テキスト分析に加え質的記述的分析を行なった(承認番号:神常短研倫第23-2号)。

【結果および考察】 127文脈を用いて品詞自動分類で4264語を抽出した。最頻出語は,子ども,遊ぶ,発達,工夫,安全等だった。質的記述的分析により34〈サブカテゴリ─〉,9《カテゴリー》を抽出した。学生は《玩具は体に合わせて制作している》《年齢月齢に適した玩具遊びがある》《玩具に遊び道具以外の価値を見出す》《玩具遊びは知能,運動能力,社会性の発達を促す》ことに気づき,発達段階に適した玩具選択の必要性を理解していた。また,遊びを通して《子どもが楽しく遊べる手作りの工夫がある》ことや《玩具遊びが与える効果に気づく》ことで遊びの意味を広く捉えており,《玩具調べから探求心が高まる》者も認められた。さらに子育て支援施設では《玩具には様々な安全の工夫がある》ことと《子どもだけでなく保護者も安心して遊べる》環境を提供することで,信頼関係を築くと考察していた。

【結論】 玩具の観察と共に遊ぶ体験は,プレパレーションを遂行する上で必要となる1.子ども個々の発達段階を理解する2.発達に応じたツールを選択する3.遊びは子どもの理解を促す4.子どもと保護者を含めた信頼関係の構築に気づく教育効果が示唆された。

P-26 ポスター発表 歯科保健指導の歯科衛生教育モデルの開発方法について

○金子信子 杉山 勝 埴岡 隆

宝塚医療大学保健医療学部口腔保健学科

キーワード 歯科保健指導教育 行動変容支援 成人向け教育の系統的教育法 教育モデル

【目的】 歯科衛生士は,保健政策「ライフコースを通した誰一人取り残さない健診」に対応する必要があり,行動変容の高いスキルが求められている。そのため,歯科衛生士教育機関においては,行動変容に関する基本的な教育が重要である。我々は,WHOが禁煙指導用に普及させ,行動変容支援に有効であることが明らかになっている「成人向け教育の系統的教育法(以下,新教育法)」に着目し,新教育法を適用した授業が行動変容に関する基本的な教育に有効かを検討する予定である。

本研究では,上記の検討を行うための方策について検討したので,報告する。

【対象および方法】 教育モデルについて検討するために,1)新教育法を適用する科目を選定し,評価の対象とする授業を抽出した,2)対照として,新教育法を適用しない授業を決定した。新教育法の効果について評価するために,当該を受けた学生と実施した教員を対象として授業前後のアンケートを実施することにした。倫理審査承認番号:宝塚医療大学2503051

【結果および考察】 教育モデルの評価対象としたのは「摂食嚥下障害論(以下,A)」と「歯科保健指導論(以下,B)」の2科目である。Aでは「要介護高齢者」に関する授業を基準授業とし,「摂食嚥下機能訓練対象者」に関する授業を新教育法適用授業とした。また,「全身疾患を有する患者」に関する授業を教育法非適用授業とした。Bでは教員の能力を検討するために,「禁煙指導」について2名の教員が授業を行うことにした。学生アンケートではリッカート尺度を用いて授業の理解度を評価し,教員アンケートではルーブリック方式を用いて教育に評価することにした。

【結論】 今回は新教育法を適用した教育モデルについて検討する方策について検討し,試案を作成した。

P-27 ポスター発表 歯科衛生士教育についての分析・検討について─臨地実習後アンケートからの知見─

○佐藤美紀1) 原田千明1) 髙橋真優1) 小山内奈津美1) 鹿内真澄2) 松宮久美2)

1)津軽保健生活協同組合 健生病院

2)弘前医療福祉大学短期大学部 口腔衛生学科

キーワード 歯科衛生学生 臨地実習 アンケート

【目的】 某病院は,歯科標榜を持たない医療機関であるが,歯科衛生士養成校からの要請を受け2023年10月より臨地実習を開始した。病院歯科衛生士に求められる実習内容は主に多職種連携と口腔健康管理である。本研究の目的は,実習後のアンケートの分析と現状の課題を把握することである。

【概要および方法】 対象は,2024年10月から2025年1月の期間に,某病院で実習を行った某短期大学口腔衛生学科2年生14名である。アンケ─トは,実習内容,指導者への評価,課題,改善点を,自由記述式とリッカート尺度の5段階法にて実施した。調査は実習終了後に行い,分析方法はGoogle Formsに表示された回答を単純集計した。倫理的配慮:研究目的や意義,研究方法や研究期間,研究参加は自由意思であること,プライバシー保護と個人情報の取り扱いを説明し同意を得た。

【結果および考察】 結果は「実習内容は自分の学びに役立った」「実習指導者から十分なフィードバックをもらえた」「指導者は実習内容についてわかりやすく説明してくれた」は,ややそう思う・そう思うが100%であった。「知識・技術に対する向上心・探求心を発揮できた」「入院患者の口腔衛生管理,病態についての理解できた」は,ややそう思う・そう思うが92.3%で,実習内容や指導体制に対して学生の満足度は高く,病態の理解や自主性の向上に繋がった可能性があった。また「今後の実習で取り入れてほしい内容があると感じた」は,ややそう思う・そう思うが30.7%であり,実習内容の修正や再検討が必要と考えられた。

【結論】 実習は,学生の病態理解や自主性向上に有用であり,指導体制や実習内容に対する満足度も非常に高かった。一方で,実習内容のさらなる改善が必要であり今後の重要な課題と考えられた。

P-28 ポスター発表 多職種による骨粗鬆症啓発活動の取り組みに歯科衛生士として参加して

○粕谷和可菜1) 平山幸子1) 室橋由里子1) 内山今日子1) 伊藤樹里1) 野木由美子2) 桑原 晃2) 百本陽子2) 中尾理恵子2) 山下正臣2)

1)独立行政法人地域医療機能推進機構船橋中央病院 歯科口腔外科

2)独立行政法人地域医療機能推進機構船橋中央病院 骨粗鬆症センター

キーワード 骨粗鬆症 多職種連携 啓発活動

【目的】 某病院では,高齢化の進展に伴い増加している骨粗鬆症患者の治療率改善を目指し,2018年より二次骨折予防に対する取り組みを開始した。また,2021年から一次骨折予防を目的に骨粗鬆症センターを開設し,病院として骨粗鬆症リエゾンサービスに力を入れている。今回,地域住民に向けた骨粗鬆症についての啓発活動の一環として,多職種による市民公開医療講座を企画し,実施したので報告する。

【概要および方法】 2023年10月および2024年2月に地域住民を対象に,公開医療講座を近隣公民館にて実施した。管理栄養士,理学療法士,歯科衛生士,歯科医師,整形外科医師による講演,希望者に対しVRを用いた骨折疑似体験会を開催した。

【経過および考察】 10月の講演会には76名,3月の講演会には79名の参加があり,両講演会とも70歳代以上の女性の参加者が7割以上を占め,高年層の骨粗鬆症に対する関心の高さが伺えた。アンケート結果より,多職種による講演は専門性が高く,地域住民にとって骨粗鬆症に関する幅広い知識を得る一助となったと思われる。また,歯科医師・歯科衛生士の講演では,口腔衛生管理の大切さと骨粗鬆症の関連についての理解が深まり,定期的な歯科受診やかかりつけ歯科医を持つ事を促す動機付けに繋がったと考えられた。

【結論】 参加者の中には,骨粗鬆症について何らかの不安を持っている人も多く,医療者による骨粗鬆症に関する知識提供の場の重要性が明らかとなった。今後は,骨粗鬆症リスクが高まるとされる閉経前後の女性に対しての啓発活動を強化していくとともに,歯科衛生士の立場からも骨粗鬆症予防につながる口腔衛生管理の大切さについて発信を継続していきたいと考える。

P-29 ポスター発表 歯科衛生士の倫理綱領事例集の作成に向けた取り組みの報告

○安井真奈美1,8) 前田尚子2,8) 小村照代3,8) 船奥律子4,8) 宮崎晶子5,8) 大宮由布子6,8) 山村有希子7,8) 畠中能子9) 石川裕子10)

1)岐阜県立衛生専門学校

2)三重県立公衆衛生学院

3)兵庫県歯科衛生士会

4)四国歯科衛生士学院専門学校

5)日本歯科大学新潟短期大学

6)仙台青葉学院短期大学

7)千葉県立保健医療大学

8)日本歯科衛生教育学会 教育活動委員会

9)関西女子短期大学

10)独立行政法人国立病院機構 千葉医療センター千葉東病院

キーワード 歯科衛生士 倫理綱領 啓発 活動報告

【目的】 令和元年に日本歯科衛生士会において,16の条文で構成される歯科衛生士の倫理綱領(以下,倫理綱領)が策定された。これを歯科衛生活動の行動指針として啓発していく必要があると考えられる。歯科衛生士養成機関の教員が多く所属する日本歯科衛生教育学会(以下,DH教育学会)の教育活動委員会(以下,本委員会)では,倫理綱領の教育が進展することを目的に,DH教育学会の学術大会において,本委員会セッションを実施し,倫理綱領の条文に沿った事例集の作成に取り組んできた。今回,その活動について報告する。

【概要および方法】 令和4・5・6年度に開催されたDH教育学会学術大会の本委員会セッションでは,各条文の事例検討のグループディスカッションや,倫理綱領の授業展開例の紹介などを行った。また,本委員会セッション終了後に,参加者教員を対象にアンケートを実施し,倫理綱領の教育上の課題を抽出した。(日歯大新潟短大倫理審査委員会承認番号:NDUC-116)。

【経過および考察】 アンケートの結果では,「倫理綱領の理解を深めたい」「授業の実践方法を知りたい」という回答がみられた。3回にわたる本委員会セッションをとおして,倫理綱領を教育するための教材が不足していることが考えられた。また,歯科衛生学生および歯科衛生士に広く理解されるためには,歯科診療の場面を想定した具体的な事例を示す必要があると思われた。これらのことから,本委員会では歯科衛生士の倫理綱領の事例集を作成することとした。

【結論】 日本歯科衛生教育学会教育活動委員会では,本委員会セッションの過程で抽出された教育上の課題について検討し,現在,16の条文をもとに,条文の解説およびどのように考えるか記載した事例集を作成することとなった。

P-30 ポスター発表 令和5・6年における在宅歯科保健医療に従事する歯科衛生士の人材育成プログラムの活動報告

○畑 尚子1) 浅枝麻夢可1) 西村瑠美1) 前原朝子2) 松本厚枝1) 三好早苗3)

1)広島大学大学院医系科学研究科口腔保健疫学

2)広島大学大学院医系科学研究科公衆口腔保健学

3)一般社団法人広島県歯科衛生士会

キーワード 在宅歯科保健医療 人材育成プログラム 口腔健康管理

【目的】 広島県地域医療介護総合確保事業に令和4年度から採択され,歯科衛生士に対し在宅および施設において口腔健康管理の実践能力を習得するためのリカレントプログラムを構築し,在宅歯科保健医療に従事する歯科衛生士の人材育成を行っている。今回は,令和5・6年における本事業の活動実績について報告する。

【概要および方法】 研修会は,日本歯科衛生士会の第5次生涯研修制度に基づく専門研修(基本研修)C特定コース「c 在宅歯科医療の基礎」を参照し,講師として歯科医師,歯科衛生士,看護師,理学療法士,言語聴覚士,管理栄養士,薬剤師,介護支援専門員の多職種による講義および演習を実施した。受講者には発表の同意を得た。

【経過および考察】 研修会は,令和5年1月~令和6年12月に,対面型研修を16回(臨地実習を含む),オンライン研修を5回,計21回開催した。受講者は,22~73歳の女性,延べ403名で,平均年齢は48.4±7.39歳であった。受講者の45.6%が在宅歯科保健医療に従事しており,18.5%が今後従事予定であった。現在在宅歯科保健医療に従事している者の従事年数は「10年以上」が44.7%で最も多く,長期間従事している者が約半数を占めていた。日本歯科衛生士会主催の認定分野A「在宅療養指導・口腔機能管理」の認定資格取得者は26.4%であった。受講後アンケートでは,「研修内容は理解できた」と回答した者が99.1%,また「受講して良かった」と回答した者が99.4%であった。

【結論】 今回の結果から,本プログラムは受講者の高い理解度と満足度を得ることができ,在宅歯科医療従事に必要な臨床能力習得に寄与することが示唆された。今後も受講者のニーズを活かしたプログラムとなるよう検討を重ねていきたい。

P-31 ポスター発表 某大学における歯科衛生士就業継続等支援事業の活動報告

○浅枝麻夢可1,2) 光井満月1) 相見礼子1,2) 倉脇由布子2) 三隅恵子2) 西村瑠美1,2) 松本厚枝1,2) 内藤真理子1,2) 竹本俊伸2,3)

1)広島大学大学院 医系科学研究科 口腔保健疫学

2)広島大学歯学部歯科衛生士教育研修センター

3)広島大学大学院医系科学研究科口腔保健管理学

キーワード 復職支援 就業継続支援 人材確保 人材育成教育

【目的】 令和6年9月に,広島県地域医療介護総合確保事業の歯科衛生士就業継続等支援事業に採択され,歯科衛生士の復職・就業継続支援および人材確保対策の推進を目的とした活動を行っている。今回は,令和6年度における本事業の活動実績について報告する。

【概要および方法】 復職・就業継続支援を目的とした相談窓口を新規に設置し,周知のためのホームページ開設および案内チラシの作成・配布を行った。また,就業継続に関する研修や人材育成担当者対象の研修も実施した(広島大学疫学研究倫理審査委員会:E-1868)。

【経過および考察】 令和6年10月に相談窓口を設置し,広報用チラシを作成,11月に関連団体へ配布した。相談はメールやオンラインでも対応可能とし,延べ35件中,メール6件,オンライン1件の利用もあった。相談者は平均38.6±9.5歳,相談内容は人間関係が12件(33.3%)で最も多く,次いで就活・再就職関連,研修・認定関連がそれぞれ5件(13.9%)だった。ホームページは11月に開設し,各チラシへのQRコード掲載,関連団体ホームページへのリンクバナー掲載も行った。令和7年2月には一部をリニューアルし,研修情報等を随時更新できる体制を整えた。研修会は対面とオンラインを各1回開催した。1月の就業継続セミナーは,受講者8名で,アンケート回答者7名全員が「研修内容は理解できた」と回答した。3月の人材育成教育担当者セミナーは,受講者13名で,アンケート回答者12名全員が「受講して良かった/とても良かった」「本研修が離職防止に繋がると思う/強く思う」と回答した。

【結論】 今回の結果から,本事業は歯科衛生士が直面するさまざまな課題に対応し,復職・就業継続支援に貢献できることが示唆された。今後も受講者のニーズを踏まえた新たな研修企画や,広報活動を強化していく予定である。

P-32 ポスター発表 某大学病院NSTにおける歯科衛生士の現状と今後の役割に向けた院内での取り組み

○石井京子1) 水戸直子1) 石河理紗2) 渡部千代1) 山田 聡3)

1)東北大学病院 診療技術部 歯科衛生部門

2)東北大学病院 口腔支持療法科

3)東北大学大学院歯学研究科 歯内歯周治療学分野

キーワード NST 口腔衛生管理 多職種連携 アンケート

【目的】 患者の栄養管理にあたり,多職種連携の必要性や経口摂取における口腔管理の重要性は広く知られている。某大学病院では,2003年に栄養サポートチーム(NST)が発足し,歯科衛生士(DH)は2020年から参加,歯科専門職としての知識や経験を活かした包括的支援に貢献している。具体的にはカンファレンスや病棟回診に参加し,口腔管理についてのアドバイスを行い必要な歯科治療が受けられるようマネジメントを行っている。高齢者の増加に伴い,NSTにおける歯科の必要性は更に高まることが予想されることから,口腔管理のさらなる充実を目的に本調査を行った。

【概要および方法】 Googleフォームを用いて下記のアンケートを行った。

1.需要調査

対象:NST研修会に参加した医療従事者29名

内容:NSTへのDHの介入に関する認識,需要

2.実態調査

対象:院内DH21名

内容:栄養管理,口腔健康管理に関する知識,経験,自信

2の実態調査結果を元に研修会を実施した。研修会後に実態調査と同様のアンケートを行い,変化について評価した。なお,発表に際し,対象者に同意を得た。

【経過および考察】 需要調査の結果から,対象者は口腔機能や口腔ケアに関する関心が高いこと,開口維持困難な患者の口腔ケアに苦慮しており,歯科専門職の介入に期待していることが明らかとなった。実態調査を行ったことで,より充実した研修会の実施が可能となり,最終的なアンケート結果からDHの知識向上や口腔管理に対する自信の増強に繋がったことが分かった。

【結論】 本調査結果は,NSTにおける口腔管理の必要性とDHの果たすべき役割を明らかとした。これらに基づいた口腔管理を充実させることで,患者への包括的支援および多職種連携の強化に繋がるものと考える。

P-33 ポスター発表 歯科衛生士と看護師による口腔管理の看護業務改善の効果

○河野真由美 吉田涼子 前 紗也加 折川未来 三笘瑞希 五十嵐菜月 馬場海奏 本田智恵子

飯塚病院 医療技術部 歯科衛生室

キーワード 口腔アセスメント 看護師教育 業務改善

【目的】 入院患者の口腔内状況を適切に把握し対応することは,感染予防,QOLの向上,さらには早期退院の支援において重要である。某病院では看護師が日常的な口腔ケアを担当しているが,その知識や技術には差があり,ケアが十分とはいえない現状がある。その要因として,1.口腔アセスメントが十分に行われていない,2.口腔内状況に応じた適切なケアが提供されていない,3.看護師の口腔ケアに関するスキルにばらつきがあることが挙げられる。本研究では,これらの課題を解決するために,看護師と協働し看護業務の改善に取り組んだので報告する。

【概要および方法】

1.入院時に口腔アセスメントを取得することを看護業務にルーチン化

2.口腔内の状態に応じた口腔ケア方法のプロトコルを作成

3.看護師を対象に,口腔アセスメントおよび口腔ケアの知識・技術に関する勉強会を実施

【経過および考察】 口腔アセスメントのルーチン化により,看護師の口腔管理への意識が向上し,口腔内の問題を早期に発見できるようになった。また,口腔内の状態に応じた適切なケアを提供できるようになり,入院患者の口腔衛生状態が改善した。

【結論】 看護師は日常業務が多忙であるため,口腔管理が後回しになる傾向がある。しかし今回の取り組みでは,5W1Hを活用することで,ケアの目的,方法,実施タイミング,役割分担を明確化し,PDCAサイクルを円滑に稼働させることができた。その結果,口腔ケアの質を継続的に向上させることが可能となった。また,歯科衛生士が介入することで,看護師は限られた時間の中でも質の高いケアを提供できるスキルを習得し,患者の健康増進や経験価値の向上に貢献できた。

P-34 ポスター発表 高齢者が答えやすい質問紙作成についての報告 ─ハレの日プランカードの活用と多職種連携─

○吉田ちかみ1) 竹下幸枝2) 佐久間絵美3) 大野美穂4) 森本 緑5) 皆田絹代6) 楫野泰弘1) 前田憲邦7)

1)楫野歯科医院

2)えだクリニック整形外科・リハビリテーション科

3)杉本歯科医院

4)(社医)仁寿会加藤病院

5)島根県歯科衛生士会

6)小規模多機能ホームすずらん

7)前田歯科医院

キーワード 質問紙 ハレの日プランカード 高齢者 食支援 多職種連携

【目的】 高齢者の「食」に対する前向きな意識や食べたい意欲を引き出すことを目的に,大田食支援研究会(以下,食任会)が食支援の視点で作成した「ハレの日プランカード」の活用後において,食に対する意識や食べたい意欲の変化だけでなく,心理・社会的変化を把握するため,多職種で協働して質問紙を作成した。その質問紙作成の経緯と構成上の工夫について報告する。

【概要および方法】 質問紙の作成にあたり,医療・介護等の専門職で構成される食任会メンバーが協働し,構成や設問について検討を重ねた。高齢者の認知機能や理解度に配慮して,視認性や回答しやすさを意識した設計とし,選択式と自由記述を組み合わせた形式とした。

【経過および考察】 2024年6月,食任会メンバーである歯科医師,理学療法士,管理栄養士,社会福祉士,歯科衛生士の8名でプロジェクトチームを立ち上げ,Webミーティングやグループチャットを活用して質問紙の構成や内容について検討を重ねた。設問語句や選択肢の表現,記入のしやすさに関する課題については,食任会の定例会で他のメンバーの意見も取り入れながら調整を行った。特に,選択肢の明確化,文字サイズ・レイアウトの工夫,設問の簡素化に重点を置いた。多職種が連携することで,高齢者の多様な側面に配慮した意見交換が行われ,設問設計に広がりが生まれた。

【結論】 多職種の専門性を生かした多角的な視点での意見交換により,高齢者向け質問紙に必要な配慮を取り入れることができ,多職種連携の重要性を再認識した。

P-35 ポスター発表 海外在住日本人高齢者の医療・介護での問題点について-インドネシア・バリ島の事例を通じて-

○福田昌代

神戸常盤大学保健科学部 口腔保健学科

キーワード インドネシア・バリ島 日本人高齢者 医療 介護

【目的】 団塊の世代が引退を迎えた2010年以降,定年後に海外移住を選択する人が多くみられ,特に,日本国内より物価が安価で一年中温暖な気候である場所が人気の国となっている。しかし近年,COVID-19感染症による渡航制限,円安に伴う為替レートの影響,さらには物価の高騰などが加わり,移住した日本人高齢者にとって暮らしにくい環境となった。加えて,これら日本人が後期高齢者となり,加齢による老いや,一人暮らしの不安などの悩みが見受けられる。今回,日本人高齢者が多く,海外移住先の1つであるインドネシア・バリ島の現状について報告する。

【概要および方法】 インドネシア・バリ島サヌール地区にある日本人歯科医師がコーディネートしている現地歯科医院と,ギャーナル県ボナ村に2023年にオープンした日本人高齢者向けのシニアケアハウスの現状をもとに検討する。

【経過および考察】 インドネシアの平均寿命は73.5歳(2021年)であり,日本に比べると10歳程度低いことから,加齢に伴うオーラルフレイルなどは問題視されていない。また,日本では,介護サービスが充実しているが,バリ島の介護は家族介護が中心で施設に入ることはほとんどなく,日本人が現地の仕組みを利用するには,言葉や生活スタイルの違いなどにより厳しいのが現状である。2023年にオープンしたシニアハウスは日本人が開設しており,そこで働く職員は,日本の介護技能制度を利用して帰国した現地人を雇用しており,日本語の対応や日本で習得した介護サービスが受けられることが特徴である。日本人が海外を終の住処とするためには,このような日本人向けの対応が望まれる。

【結論】 日本人高齢者が海外で安心して生活するためには,医療・介護の観点で日本人向けの対応が必要であることが示唆された。

P-36 ポスター発表 某市児童発達支援センターA学園における多職種参加型歯科保健指導の報告

○佐久間洋子1) 阿部明美1) 黒岩亜季1) 藤山美里1) 小玉 剛2)

1)公益社団法人東京都歯科衛生士会

2)一般社団法人東京都東久留米市歯科医師会

キーワード 障害児歯科保健指導 多職種参加型 行動変容 視覚媒体

【目的】 東京都歯科衛生士会では1985年より東京都某市児童発達支援センターA学園(以下A学園)に通所する園児の歯科保健指導事業を実施してきた。本事業の40年にわたるこれまでの取り組みによる変化について報告する。

【概要および方法】 対象者は発達に遅れや障害を持つ乳幼児および保護者である。検討内容は歯科医師の検診回数,歯科保健指導の内容,A学園の取り組み,保護者の意識の変化などについて,事前事後のアンケートや感想文,職員の反省事項により調査を行った。

【経過および考察】 歯科医師の検診は年1回から3回に増加し,歯科講話も新たに実施され,歯科医師に直接質問できる環境も整えられた。歯科衛生士は1名から3名体制となり,歯科保健指導を年1回継続している。現在の歯科保健指導は集団指導20分,個別指導70分,保護者講話30分を導入し,個別指導には看護師2名増員され,職員の参加も増えた。それにより園児に対しても,きめ細かな指導ができた。この指導が園児の歯磨き習慣,口腔機能の向上に繋がったと考える。指導時には看護師により,対応の難易度,家庭の協力度,管理栄養士からの偏食や食形態に関する情報,作業療法士からの体位の工夫等の情報が個別にまとめられ,報告される。歯科に関わるアンケート等では歯磨き回数,仕上げみがきの向上,うがいへの取り組みが改善した事や,かかりつけ歯科医ができたとの回答が散見される。

【結論】 本事業により,A学園では職員による歯磨きの習慣化,園児の口腔機能向上や家庭での歯磨き習慣の構築に繋がったことが推測された。歯科衛生士が長期に歯科保健指導を行ったことで職員との意識の共有がされ,園児の口腔の健康が守られたと考える。今後さらに視覚媒体など増やすことで,歯科保健指導のさらなる充実を図りたい。

P-37 ポスター発表 某市におけるポピュレーションアプローチの報告介護予防手帳を用いて口腔への意識を高める

○松尾由佳1,2) 佐馬有賀1,2) 柏木淑江2) 田中千雅2) 中村典子2) 浅越政代2) 藤本京子2)

1)介護老人保健施設 鴻池荘

2)歯っぴいらぼ

キーワード ポピュレーションアプローチ オーラルフレイル 介護予防手帳 葛城あいうえお

【目的】 某市において令和4年度より「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施」が実施され,令和6年には市が介護予防手帳を作成し,口腔に関するページを設けたことで高齢者の口腔に対する意識が高まることにもつながった。本事業でわれわれが実施した集団教育の概要について報告する。

【概要および方法】 某市内在住の介護保険の該当者でない65歳以上の高齢者市内の「通いの場」27カ所,「いきいき100歳体操」「自主運動教室」等の高齢者の定期的に集まる場所において「オーラルフレイル」「口腔衛生の自己管理」「口腔から予防可能な疾患について」などにテーマを絞りポピュレーションアプローチ(集団教育)を年1回実施した。

【経過および考察】 年々開催機会は増加し,市が作成した介護予防手帳に低栄養予防とともにオーラルフレイル予防についての記載ページが設けられた。受講者数も多くなかったが,オーラルディアドコキネシスを測定する機器を使用し,口腔機能を記録することで関心が高くなった。口腔機能を意識させることは,コミュニケーション能力を維持することにもつながった。介護予防手帳に記載された口腔機能向上のための体操に,近隣の地名を入れて作成したことも受講者には親近感をもってもらえたのではないかと考察される。

【結論】 受講者がオーラルフレイルに関心が高いことは予測できたが,オーラルフレイルが全身疾患を招く要因であることは認知されていない。口腔ケアは,生きている限り続く整容の習慣であること,「食べる楽しみ」を持ち続けるためには,自身の「口腔機能管理」が必要である。「今,何をしなければいけないか」を伝達するには,「どのように生きていくか」を自問させることである。前期高齢者に指導できたことは,その後に続く後期高齢期に向けて有効であったと考える。

P-38 ポスター発表 集団歯科健診における歯間清掃啓発に関する質問紙調査

○荻山大輝1) 倉光祥平1) 高昌さほ1) 寺田直生2)

1)小林製薬株式会社ヘルスケア開発部

2)一般社団法人守口市歯科医師会

キーワード 集団健診 歯間清掃用具 使用率向上

【目的】 歯周病予防には歯間部の清掃が重要であるが,歯間部清掃実施者は低水準に留まっており,歯間清掃用具の普及が課題とされている。そこで,守口市歯科医師会と小林製薬と共同の上,集団健診時に歯問清掃用具の有用性の啓発とサンプリングを行うことで,健診受診者の歯間清掃用具の使用率等の変化を調査した。

【対象および方法】 2021年12月~2022年2月,2022年7月~12月,2023年9月~12月の守口市の集団歯科健診参加者を対象に,歯間清掃に関する啓発ポスターおよび製品サンプル(柄つきフロスおよびゴムタイプ歯間ブラシ)を提供した。その際に,歯間清掃に関する質問紙を取得し,各年度での変化を確認した。質問紙は無記名であり,調査への回答協力をもって同意を得た。匿名化されており倫理面に配慮した。質問紙の内容は,主に回答者の属性,歯間清掃具の使用実態についてであった。

【結果および考察】 2021年度に集団歯科健診を受けた質問紙回答者(完全回答者303人)の歯間清掃用具の使用率は56%であり,2023年度(完全回答者591人)の歯間清掃用具の使用率は74%まで増加した。令和4年歯科疾患実態調査(厚生労働省)によると,歯間清掃用具使用率の全国平均は50.9%であり,活動開始2年後の健診受診者の歯間清掃用具の使用率が大幅に上回っていた。歯間清掃の有用性の啓発とサンプリング活動が,受診者における歯科清掃用具の使用率の向上に寄与した可能性が考えられる。そのため,今後に導入が検討される国民皆歯科健診などにおいて,歯間清掃の啓発やサンプリングをすることで,歯間清掃用具の使用率向上や口腔ケアの意識向上につながると期待できる。

【結論】 集団歯科健診等による啓発活動は,歯間清掃用具の使用率の増加に効果的である可能性が示唆された。

P-39 ポスター発表 大学病院に勤務する歯科衛生士の感染予防対策意識および手指衛生遵守率向上に対する取り組み

○園田 香1,2) 木村有子1,2) 木内怜穂1) 安部知慧莉1) 西川友梨子1) 加藤承子1) 岩嵜知美3) 佐藤祥子4) 円谷英子1)

1)昭和医科大学歯科病院歯科衛生室

2)昭和医科大学大学院保健医療学研究科

3)昭和医科大学病院病院歯科

4)昭和医科大学藤が丘病院病院歯科

キーワード 手指消毒 感染対策 タイミング

【目的】 某大学病院では歯科衛生室独自の取り組みとして,感染予防対策意識及び手指衛生遵守率向上を目的に多角的な取り組みを実施している。今回,2024年度に実施した取り組みについて報告する。

【概要および方法】 対象は某大学病院歯科衛生士25名であった。取り組み内容1,年2回の手指衛生クロスモニタリング(7月・1月),2,感染症流行期前の手洗いチェッカーを用いた手洗い実習(12月)と小テストを実施した。対象者には同意を得て実施した。

【経過および考察】 1回目の「手指衛生5つのタイミング」のクロスモニタリングでは「体液を暴露された可能性がある場合」は56%が手指衛生を実施していたが,他のタイミングでは実施率が低かった。特に「患者に触れた後」の未実施率は87%であった。2回目クロスモニタリングでは「体液に暴露された可能性がある場合」や「患者に触れる前」の手指衛生剤実施率はやや低下したものの,手洗い実施率を含めると全体としての手指衛生実施率は同程度であり,1回目の結果より全体的に改善された。手洗い実習は,洗い残しの多い順に「爪と皮膚の間」「指と指の間」「手首」となった。「爪と皮膚の間」は手洗い6stepの指先に含まれる為,より細かい部位を意識して洗うことの重要性も示唆された。手洗い実習と同時に行った小テストでは,手指衛生5つのタイミングに関する問題の正答率は約70%であった。

【結論】 今回の取り組みにより,手指衛生実施率や手洗い残し部位を視覚的に図でスタッフへ啓発した事で,手指衛生実施率が向上したと考えられる。今後の課題として,手指衛生5つのタイミングを具体的に場面展開することが重要である。スタッフへの継続的な教育の実施と手指衛生遵守を促すことで,歯科衛生室全体の感染予防に対する意識の向上を目指すとともに,院内全体の感染予防対策に寄与していきたいと考える。

P-40 ポスター発表 DXデジタルトランスフォーメーション活用ハイブリッド型口腔健康教育の開発

○瀬戸口祐子 金子信子 埴岡 隆 杉山 勝

宝塚医療大学

キーワード 口腔健康教育 デジタルトランスフォーメーション ハイブリッド型教育 児童 健康経営

【目的】 紙媒体活用とデジタル技術活用のハイブリッド型口腔健康教育モデルの構築により,学齢期における持続可能な口腔健康習慣形成を支援するとともに,社員の矯正治療を通じた健康経営担当者の口腔健康管理の重要性意識を醸成するための口腔健康教育教材を開発する。

【概要および方法】 技術習得と知識定着に効果的である一方,時間的制約や継続的指導の困難さなどの課題がある対面指導による口腔健康教育にGIGAスクール構想のDXを適用し,主体的な自己管理能力向上を期待する。本研究では,従来型教育の本質的価値を基盤に,デジタル技術を活用した保健教育・管理を統合したハイブリッド型教育モデル開発を準備する。また,歯科を健康経営に導入するため,社員のための矯正治療に関する5分間のQ&A形式教育ビデオを作成・活用し,企業の健康経営担当者の口腔健康管理の意識の醸成を図る。

【経過および考察】 構築したハイブリッド型教育モデルにより,学童はオンラインプラットフォームを通じて自主的な学習が可能となり,対面教育の時間的制約や継続性の課題が軽減される。また,矯正治療の種類によるメリット・デメリット,期間,費用などに関する矯正治療Q&A動画の視聴により,健康経営における口腔健康管理の重要性の理解を高めることができる。

【結論】 DXを活用したハイブリッド型口腔健康教育モデルは,ハビリテーションの観点から学齢期の持続可能な口腔健康習慣形成を支援するとともに,矯正治療教育ビデオにより経営者の健康経営の重要性の理解を促進する。このアプローチの普及により,個人の生涯にわたる口腔健康の向上と企業の健康経営推進における新たな環境構築が期待される。

P-41 ポスター発表 歯科健診後に基づく高校生に対する口腔衛生管理の経過報告

○新井麻実 花谷早希子 細見 環 佐田夏穂 磯貝友希 古賀 恵 畑田晶子 畠中能子 村上伸也 脇坂 聡

関西女子短期大学

キーワード 口腔衛生管理 歯科受診行動 高校生

【目的】 A短期大学では,B大学附属高等学校生徒の歯科健診をA短期大学歯科医師および歯科衛生士教員が実施している。今回,歯科健診の結果,問題のある生徒に対して継続的な口腔衛生管理を行う活動を試みたので報告する。

【概要および方法】 活動の対象者は13名であった(B大学高等学校2024年度入学生の保護者(265名)に対して,活動内容の趣旨を文章で説明し同意が得られた者(41名)の中で,1年次歯科健診結果が,GおよびGOの者)。歯科健診後に口腔衛生管理を2回実施した(約2ヵ月後,8ヵ月後)。毎回,全顎歯周ポケット測定(6点法),PCR(プラークコントロールレコード),歯科保健指導,歯石除去,機械的歯面清掃を,約60分間かけて実施した。(関西福祉科学大学研究倫理審査委員会:承認番号23-27)。

【経過および考察】 対象者のうち2回の口腔衛生管理に参加できた者は5名(男子2名(G,GO各1名),女子3名(全員GO))であった。5名とも1回目のPCRは60%以上(最小値-最大値;66.1-92.9%)であったが,2回目では,全員約15-30%減少した。また,5名とも1回目では上下顎臼歯部に4mmの歯周ポケット値が認められたが,PCR値の高かった1名(1回目:92.9%)を除いて,2回目では1mmの歯周ポケット値の減少が認められた。歯科健診後の口腔衛生管理の実施で5名の口腔清掃習慣が改善されたことにより,うち4名では歯周ポケット値の減少につながったと考えられた。

【結論】 歯科健診後の継続的な口腔衛生管理は口腔内環境の改善につながることから,高校卒業後の定期的な歯科受診行動につなげられるように,本活動を継続してゆきたい。

P-42 ポスター発表 某急性期大学病院での摂食嚥下支援チームの活動実績とその取り組みについて

○成田祐貴子1) 上田美妃1) 齋藤紗彩1) 浅野莉央1) 阿部佑香1) 小野里有紀1) 内田健太2) 佐竹杏奈1) 平田亮介1) 大金 覚1)

1)帝京大学医学部附属病院歯科口腔外科

2)帝京大学医学部附属病院リハビリテーション部

キーワード 摂食・嚥下スクリーニングシート 専門的口腔ケア OHAT BDR指標 他職種連携

【目的】 某大学病院は,25科1066床の急性期病院である。その病院の摂食嚥下支援チームは2022年4月に発足された。チームは医師(リハビリテーション科,耳鼻咽喉科),歯科医師,摂食嚥下障害看護認定看護師,言語聴覚士,管理栄養士,薬剤師,歯科衛生士により構成されている。今回は,チーム内での歯科衛生士の役割,今後の課題を明確にすることを目的に,活動内容について報告する。

【概要および方法】 2022年4月から2025年3月までの3年間に,入院時に摂食・嚥下スクリーニングシートを用いて嚥下障害の有無をチェックし,チーム介入の依頼を受けて介入した全患者を対象とした。週1回のチームカンファレンスにて,栄養,食事,服薬の状態,咀嚼や口腔衛生状態などの情報を共有し,介入状況を確認している。歯科衛生士は主として口腔衛生管理を行い,OHATとBDR指標を用いて口腔衛生状態と自立度を評価し,介入頻度を検討している。発表に際して,対象者に文書を用いて同意を取得した。

【経過および考察】 チーム依頼件数は2022年499件,2023年504件,2024年574件であった。専門的口腔ケア件数は2022年12件,2023年63件,2024年101件であった。チーム依頼件数は年々増加しており,それに伴い専門的口腔ケアの介入件数も増加している。

【結論】 チームで診療にあたることにより病棟スタッフでは気付かなかった入院患者の問題点を抽出でき,口腔内に関しては歯科医師,歯科衛生士の視点から問題点を指摘できる。今後は,診査時に歯科受診を必要と判断する基準をスタッフ間で統一することを目標に,他職種の連携を一層強化していきたい。

P-43 ポスター発表 令和6年能登半島地震におけるJDAT活動より 第1報 派遣に至るまでと支援活動について

○深見亜津子 中村恵奈 山下昌子 渡邉理沙 吉川富恵 池野舞子 近藤慶子 広瀬まこ 柴田享子 金森いづみ

愛知県歯科衛生士会

キーワード 令和6年能登半島地震 日本災害歯科支援チーム(JDAT) 派遣歯科衛生士 顔の見える関係づくり 訓練

【目的】 当会では,これまで大規模災害への派遣を想定し,初動連絡や派遣調整の訓練を行ってきた。今回,令和6年能登半島地震において日本災害歯科支援チーム(JDAT)に初めて会員を派遣し支援活動を行ったので報告する。

【概要および方法】 1月1日 石川県志賀町・輪島市で震度7を観測後,日本歯科衛生士会の東海北陸ブロック内の災害ロジスティクス歯科衛生士とブロック理事間,また当会の執行部理事内で連絡調整を開始した。1月2日には県歯科医師会との連絡調整を開始し,派遣準備として当会の災害支援歯科衛生士登録者への連絡調整を行った。1月19日正式にJDATへの派遣要請を受け派遣者リストを提出した。1月25日~3月10日にわたり,主に輪島市へ延べ25名の歯科衛生士を派遣し,避難所におけるアセスメント,保健医療福祉調整本部への参加,避難所で提供する口腔ケア物資の設置,掲示や啓発,相談対応(多職種連携含む)等を行った。

【経過および考察】 これまで平時に築いてきた準備「派遣歯科衛生士の確保」「初動の連絡訓練」「顔の見える関係づくり」「東海北陸ブロック内の連絡・協力体制」等,が,派遣を円滑に進めることができた要因と考えられた。また,今回の経験から,当県が被災した場合の県内における「受援」「支援」を想定した体制作りを図る必要性を感じた。

【結論】 今回の歯科衛生士派遣は,これまでの大規模災害を想定した訓練および仕組み作りにより,初動から県歯科医師会とも連携することができ,支障なく人員調整ができた。今後,平時の備えとして「訓練」等を見直ししていくとともに,県内で「受援」「支援」が継続可能となるよう,支部との連携をさらに深め,派遣歯科衛生士を増やしていく等の組織強化を図っていく。

P-44 ポスター発表 令和6年能登半島地震におけるJDAT活動より 第2報 帰還後に心身的変調のあった一事例

○中村恵奈 深見亜津子 山下昌子 吉川富恵 池野舞子 近藤慶子 広瀬まこ 渡邉理沙 柴田享子 金森いづみ

愛知県歯科衛生士会

キーワード 令和6年能登半島地震 日本災害歯科支援チーム(JDAT) 帰還後 心身的変調

【目的】 日本災害歯科支援チーム(JDAT)の支援終了から半年後「帰還後に気力が出ない精神状態が継続していた」という派遣者がいたことを把握した。それを契機に,2カ月にわたり25名の会員を派遣した経験を振り返り,今後の事前研修や後方支援のあり方を探った。

【概要および方法】 事例は50代女性,一般歯科診療所に勤務,支部役員経験者である。当会主催の災害対策研修の受講歴があり,災害支援経験は今回が初めてで3泊4日で輪島市に派遣された。当会の後方支援としては,派遣前に派遣者を対象とした事前説明会を行い,被災地の情報共有や質問に応じた。派遣期間中は派遣者と後方支援担当者によるLINEグループを立ち上げ,随時微細な情報共有を行い,現地での精神的な変化にも対応した。さらに帰還直後には心身の状況把握等を行い,心身的変調が出る場合は連絡してほしいこと伝えた。半年後に本人より,帰還後に「自分は役に立てた?これでよかった?」などモヤモヤ感が残り,1カ月間ほど気力がでない状態が続いていたと打ち明けられた。

【経過および考察】 本事例から,研修受講歴のある者であっても,帰還後に心身的不調がしばらくの期間続くケースを認識した。また県歯科医師会による派遣者への帰還後アンケートでも,心身的変調を感じた歯科衛生士が複数名いたこともわかった。これは,初めて非日常である災害支援現場に身を置いたことによるストレスの影響と考えられる。今回の経験から,それらを予測した研修項目の導入と帰還後の心身的変調へのフォローアップ体制の必要性を強く感じた。

【結論】 被災地に入る支援者は,帰還後に自身で気づかない形で心身的変調が出現する可能性がある。そのため本会としては,事前研修と共に帰還後一定期間後の健康状態を把握する等,今後の後方支援のあり方を検討し体制整備していく。

P-45 ポスター発表 リハビリテーション・栄養・口腔管理の連携・推進に向けた歯科衛生士の取り組み

○髙橋真優 原田千明 佐藤美紀 小山内奈津美 加藤智紀

津軽保健生活協同組合 健生病院

キーワード 口腔管理 口腔評価 多職種連携

【目的】 某病院,総合診療病棟では理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,管理栄養士,歯科衛生士を病棟に配置し,入院早期からの集学的なリハビリテーションに取り組んでいる。2025年2月には,早期介入の体制を更に強化し,「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算」取得を開始した。急性期病棟においてリハビリテーション・栄養管理・口腔管理を一体的に実施することで,入院患者のADLの維持・向上を目的とし,早期離床や経口摂取の推進のため2024年度の診療報酬改定にて新設されたものである。リハビリテーション・栄養管理及び口腔管理を連携・推進のための体制構築に向けた歯科衛生士の取り組みについて報告する。

【概要および方法】 総合診療病棟の入院患者を対象に,入院後48時間以内に1.歯の汚れの有無2.歯肉腫脹の有無3.左右臼歯部の正常な咬合4.義歯の使用,の4項目について歯科衛生士が口腔評価を行った。結果は多職種カンファレンスで共有し,評価結果に応じて口腔管理指導,専門的な口腔ケアの提供及び摂食機能療法を実施した。歯科医師への連携が必要な患者には地域の歯科医院に往診を依頼した。

【結果および考察】 歯科衛生士による入院早期の口腔評価は,口腔問題の早期発見や積極的な嚥下リハビリテーション,歯科治療の提供に繋がった。また,カンファレンスで評価結果を共有することで,多職種連携が確立され,口腔管理のみならず,リハビリテーション・栄養管理が統合的に実施された。

【結論】 早期介入することで,口腔状態の把握やADLの維持・向上に効果的であった。評価結果を共有したことにより,口腔内に関心を持つスタッフが増え,患者の口腔健康管理に繋がった。今後も適切な評価を行い,口腔ケアを通じて全身状態の改善に努めていく必要がある。

P-46 ポスター発表 高齢者の口腔保健行動とソーシャルキャピタル(人間関係)および健康不安に関する予備調査

○辻 優依 相原喜子 増田麻里 渡邊幸慧 野中麻衣 犬飼順子

愛知学院大学短期大学部歯科衛生士学科

キーワード 高齢者 口腔保健行動 ソーシャルキャピタル 健康不安

【目的】 地域高齢者の口腔保健行動と口腔リテラシーおよび健康不安の実態を明らかにすることを目的に,質問票調査を実施した。

【対象および方法】 2024年10月~12月に,名古屋市内の社会福祉協議会が運営する,高齢者はつらつ長寿推進事業に参加した高齢者を対象とし,無記名自記式質問票調査を行った。調査内容は「基本情報」,「健康不安」,「口腔保健行動・口腔リテラシー」,「ソーシャルキャピタル」に関する全22項目とし,回答結果は項目ごとに単純集計を行った。本研究は,愛知学院大学短期大学部倫理審査委員会の承認(承認番号24-015)を得た上で実施した。

【結果および考察】 有効回答は166名(有効回答率98.8%),平均年齢82.1 ± 5.7歳(前期高齢者12名,後期高齢者154名)であった。「健康不安」は,すべての項目で6割以上が不安傾向を示しており,特に「自身の健康を心配している」と回答した者は79.5%であった。「口腔保健行動」は,口腔清掃に歯ブラシのみならず様々な清掃用具を使用しており,口腔への関心の高さがうかがえた。一方で,加齢による口腔機能の低下に関する知識は十分でなかった。「ソーシャルキャピタル」は,89.8%が友人・知人との付き合いがあり,64.4%が現在の生活に満足していると回答した。

【結論】 高齢者はつらつ長寿推進事業に参加した対象者の約9割が後期高齢者であり,地域活動に対する意欲的な参加行動は特筆すべきことである。さらに,健康不安があるものの社会的交流は保たれており,また,口腔への関心の高さが推察された。今後は,本調査の結果を基に質問項目の精査,サンプル数の確保を検討し,統計学的解析を行う。

P-47 ポスター発表 高齢者施設職員の「口腔ケア」と「誤嚥性肺炎」の意識調査

○浅木美智子1,2) 田口紀子1) 高峯美奈子2) 漆原新吾2)

1)湯の里にのへ

2)ケアハウスにのへ

キーワード 高齢者施設 口腔ケア 誤嚥性肺炎 口腔健康管理

【目的】 高齢者施設に歯科衛生士が直接介入している施設職員に対し「日々の口腔ケア」「嚥下に問題がある利用者の食事介助」「誤嚥性肺炎」について調査し,「食べる」を支えるケアをよりよくする資料とすることを目的とした。

【対象および方法】 2023年12月から2024年1月,歯科衛生士が定期的に関わる高齢者施設の職員,介護職員50名,看護職員12名,管理栄養士1名を対象に質問紙調査を行った。対象は,介護老人保健施設A,職員44名中回収43名(回収率97.7%),特定施設B,職員20名中20名(回収率100%)であった。

本調査を行うにあたり,施設の所属長および職員本人に記名で同意を得た。

【結果および考察】 「利用者の口腔ケアは必要である」は職員全員が「必要である」と答えているが,「あなたが行う口腔ケアの介助に満足していますか」は,「満足していない,わからない」が34名(53.9%)であった。職員が行う口腔ケアを評価し知りたいことの知識の伝達が職員の満足度があがると考える。「誤嚥性肺炎の予防について予防の方法を知っている」が52名,「予防の方法を知らない,誤嚥性肺炎を知らない」が11名であった。「口腔ケアが誤嚥性肺炎の予防になる」を知っている人は50名,聞いたことはあるが知らないと答えた人が11名であった。このことから口腔ケアと誤嚥性肺炎が結びついていないことがわかる。「誤嚥」,「誤嚥性肺炎」については,高齢者の「食」を支える介護の現場では重要であり,知識を伝えていく必要がある。

【結論】 今回の調査から,口腔ケアの手技や誤嚥性肺炎の知識の伝達が不十分であることがわかった。今回のような質問紙を用い,職員が知りたい知識を明確にし,伝達していくことが必要であると感じた。

P-48 ポスター発表 某歯科医院で開設したサービス付き高齢者住宅で行われる口腔ケアに関する現状と課題

○佐々木颯士1) 石田菜穂子1) 鈴木もと子1) 山村悠2) 石倉優実2) 橋場美里2) 長根伶奈2) 根城真恵子2) 熊坂 覚1)

1)くまさか歯科

2)有料老人ホーム ベルメゾンK

キーワード サービス付き高齢者住宅 質問紙調査 口腔ケア 多職種連携

【目的】 某歯科医院で開設したサービス付き高齢者住宅で行われる口腔ケアは,開設当初から歯科衛生士が介入しながら施設職員により行われている。今回10年が経過した節目に施設職員に対し「日々の口腔ケア」,「ムセと誤嚥,誤嚥性肺炎」について調査し,今後の他職種との連携において歯科衛生士が取り組むべき課題を検討するための資料とすることを目的とした。

【対象および方法】 2023年12月~2024年1月,歯科衛生士が定期的に関わっている高齢者施設の職員(介護職員,看護職員,介護支援専門員)を対象に質問紙調査を行った。対象は,某サービス付き高齢者住宅,職員16名中回収16名(回収率100%)であった。本調査を行うことについて,施設の所属長および職員本人に記名で同意を得た。

【結果および考察】 「利用者の口腔ケアは必要である」では,100%の人が必要であると答えており,「他のケアと比べて口腔ケアの優先度」は,同じくらいと答えた人が56.2%であった。「歯科衛生士による口腔ケア」を100%の人が必要と答えていた。「食事形態を誰に相談するか(複数回答可)」については介護士が93.7%,看護師が87.5%で,歯科衛生士に相談している人は18.7%であった。このことから施設職員には口腔ケアの重要性が理解され,仕事に取り組まれていることが分かった。しかし,食形態の相談に関しては歯科衛生士があまり関われていないことも明らかとなった。その為,口腔機能に合った食形態を提案できるようにすることでより職員との連携が強化されると考える。

【結論】 歯科衛生士がより深く施設職員と連携をとる為に,今後もこのような質問紙を用い,職員が困っている部分を明らかにし,他の職種との情報交換が必要であると感じた。

P-49 ポスター発表 歯科衛生士の喫煙・受動喫煙曝露状況および喫煙に対する認識に関する研究

○渡邊千花1) 稲垣幸司1-3) 増田麻里1) 金森いづみ4) 河野美枝子5) 下川真弓6) 高阪利美3) 犬飼順子1)

1)愛知学院大学短期大学部専攻科(口腔保健学専攻)

2)愛知学院大学歯学部歯周病学講座

3)愛知学院大学短期大学部歯科衛生士リカレント研修センター

4)愛知県歯科衛生士会

5)徳島県歯科衛生士会

6)鹿児島県歯科衛生士会

キーワード 喫煙 社会的ニコチン依存度 受動喫煙 歯科衛生士

【目的】 日本歯科衛生士会は,禁煙推進宣言の第1項において,歯科衛生士(DH)の禁煙推進を掲げ,DHへの禁煙教育を大変重要視している。そこで,DHの加熱式タバコ(HTP)等を含めた喫煙状況や認識の実態および受動喫煙曝露状況を把握するため,本研究を行った。

【対象および方法】 DH1,481名に,無記名Web質問票調査を2024年6月〜7月に実施した。調査項目は,喫煙状況(紙巻きタバコ,HTP,電子タバコ,無煙タバコ,水タバコ),受動喫煙曝露状況,加濃式社会的ニコチン依存度調査票(KTSND)等とし,臨床に従事するDHには,禁煙支援の現状等を調査した。なお,本研究は,愛知学院大学短期大学部倫理委員会(承認番号24-006)の承認を得て行った。

【結果および考察】 解析対象は,DH女性642名(45.7±13.1歳,21〜76歳,有効回答率43.3%)となった。喫煙率は1.6%で,単独喫煙率は1.1%,併用率は0.5%となり,受動喫煙曝露率は,29.4%で,その内訳は,配偶者が最も多かった。また,KTSND得点中央値は,13.0となった。そして,臨床に従事するDHの歯周病患者への禁煙支援実施率は,51.9%で,DH会やDH養成校に属している者,歯肉メラニン色素沈着と喫煙,歯周病と喫煙の関連について認識がある者は,有意に禁煙支援を行っていた(p<0.05)。したがって,喫煙と歯科の関連について知識がある者は禁煙支援を行うと考えられた。

【結論】 本研究より禁煙を推進するべきDHの喫煙者,受動喫煙曝露者が認められたことから,DHへの禁煙教育により,喫煙者と受動喫煙曝露者の低下をめざすことが急務である。また,禁煙支援に関する研修会や患者指導用媒体の充実等により,DHが自ら積極的に禁煙支援を行える環境を整備することで,歯科における禁煙支援実施の向上が求められる。

P-50 ポスター発表 歯科衛生学生と高校生の受動喫煙曝露状況および喫煙に対する認識に関する研究

○渡邊千花1) 稲垣幸司1-3) 増田麻里1) 松井美佳4) 鈴木彩乃5) 櫻井美穂6) 高阪利美3) 犬飼順子1)

1)愛知学院大学短期大学部専攻科(口腔保健学専攻)

2)愛知学院大学歯学部歯周病学講座

3)愛知学院大学短期大学部歯科衛生士リカレント研修センター

4)名古屋市歯科医師会附属歯科衛生士専門学校

5)名古屋医専歯科医療分野歯科衛生学科

6)専門学校名古屋デンタル衛生士学院

キーワード 喫煙 社会的ニコチン依存度 受動喫煙 歯科衛生学生 高校生

【目的】 日本歯科衛生士会は,禁煙推進宣言において,歯科衛生学生(DH学生)に対するタバコと健康の関連についての啓発強化を掲げ,将来のDH学生への禁煙教育を重視している。また,2021年高校生の加熱式タバコ(HTP)使用経験率は,2.2%と未成年にもHTPが広がりつつある。そこで,DH学生と高校生の受動喫煙曝露状況,HTP等を含めた喫煙状況と認識の実態を把握するため,本研究を行った。

【対象および方法】 DH学生749名と高校生309名に,無記名Web質問票調査を2024年6月〜7月に実施した。調査項目は,受動喫煙曝露状況,加濃式社会的ニコチン依存度調査票(KTSND)等,DH学生への項目は,喫煙状況(紙巻きタバコ,HTP,電子タバコ,無煙タバコ,水タバコ),高校生への項目は,喫煙に対する正しい認識とした。なお,本研究は,愛知学院大学短期大学部倫理委員会(承認番号24-006)の承認を得て行った。

【結果および考察】 解析対象は,DH女子学生652名(有効回答率87.0%),高校生207名(男子119名,女子88名,有効回答率67.0%)となった。受動喫煙曝露率は,DH学生38.3%,高校生22.7%で,その内訳は,DH学生と高校生で父親が最も多かった。また,KTSND得点中央値は,DH学生11.0,高校生13.0となった。そして,DH学生のKTSND得点は,受動喫煙曝露群に比べ,受動喫煙非曝露群が有意に低かった(p<0.01)。したがって,周囲に喫煙者がいる環境が続くと,喫煙に対して寛容的であることが考えられた。さらに,DH学生の喫煙率は3.8%で,単独喫煙率は2.0%,併用率は1.8%であった。

【結論】 喫煙や受動喫煙曝露のあるDH学生と高校生に対する禁煙教育により,今後,喫煙を始めないことや禁煙する者が増加することで,喫煙者と受動喫煙曝露者の低下をめざすことが急務である。

P-51 ポスター発表 新規ブラッシング指導支援システムの開発

○鈴木美南子1) 川西範繁2) 中野亜希人3) 板宮朋基3) 相川雅史2) 藤崎みのり1) 渡邊真由美1) 辻上博美1) 木本克彦2) 星 憲幸4)

1)神奈川歯科大学 歯学部臨床科学系歯科診療支援学講座 歯科メインテナンス学分野

2)神奈川歯科大学 歯科補綴学講座 クラウンブリッジ補綴学分野

3)神奈川歯科大学 歯学部総合歯学教育学講座

4)神奈川歯科大学 口腔デジタルサイエンス学分野

キーワード ブラッシング指導 口腔衛生指導 裸眼立体視 空間再現ディスプレイ

【目的】 従来のブラッシング指導は手鏡や歯列模型を用いて行われるが,患者ごとに歯牙や歯列の形態が異なり,個別化した指導が求められる。本研究では,裸眼立体視技術と三次元位置計測技術を併用し,口腔内を三次元画像として空間再現ディスプレイに表示することで,効果的なブラッシング指導が可能となるシステムを開発した。本研究では,実際にシステムを使用した歯科医師,歯科衛生士,研修医から得られた意見について報告する。

【概要および方法】 本研究は,某歯科大学附属病院の歯科医師,歯科衛生士,研修医(計27名)を対象に実施した。試験段階として下顎歯列モデルを用い,空間再現ディスプレイ(ソニー,ELF-SR1,2020)および三次元位置計測センサー(Ultraleap 3Di,2022)を用いて,歯列を空間再現ディスプレイ上に表示した。アンケートを通じて,システムの有用性や改善点に関する意見を収集した(神奈川歯科大学倫理委員会承認第979号)。

【経過および考察】 アンケート結果から,歯列を立体的に確認できる点で好評であり,視覚的な理解が向上する可能性が示唆された。一方で,「歯ブラシの位置付けが難しい」「操作に慣れるまで時間が必要」といった課題も挙げられた。今後はIOS(Intra Oral Scanner)で取得した口腔内データを裸眼立体ディスプレイに出力し,より個別化したブラッシング指導が可能となるよう開発を進める。また,収集した意見をもとに改良を行い,実際の患者を対象に従来の指導法と比較し,本システムの有効性を検証する予定である。

【結論】 いくつかの改善点は認められるが,空間再現ディスプレイおよび三次元位置計測センサーを活用したブラッシング指導は,新たな指導法としての可能性がある。

P-52 ポスター発表 某急性期病院の呼吸ケアチーム活動における歯科衛生士の役割─リンクナースへのアンケート─

○鴻池智恵 黒田典代 中嶋愛里 一二三菜々子 山林真優 藤井真子 坪嶋利加子

天理よろづ相談所病院

キーワード 呼吸ケアチーム リンクナース アンケート 多職種連携

【目的】 某急性期病院の呼吸ケアチームでは2012年より歯科衛生士も参加している。2024年リンクナース会議の勉強会は口腔ケアをテーマに歯科衛生士が担当,ケアに関する相談があった為,看護師の口腔ケアの現状を知る事を目的にアンケートを行った。

【対象および方法】 対象はリンクナース23部署合計46名。方法はWebアンケートを作成,配信,回収した。内容は看護師の経験年数1項目,口腔ケアへの意識2項目,勉強会について6項目,ケアの現状2項目,呼吸ケアチームの歯科衛生士の認知度,歯科衛生士に望む事各1項目の13項目で,回答は選択式と自由記述式とした。学会発表にあたり,対象者に同意を得た。

【結果および考察】 24名の回答を得た。「日々の業務で口腔ケアは重要であると思うか」思うが18名「勉強会があれば参加したいか」はいが21名「どのような講義がいいか」では「誤嚥のある患者の口腔ケア」8名「開口してくれない患者」7名「挿管中の患者」5名であった。「ケアで困ったことがあった時にどうしているか」先輩に相談するが21名「ケアで困った事」は,開口してくれない,拒否のある患者に困っているという回答が多かった。「呼吸ケアチームに歯科衛生士が参加している事を知っているか」知らないが18名であった。「歯科衛生士に望む事」では,口腔ケアで困った時相談できる窓口があれば嬉しいとあった。上記の結果から口腔ケアは重要であるという認識は高い事,勉強会の希望も多く,内容も具体的である事から現場で困っている事例は多数あると考察された。

【結論】 今回,現場の口腔ケアについて相談する窓口が欲しいというリンクナースの希望を知る事が出来た。相談できる環境や協力体制を作る事を今後の課題として取り組み,呼吸ケアチームの一員として存在を周知されるよう努力していきたい。

P-53 ポスター発表 障害者(児)歯科保健支援事業のあゆみと今後の展望

○池本八重子1) 鳥居奈美1) 谷津由樹子1) 及川知香子1) 久保万友美1) 松尾明美1) 藤森浩平2) 市原雅也3) 豊嶋健治3)

1)一般社団法人香川県歯科衛生士会

2)香川県健康福祉部健康政策課

3)公益社団法人香川県歯科医師会

キーワード 障害者施設 特別支援学校 口腔ケア訪問指導 口腔環境改善

【目的】 香川県歯科衛生士会では,平成20年より香川県からの委託事業「障害者(児)歯科保健支援事業」として障害者(児)の歯科疾患の予防や歯科口腔保健の向上を目的とし,県下の障害者施設と特別支援学校を継続的に訪問し,歯科保健支援活動に取り組んできた。今回,歯科疾患の予防や歯科口腔保健の向上を目指す上で本事業のさらなる充実を図ることを目的に,16年間の活動の歴史を振り返り報告する。

【概要および方法】 平成20年度から令和5年度に本会が実施した本事業のあゆみ,訪問施設数および対象者数の推移,参加歯科衛生士と歯科医師数,お口の検診表の改良の推移,成果物を活動報告より調査し,本事業の今後の展望について分析した。

【経過および考察】 本事業を開始してから12年間は訪問施設数と対象者数は増加をたどり,新型コロナウイルス感染症の影響により減少,令和5年の「5類感染症」に移行したと同時に,双方の数は増加傾向にある。当初は施設職員および学校関係者を対象とした研修会や,口腔ケアを実施しやすいものとするために用具等の提案および紹介を行い,支援の充実を図った。さらに,口腔環境改善のために必要な基本的指導内容を整理し,障害者(児)への口腔ケア訪問指導を行い,現在に至っている。障害者(児)の口腔環境改善を支援することで個々のQOL(Quality of Life)を高めると共に障害者(児)本人だけにとどまらず,保護者・施設職員への波及効果からそれぞれの健康の増進が期待できると考えられる。

【結論】 障害者施設職員,特別支援学校の教員,保護者の口腔環境改善に対する意識も向上し,障害者施設等からの依頼も年々増えている。歯科疾患の予防や口腔機能の維持向上が期待でき,障害者(児)の口腔環境改善を図るうえで,本事業の継続は必要と考える。

P-54 ポスター発表 防災に関する市民公開講座受講者を対象とした災害時の歯科保健医療に関する質問紙調査

○東山政子1) 里 美香1) 大森 彩1) 平尾直美1) 白石千秋2,3) 木谷貴嘉3) 若杉和美3) 宮田佳之3) 山下和範3) 鵜飼 孝2,4)

1)長崎大学病院 医療技術部 歯科衛生室

2)長崎大学病院 口腔管理センター

3)長崎大学病院 災害医療支援室

4)長崎大学病院 医療教育開発センター

キーワード 災害 災害時口腔ケア 質問紙調査

【目的】 災害時の備えと歯科保健医療に関する認知度を調べるため質問紙調査を実施した。

【対象および方法】 2024年8月4日に某大学病院災害医療支援室主催で開催された某大学市民公開講座「自然災害から身を守る」の受講者18歳以上26名を対象とした。受講前に本調査への参加は無記名で任意であることを説明し,同意を得て,質問紙を配布し,受講後に回収した。

なお本研究は,長崎大学医歯薬学総合研究科(歯学系)倫理委員会(許可番号25032501)の承認を得て実施した。

【結果および考察】 回答者は,10代から60代で40代が31%で最多であった。81%が「災害時の備えをしている」,31%が「避難袋に災害時の備えをまとめている」と回答した。「口腔ケア用品を備えている」人は27%で,その全員が口腔ケア用品を避難袋に入れていた。「被災地へ歯科チームが派遣されることを知っている」人は42%,「災害関連死を知っている」人は69%,「誤嚥性肺炎を知っている」人は66%であったが,「誤嚥性肺炎が災害関連死の原因の一つであることを知っている」人は38%であった。誤嚥性肺炎とお口の汚れの関係について,50%が「知らない」または「よくわからない」と回答した。「水がない場合の歯磨き方法を知っている」と回答した人は42%であった。

考察として,受講者の約8割が災害時の備えをしており,防災に関する意識は高いと推測された。しかし,災害時の口腔ケアの必要性や水がない場合の口腔ケアの方法および災害関連死と誤嚥性肺炎の関係についての理解は半数以下で不足していた。災害時に被災地へ派遣される災害歯科支援チームの認知度も低かった。

【結論】 災害時の歯科保健医療について正しい情報の提供と啓蒙活動を継続して行う必要がある。

P-55 ポスター発表 障がい児(者)の口腔健康管理における郡市区歯科医師会口腔保健センターの役割

○江浪明奈 入山久美子 中野友美 村上裕美 山﨑靜香 落合慶一 峯岸淑子 月田希美子 茂木忠泰

公益社団法人富岡甘楽歯科医師会

キーワード 地域歯科医療 障がい児(者) 口腔健康管理

【目的】 障がい児(者)診療を開設し主として障がい児を対象に診療してきた。人口構成や歯科医療の変化に伴い開設30年を期に地域歯科医療の役割を検討したので報告する。

【概要および方法】 令和6年度3月末,知的能力障がい・自閉症・脳性麻痺等の障がいを持ち,定期管理の為の受診継続年数が10年以上,年齢が10代から60代までの59人を抽出し口腔健康管理の効果について考察した。

【経過および考察】 最も多い障がいが知的能力障がい,次に自閉症スペクトラム,染色体異常(ダウン症等)であった。継続年数が最も多い者が11年から20年の47名,30年以上継続している者は2名であった。本人の年齢に伴い保護者も高齢になり施設入所や通院の困難さ等が考えられる。口腔内の状況については,初診時から現在までう蝕の発症がないものは10代20代の若い世代が多く,継続した口腔健康管理の効果が伺えた。30代40代になると新規う蝕発症と2次う蝕発症がほぼ横並びとなり,50代以降は2次う蝕発症が顕著であった。歯周病発症者は40代以降の全対象者にみられた。

【結論】 障がいがあるがゆえに健常者よりも歯科疾患のリスクが高いため,低年齢からのう蝕予防と併せて歯周病予防の定期的な管理が重要である。そのためには家族の理解・協力(日々の口腔清掃,通院の介助など)が不可欠である。当施設も十分な知識と技術を持った職員の数や,診療の設備,スペース等の環境設定を充実させ地域行政との連携をさらに強化しつつ障がい児(者)の診療を継続する役割を担いたい。

P-56 ポスター発表 高齢者施設職員を対象とした利用者への口腔ケアに関する質問紙調査

○山口景子1,2) 杉山祐美子2,3) 掛端由衣子2) 小村真妃2) 立花晶子2) 道尻紋佳2) 木村和子2) 堀 香2) 浅木美智子2,4)

1)八戸保健医療専門学校

2)青森県歯科衛生士会

3)介護老人保健施設 孔明荘

4)湯の里にのへ

キーワード 口腔ケア 高齢者施設職員 歯科衛生士

【目的】 令和4年末時点で介護保険施設等への歯科衛生士就業者数は0.9%で,高齢者施設での口腔ケアは介護職などの施設職員が行う場合が多い現状である。口腔衛生管理が重要視される中,施設職員の口腔ケアに関する意識,歯科衛生士の介入についての現状を把握するために質問紙調査を行った。

【対象および方法】 某県A町の2施設で63名の高齢者施設職員を対象に施設で行っている口腔ケア,歯科職種との連携,誤嚥に関する意識調査等の項目で質問紙調査を実施した。職種は介護職員,看護職員,その他とした。質問紙調査は令和5年12月~令和6年1月に行った。質問紙調査を行うにあたり,施設の所属長および職員本人に文書にて同意を得た。

【結果および考察】 質問紙調査の結果,施設職員の85%が誤嚥性肺炎の予防法について知っており口腔ケアがその一つであることを59%が認識していた。そのため96%が口腔ケアを必要と理解し,さらに「口腔ケアを困難と感じたことがある」89%,「自分が行う口腔ケア介助に満足していない」68%と口腔ケアに対する関心が伺えた。歯科医師または歯科衛生士による「職員向けの勉強会は行われていない」57%,「口腔衛生指導は行われていない」54%と歯科衛生士による助言の機会が少なかった。一方,「歯科衛生士が直接関わったほうがいい」61%,「歯科衛生士による口腔ケアは必要」は74%であった。

【結論】 高齢者の口腔の健康維持には多職種連携が重要であり,歯科衛生士が施設職員と情報を共有し口腔衛生管理の理解を深める提供が必要である。

P-57 ポスター発表 多職種連携教育の実態とこれからの展望─多職種の連携によるIPEの取組の視点から─

○大坪美香

大妻女子大学

キーワード 多職種連携 歯科衛生士 IPE

【目的】 近年では,地域医療連携について,歯科衛生士の専門性が求められ,歯科医療従事者が,介護の分野にも介入し地域で生活をする要介護者の口腔内をケアすることが重要視されている。また,多職種連携の観点からも,歯科医療従事者が地域包括ケアシステムの中で,積極的に参画し,多職種との連携が必要であると考える。本研究では,多職種連携と教育の視点から今後の展望について考察する。

【概要および方法】 データベースCiNii Articlesを用いて,キーワード検索を行った。選定基準は,「歯科」「福祉」「連携」「教育」に関する論文とする。ヒットした検索文献44件であった。そのうち,研究テーマに該当する3件が,多職種連携の実態と教育に関わるものであった。多職種の連携による多職種連携教育(IPE)の取組の視点から,「IPE」「多職種連携」「歯科衛生士」に関する論文の検索結果6件から,今後のIPEの効果について考察した。

【経過および考察】 介護保険施設入所高齢者について,多職種による食事時の観察(ミールラウンド)によって,摂食・嚥下能力,口腔・歯科の問題,認知症の兆候,症状等を把握し,把握された問題解決をはかるための多職種によりカンファレンスの重要性が報告されている。IPEの目的は,患者・サービス利用者中心の医療・ケアを行うためのIPWを向上させることであるが,IPE実施における問題点や課題は多く,IPEの企画・運営など実質的に担う組織体制が必要である。

【結論】 多職種連携を進めるためには,医療だけでなく福祉の視点もふまえ,地域医療に根ざした人材の育成「IPE」が必要である。教育の段階から,自らと異なる専門職の専門性の理解と尊重が大切である。

P-58 ポスター発表 口腔保健領域の検索用語に対するCOVID-19流行の影響

○荒木萌花1) 小倉千幸2) 遠藤眞美3) 伊藤 梓3) 倉持恵美4) 中村広恵5) 奈良小百合5) 横倉みどり6) 高柳篤史3,5,7) 山岸 敦7)

1)国際医療福祉大学大学院医学研究科医学専攻

2)日本歯科大学東京短期大学

3)日本大学松戸歯学部障害者歯科学講座

4)茨城県歯科衛生士会

5)高柳歯科医院

6)晃陽学園晃陽看護栄養専門学校

7)東京歯科大学衛生学講座

キーワード 口腔保健 セルフケア Google Trends 情報リテラシー

【目的】 日本でのCOVID-19流行で国民生活は大きく変化し,急速にICT利活用が促進された。今後さらなるデジタル社会が推進される中で,セルフケア情報を効果的に発信するために,口腔保健領域の関心について調査する必要がある。本研究は,感染症流行時のインターネット利用者の口腔保健用語の検索動向を調査することを目的に,口腔への関心度について検討を行った。

【対象および方法】 インターネット上の検索用語の関心について動向調査が可能なGoogle Trendsを用いた。検索用語は,口腔保健領域で多く使用されている“歯磨き”とパンデミック時に関心が高かった“コロナ禍”とした。対象期間は2015年3月から2025年2月の10年間とした。COVID-19の流行は,流行前2019年12月以前,流行中2020年1月から2023年5月,流行後2023年6月以降の3期とした。

【結果および考察】 3期の検索頻度の比率を“歯磨き”:“コロナ禍”の順に示す。流行前21.0:0.0,流行中25.1:30.1,流行後26.4:4.7であった。“コロナ禍”は2020年4月に“歯磨き”を上回り,2020年5月にピークを迎え,以後減少し2022年3月に“歯磨き”を下回った。“歯磨き”に急激な変化は見られず,徐々に上昇し関心が増加傾向であった。検索頻度が急激に上昇した時期は感染者数が増加傾向であり,COVID-19へ関心が高まっていたと考えられた。検索用語は,感染症の流行で変動するものと,変動しないものがあり,関心の動向が異なることが示された。

【結論】 感染症流行時は関連用語の関心が高まり,流行の収束後は検索頻度が減少した。口腔保健領域の用語は,パンデミックといった社会的な影響を受けずに一定して検索され,関心度を集めていた。

P-59 ポスター発表 口腔ケアに関する介護老人保健施設の職員への質問紙調査

○杉山祐美子1,2) 山口景子2,3) 掛端由衣子2) 佐々木颯士2,4) 石田菜穂子2,4) 小村真妃2) 立花晶子2) 道尻紋佳2) 浅木美智子2,5)

1)介護老人保健施設 孔明荘

2)青森県歯科衛生士会

3)八戸保健医療専門学校

4)くまさか歯科

5)介護老人保健施設 湯の里にのへ

キーワード 介護老人保健施設 口腔ケア 口腔衛生指導

【目的】 令和6年4月から介護保険施設での口腔衛生管理体制が基本サービスとなった。歯科衛生士が介入していない施設の職員と介入している施設の職員に対し,口腔ケアに関する意識調査をし,今後の介入方法や内容の検討を目的とした。

【対象および方法】 質問紙調査は令和6年4月~7月に行った。歯科衛生士が介入していないN町の介護老人保健施設Nと,介入しているN町の介護老人保健施設Kの職員を対象とした。歯科医師の指導の下に歯科衛生士が口腔衛生管理を行った。対象はN施設20名中14名(回収率70.0%),K施設58名中47名(回収率81.0%)であった。本調査を行うにあたり,施設長および職員本人に記名で同意を得た。

【結果および考察】 N施設では「口腔ケアに関心がある」「口腔ケアは必要である」と100%が答えており,「あなたが行う口腔ケアに満足できていますか」では「満足できていない」が71.4%であった。K施設では「満足できていない」は44.7%だった。「歯科職種による口腔衛生指導が行われていますか」は,N施設では「行われていない」「わからない」85.7%に対し,K施設では「行われている」が80.9%だった。「歯科職種による勉強会が行われていますか」は,N施設では「行われていない」「わからない」71.5%に対し,K施設では「行われている」が72.3%だった。「口腔ケアを行うとき,どこを見てケアを行っていますか」は,N施設では「歯,歯肉,舌,頬粘膜」に対し,K施設では「歯,歯肉,舌,頬粘膜」の他に「食残渣,硬口蓋や軟口蓋,口腔底」と回答していた。

【結論】 N施設では口腔ケアへの関心があり必要性を感じているが,自身が行う口腔ケアに満足できておらず,歯科職種による指導や勉強会が不十分である。今後口腔ケアの知識や技術の習得につながるように歯科職種の関与が必要である。

P-60 ポスター発表 高齢者施設職員における口腔健康管理に関する質問紙調査

○掛端由衣子1) 杉山祐美子1,4) 山口景子1,2) 小村真妃1) 立花晶子1) 道尻紋佳1) 木村和子1) 堀 香1) 浅木美智子1,3)

1)青森県歯科衛生士会

2)八戸保健医療専門学校

3)湯の里にのへ

4)介護老人保健施設 孔明荘

キーワード 口腔健康管理 口腔ケア 施設職員 歯科衛生士

【目的】 歯科医師の指導の下に歯科衛生士が行う口腔健康管理は,摂食嚥下機能の維持・向上,栄養の改善にも関連しており,高齢者の「食べる」を支えている。高齢者が自分の口から食べる楽しみを得られるよう多職種による支援が必要である。しかし,高齢者施設での歯科衛生士の関わりは少なく,施設職員による口腔清掃等が行われているのが現状である。そこで,施設職員の口腔健康管理に関する認識の現状を調査し,今後歯科衛生士がどのように関わるか検討することを目的とした。

【対象および方法】 令和6年5月〜6月,某市内の特別養護老人ホームおよび介護老人保健施設職員137名に対し,口腔ケアや使用する清掃用具,歯科職種による口腔衛生指導,誤嚥性肺炎に関する項目を実施し,口腔健康管理についての認識を考察した。本調査を行うにあたり,施設の所属長及び職員本人に記名で同意を得た。

【結果および考察】 施設職員137名のうち有効回答131名,回答率95.6%。そのうち63.4%が利用者への口腔ケアに必要性を感じており,口腔ケアが誤嚥性肺炎予防になることを知っている者は74.0%であった。しかし44.3%が口腔ケアの介助に満足できていない,と感じている。歯科医師・歯科衛生士による口腔衛生指導が行われていると回答した者は33.6%で,充分な指導がされていないことが示唆された。歯科衛生士による口腔ケアの実施について,直接関わった方がよいと回答した者は78.6%で,施設内で歯科衛生士の口腔ケアの必要性を感じていることが伺えた。

【結論】 施設職員が適切かつ効果的な口腔ケアができるような環境整備が必要であるため,歯科衛生士による口腔ケア指導の普及と,多職種で連携する体制を構築する必要があると考える。

P-61 ポスター発表 某大学病院歯科口腔外科における口唇口蓋裂患児に対する光学印象法の有用性と課題

○河本裕美子1) 栗林恭子2) 尾澤みなみ1) 井ノ口茉奈1) 田坂晴菜1) 栗林伸行2) 内田大亮2)

1)愛媛大学医学部附属病院 診療支援部

2)愛媛大学医学部附属病院 歯科口腔外科・矯正歯科

キーワード 口唇口蓋裂 哺乳床 光学印象

【目的】 某大学病院歯科口腔外科では,2019年4月の矯正歯科開設以降,口唇口蓋裂患者に対して多職種連携によるチーム医療を実践している。口唇口蓋裂患児の哺乳床製作においては,従来,アルジネート印象材を用いた印象採得法が主流であったが,近年では口腔内スキャナーを用いた光学印象法が汎用化され,臨床応用が進んでいる。今回われわれは,口唇口蓋裂患児に対して光学印象法を実施し,その有用性と課題について検討した。

【概要および方法】 2019年4月から2024年12月までに当科を受診した口唇口蓋裂患児のうち,光学印象を実施した3例を対象とした。対象者からの同意を得,プライバシーの保護に努めた。光学印象法には,いずれも口腔内スキャナー i500(MEDIT Corp., USA)を用いた。印象採得時には,看護師による血中酸素飽和度(SpO₂)のモニタリング,歯科衛生士による患児の体位保持,唾液吸引および術野の明示を行い,安全性と操作性の確保に努めた。

【経過および考察】 光学印象は,口腔内吸引を併用し,SpO₂が90%を下回らないように適宜操作を中断しながら施行した。撮像においては,顎裂部は鮮明にスキャン可能であったが,生後3か月の乳児症例では,上顎結節遠心部および歯肉頬移行部における操作スペースが限られ,スキャンに困難を伴った。得られたSTLデータを基に作製した哺乳床は,いずれも口腔内の適合は良好であった。

【結論】 口唇口蓋裂患児においては,成長に伴い複数回の哺乳床作製が求められるが,光学印象法は誤嚥や窒息といった身体的リスクを回避し,安全かつ負担の少ない印象採得手段として有用である。現在,スキャンチップの小型化および解像度の向上が進んでおり,今後さらに低月齢児を含む幅広い症例への適用が可能になることが期待される。

P-62 ポスター発表 歯科衛生学生を対象とした歯科衛生士会に関する意識調査

○鈴鹿祐子 木下 睦実 髙澤みどり 那須啓子 榎本亜弥子 仲主佐恵子 鈴木栄里子 菊地 薫 平山幸子

一般社団法人 千葉県歯科衛生士会

キーワード 歯科衛生学生 歯科衛生士会 アンケート

【目的】 本研究は,歯科衛生学生の千葉県歯科衛生士会(以下,DH会)に対する意識や要望を把握し,DH会の発展について検討することを目的として調査を行った。

【対象および方法】 2025年1月15日~2月15日に千葉県内の最終学年の歯科衛生学生(5校343名)を対象に,選択式および一部自由回答式の無記名アンケートを実施した。アンケート項目は,DH会に関する認知度,入会希望,希望する研修会などであった(千葉県立保健医療大学研究倫理審査員会承認番号2024-34)。

【結果および考察】 205名(回答率59.8%,22.5±3.8歳)から回答を得た。DH会の活動内容を「知っている」と回答した者は2.9%であり,日本歯科衛生士会への入会予定については「わからない」(68.3%)が最も多かった。その主な理由は「内容やメリットがわからないから」であった。このことから,学生の頃から職能団体の役割を学び,DH会の目的や活動のメリットを積極的に周知することで,入会者の増加につながると考えた。また,研修会の希望する開催方法および開催日時は「遠隔」(93名),「平日(昼間)」(96名)が最も多かった。このことから,歯科衛生学生にとって研修会参加は仕事の一部と捉えていることが示唆された。受講したい研修会は「歯周病に関するもの」(118名)が最も多く,歯科衛生士として経験したいことは「研究やセミナー参加」(75名),「勉強会への参加」(64名)に多く回答があった。このことから,対象者が自己研鑽の意欲を持っていることが確認でき,これをサポートすることはDH会の重要な役目であると考えられた。

【結論】 DH会は歯科衛生学生に積極的に会の説明をすると共に,時代の価値観に合った研修や活動方法を検討する必要があると考えられた。

P-63 ポスター発表 兵庫県知的障害者施設における歯科連携の実態─歯科衛生士の今後の役割に関する考察─

○水村容子 八木 孝和

神戸常盤大学保健科学部 口腔保健学科

キーワード 障害者入所施設 口腔ケア 連携 歯科衛生士

【目的】 知的障害のある人々は認知機能や身体機能の特性から自力での口腔清掃が困難であり,歯科専門職による継続的な支援を必要とする。しかし支援体制の構築は困難な場合が多く,オーラルフレイルの早期進行が報告されている。なかでも入所施設における歯科医や歯科衛生士との連携体制の整備は重要であるが,兵庫県における実態は十分に把握されていない。そこで本研究では,知的障害者入所施設における歯科との連携状況および歯科衛生士の関与状況を調査し,今後の課題と支援体制における歯科衛生士の役割を検討することを目的とした。

【対象および方法】 兵庫県内の知的障害者入所施設80施設を対象に,施設管理者へ1.歯科との連携状況,2.口腔ケア講習の実施状況に関する質問紙調査を行った(神戸常盤大学研究倫理委員会承認番号:神常大研倫第23-42号)。

【結果および考察】 25施設から回答があり(回答率31.3%),うち20施設に協力歯科医が配置されていた。口腔トラブル時には59%が協力歯科医の診療所で対応しており,訪問歯科の実施困難さが示唆された。歯科衛生士が口腔ケアを実施する施設は11施設で,常勤配置では週3回以上口腔ケアが実施される一方,委託では月1回以下にとどまった。今後歯科衛生士の配置を検討している施設は3施設にとどまり,歯科衛生士による継続的な関与には課題があることから,結果的に施設職員による口腔ケアの充実の必要性が示唆された。また,96%の施設が口腔ケアに関する職員向け講習の必要性を認識していたが,44%は未実施または年1回以下であった。

【結論】 多くの施設が歯科との連携を重視する一方,委託や非常勤であっても歯科衛生士の配置は難しく,歯科衛生士による継続的な関与は困難である。今後は施設職員の口腔観察力や清掃技術の向上が不可欠であり,歯科衛生士はその支援・教育の役割を担うことが求められる。

P-64 ポスター発表 顎変形症患者における経口避妊薬の内服状況と周術期管理についての考察

○保川ほのか 田坂 樹 矢野千明 佐藤知夏 蓮池祥江

医療法人鉄蕉会 亀田総合病院

キーワード 顎変形症 経口避妊薬 周術期管理

【目的】 顎変形症に対する顎矯正手術は全身麻酔下で行われるが,経口避妊薬の服用は周術期管理で注意が必要とされる。経口避妊薬は深部静脈血栓症のリスクがあり,「手術前4週間以内,手術後2週間以内の服用は避けるべき」とされている。近年オンライン診療などで手軽に入手可能だが,経口避妊薬のリスクは十分に認識されておらず,患者が服用の申告や中止を怠る場合,手術の延期を余儀なくされることがある。本研究では,顎矯正手術を受ける患者における経口避妊薬の内服状況を調査し,周術期管理の課題を考察した。

【対象および方法】 2024年1月~12月に某病院で行われた抜釘やオトガイ形成を含む顎矯正関連手術患者99名のうち,女性71名を対象とした。電子カルテより,年齢,性別,術式,内服状況を確認した。なお,調査にあたり医療法人鉄蕉会亀田総合病院臨床研究審査委員会の許可を得た(承認番号:25-009)。

【結果および考察】 対象の年齢分布は10代32名,20代28名,30代17名,40代10名,50代1名で,経口避妊薬を服用していた患者は10名(12.7%)だった。特に20代と30代に多く見られた。また,生理時期の調整を目的として服用を希望する患者もいた。

【結論】 経口避妊薬は,生理痛軽減や月経前症候群(PMS)など女性特有の様々な悩みの改善目的で使用されることが多く,手術後の再開時期に関する質問も多い。これらの背景から,周術期管理を安全に行うためには,服薬に関する患者への早期指導と介入が重要である。経口避妊薬のリスクや服用中止の必要性について正しい知識を伝えるとともに,問診や聞き取りの方法を再検討し,医療安全の向上に努める必要がある。

P-65 ポスター発表 某総合病院における歯科用ユニットの3年間の水質調査

○田坂 樹 保川ほのか 佐藤知夏 蓮池祥江 矢野千明

医療法人鉄蕉会 亀田総合病院

キーワード 院内感染予防 水消毒システム 従属栄養細菌

【目的】 歯科診療における院内感染予防の観点から,歯科用ユニットから排出される水は飲料水レベルの安全性が求められる。しかし,世界では歯科ユニットから排出される水による感染事例や死亡事例も報告されている。某総合病院では水消毒システムを搭載したユニットを使用し,2021年10月から2024年7月まで定期的に水質検査を実施してきた。本報告では,この3年間の検査結果について述べる。

【概要および方法】 2021年10月から2024年7月の間,某総合病院の歯科ユニット32台を対象に,3カ月ごとにランダムに1台を選び,水質検査を実施した。検査は専門機関に依頼し,水道水基準および従属栄養細菌(一般細菌の一種)を評価した。採水は歯科ユニットの水消毒システム作動後にスリーウェイシリンジから行った。

【結果および考察】 検査結果では,全ての歯科ユニットの水が水道水基準を満たし,従属栄養細菌が検出された場合でも基準値2000CFU/mL以下であった。このことから,某総合病院で使用している過酸化水素水を用いた水消毒システムの有効性が確認された。また,従属栄養細菌は,米国疾病予防管理センター(CDC)や米国歯科医師会が推奨する500CFU/mL以下をほぼ維持しており,院内感染のリスクを低減できていると考えられる。

【結論】 歯科ユニットの水消毒システムにより,安全な水質が維持されていることが確認された。従属栄養細菌は指標として扱われるが,日和見感染のリスクを考慮し,今後も適切な水質管理を継続する必要がある。また,ユニットの経年劣化を考慮したさらなる対策も求められる。

P-66 ポスター発表 某大学病院矯正歯科における口腔筋機能療法を受ける患者の臨床統計的検討

○永里咲恵1,2) 芳賀秀郷3) 北はるな3) 松田 梢1,2) 佐藤香織1) 城生麻里1,2) 佐藤祥子4) 兼田麻矢1) 中納治久3) 木村有子1,2)

1)昭和医科大学歯科病院

2)昭和医科大学大学院保健医療学研究科

3)昭和医科大学歯学部歯科矯正学講座

4)昭和医科大学藤が丘病院病院歯科

キーワード 口腔筋機能療法 MFT 臨床統計的検討

【目的】 矯正歯科臨床において,口腔筋機能療法(以下,MFT)は不可欠である。MFTは,口腔周囲筋の機能異常を改善する訓練で,個々の筋肉の訓練,咀嚼・嚥下・発音の訓練,姿勢位の訓練から構成される。某大学病院矯正歯科では,1996年よりMFTを実施してきた。今回,某大学病院矯正歯科を受診しMFTを実施した患者の臨床統計的検討を行ったのでその詳細を報告する。

【対象および方法】 2016年4月〜2024年3月の期間にMFTを開始した患者を対象とした。外来診療録およびMFT診査表を用いて,患者数,開始時年齢,男女比,口腔機能異常に関する所見(口腔習癖の有無,口呼吸の有無,舌突出の種類,舌圧,口唇圧等)について調査,検討を行った。

【結果および考察】 8年間に受診した患者は629名(男性234名,女性395名,平均年齢は16歳8カ月)であった。年度毎の比較では,2016年度から2019年度まで増加傾向を示し,2020年度は減少したが,その後また増加に転じた。矯正歯科治療の種類においては,自費の患者が360名,顎変形症患者含む保険適応の患者が269名であった。機能異常に関する所見では,開口癖が多くみられ,前方突出型の舌突出が最も多く認められた。舌圧測定値の平均を一般人集団の報告と比較した結果,20代〜50代の全ての世代で低い値を認めた(昭和医科大学における人を対象とする研究等に関する倫理委員会承認番号:2024-045-A)。

【結論】 患者の有する口腔機能異常は様々であり,MFTを行う際に機能的問題に合わせて,個別の訓練プログラムを実施することが重要であると考える。また顎変形症患者では,顎顔面形態や咬合の異常に伴い口腔機能が低下しており,顎矯正手術前からMFTを実施することの重要性が再確認された。

P-67 ポスター発表 精神科病院における歯科医療安全の課題と歯科衛生士の役割

○坪井千夏1) 中川晋輔2) 山城圭介3) 東 倫子4) 藤原ゆみ5) 池田英恵1) 小林直樹1)

1)特定医療法人 万成病院

2)医療法人清心会 中川歯科医院

3)神戸常盤大学保健科学部口腔保健学科

4)岡山大学病院スペシャルニーズ歯科センター

5)一般社団法人 岡山県歯科衛生士会

キーワード 精神科病院 医療安全 歯科衛生士

【目的】 精神科病院における歯科診療は,患者の認知機能や行動特性の影響を受けることから,一般的な歯科診療とは異なる医療安全上の課題を抱える。本調査では,精神科病院における歯科衛生士の医療安全に関する課題を明らかにし,その役割を考察するとともに,安全対策の向上に寄与することを目的とした。

【対象および方法】 2019年1月から2024年12月に某精神科病院歯科で提出された事故報告書を対象とし,日本医療機能評価機構の歯科ヒヤリ・ハット事例の分類項目に基づき分析を行った(万成病院倫理審査委員会,承認番号20252-1)。

【結果および考察】 事故報告書の総件数は1001件であった。事故の最多発生月は6月(10.5%),時間帯は午前診療中(45.6%)であった。事故レベルでは最も軽度なレベル1が94.5%を占め,発生場所は歯科診療室(82.0%)が大半であった。事故内容は「その他」が57.6%と最多であり,精神科患者に特有の突発的行動が含まれていた。さらに,患者情報管理の不備などヒューマンエラーも確認された。発生要因として「確認を怠った」(51.9%)が最も多く,次いで患者の病状や機能,リスク管理意識の低下が挙げられた。精神科病院では,患者の理解・協力を得る難しさに加え,患者対応の優先により,物品管理などが後回しになりやすく,誤使用や指示伝達の困難さが課題となる。これらを踏まえ,事前準備や確認作業の徹底,医療機器管理の適正化,情報共有の強化,患者特性を考慮した安全対策が求められる。

【結論】 精神科病院における歯科診療の安全対策には,歯科衛生士の積極的な関与が不可欠である。今後は,患者の行動リスクを考慮したスタッフ教育の強化や業務の効率化に加え,チーム医療の円滑な情報共有を推進し,安全な管理体制の確立を目指す必要がある。

P-68 ポスター発表 某大学附属病院における認定歯科衛生士に関する意識調査

○浅井淑枝 上野美奈 髙橋一也

大阪歯科大学附属病院

キーワード 認定歯科衛生士 意識調査 質問紙調査

【目的】 2005年に日本歯周病学会の認定歯科衛生士制度が始まり,19年間で多くの認定歯科衛生士制度が制定された。当院も教育病院であることから,当初から勤務する歯科衛生士に対して,認定歯科衛生士資格の取得を積極的に働きかけてきた。取得認定資格が広がりを見せる中,勤務する歯科衛生士に対して,認定資格に対する意識調査を行った。そして取得者に対して取得後の意識の変化について検討を行った。

【対象および方法】 対象は某大学附属病院で勤務する歯科衛生士31名のうち,同意の得られた29名に対して,認定資格の有無,認定資格の種類,意識の変化について無記名で質問紙表による調査を行った。対象認定資格は,日本歯科医学会専門分科会,日本歯科医学会認定分科会および日本歯科衛生士会の認定歯科衛生士とした(大歯医倫第111376号)。

【結果および考察】 認定を取得している歯科衛生士は22名で全体の75.9%であった。複数取得している歯科衛生士も多く,全体で43件の認定資格を取得していた。認定資格を取得後86.4%が,「自信がついた」,「自己研鑽に取り組むようになった」など肯定的な変化を感じており,行動の変容に繋がった。認定資格を取得することは,日常業務におけるモチベーションに有益であることが示唆された。また,取得した認定資格の他者への推薦については,22人中13人が「積極的に薦めない」と回答し,本調査で確認された有用性とは連動しない結果となった。

【結論】 認定資格を取得することは資質の向上に有益であることが確認された。今後も認定資格取得に積極的に取り組んでいくことによって,よりよい歯科医療を患者に提供することに繋がる。一方で,取得した認定資格を「他者に薦めない」が「他者へ薦める」を上回る結果は,その要因について今後の課題としたい。

P-69 ポスター発表 「通いの場」に参加する地域在住高齢者の口腔機能および口腔清掃習慣の現状と課題

○船岡陽子1) 関口恵理子1) 内藤康子2) 大西沙智子2)

1)一般社団法人 新潟県歯科衛生士会

2)新潟県刈羽村役場福祉保健課

キーワード 通いの場 地域在住高齢者 口腔機能 口腔清掃習慣

【目的】 健康長寿実現には,フレイル,オーラルフレイルにいち早く気づくことが大切である。新潟県K村では,高齢者が気軽に集い様々な活動を通して楽しく過ごす「通いの場」を設け,参加者を対象にフレイル,介護予防を目的とした専門的評価,助言,指導を行ってきた。近々の調査より,口腔機能および口腔清掃習慣等の現状と課題について報告する。

【対象および方法】 対象は平成25年~令和7年までに「通いの場」に5年以上継続して参加した高齢者9名(男1,女8,平均年齢89.2歳)である。参加毎に口腔機能,口腔清掃習慣等を調査し指導してきたが,今後の課題を検討するため,令和7年初回のデータより現状把握を行った。発表に際して,文書を用いて十分に説明した上で同意を得た。

【結果および考察】 対象者の現在歯数平均は13歯,義歯装着者は89%である。口腔内清掃状態では,舌苔および食物残渣がない者が各々78%であった。これは,歯科衛生士による継続した指導で,丁寧に行う習慣が定着したものと考えられる。また,口腔機能では,RSSTで3回の者および頬ふくらましが十分できる者が各々100%であった。オーラルデアドコキネシスの平均は,パ・タ・カともに5回台で,口渇のない者は,67%であった。RSSTの3回は正常範囲内であり,頬のふくらましが全て十分であったことから嚥下機能の低下はないと考えられる。しかし,オーラルデアドコキネシスは,パ・タ・カともに正常値よりも低かったことから,舌や口唇の動きが低下していることが伺え,今後の口腔リハビリテーションの課題である。

【結論】 K村の「通いの場」に参加している高齢者は,口腔清掃習慣が定着している反面,口腔機能において嚥下能力,頬の筋力の衰えはないものの舌や口唇の運動機能が低下していることが示唆された。

P-70 ポスター発表 歯ブラシの磨き心地に関する研究 第2報 因子分析による解析

○横倉みどり1) 小倉千幸2) 遠藤眞美3) 荒木萌花4) 江田幸代5) 倉持恵美6,7) 中村広恵6) 山岸 敦8) 鈴木誠太郎8) 高柳篤史3,6,8)

1)晃陽看護栄養専門学校 歯科衛生士学科

2)日本歯科大学東京短期大学

3)日本大学松戸歯学部障害者歯科学講座

4)東京都歯科衛生士会

5)千葉県歯科衛生士会

6)高柳歯科医院

7)茨城県歯科衛生士会

8)東京歯科大学衛生学講座

キーワード 歯ブラシ 磨き心地 ブラッシング 因子分析

【目的】 日常のブラッシングの継続には歯ブラシの機能だけでなく,磨き心地が重要である。しかしながら,歯ブラシの磨き心地を調べた研究は見当たらない。そこで昨年の本学会において,歯ブラシ磨き心地に関する17項目の感触の相関性について報告した。今回,さらにこれらの感触の要因を明らかにする目的で,歯ブラシの磨き心地の因子を調べた。日本歯科大学東京短期大学倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号314)。

【対象および方法】 歯ブラシは代表的な形状をもつ5種類の歯ブラシ(ヘッドが小型,ヘッドが幅広,極細毛,複合毛,ヘッドが大型)とした。試験には,BUTLER®#211,エビス®プレミアムケア,システマ®A31,クリアクリーン®S72,クロスアクション®7を使用した。23名の某歯科衛生士専門学校の学生が実際に5種類の歯ブラシ1日に1本ずつ使用して使用感を評価した。評価項目は,磨いた時の軟らかさ,滑らかさ,こしなどの17項目とした。評価には5本のうち選択された2本を比較する方法で行い,総当たり法で一人の評価者がそれぞれ,すべての組み合わせを評価する一対比較法を用いた。そして,得られた評価結果の因子分析を行った。

【結果および考察】 重みづけのない最小二乗法とオブリミン回転を用いて因子分析を実施した結果,2因子構造が最も解釈可能であり,第一因子は「やわらかさ」,「滑らかさ」,「やさしさ」,「歯と歯の間が磨ける」の3項目が0.9以上の因子負荷量で寄与した一方,「こし」,「歯垢の落ち」は-0.9以上であった。第二因子は「隅々までの磨き」,「爽快感」,「好み」の3項目が0.9以上の因子負荷量で寄与した一方,ヘッドの大きさは-0.88であった。因子間相関は0.2であった。

【結論】 歯ブラシの磨き心地は,2つの因子から構成される可能性が示唆された。

P-71 ポスター発表 歯科健診におけるorcoa®の活用 ─高精度な歯周病原細菌検出による早期リスク評価─

○川野亜希 宮澤絢子 高橋由希子 森谷徳文 山城圭介 吉田幸恵

神戸常盤大学保健科学部口腔保健学科

キーワード 歯周病 歯周病原細菌 国民皆歯科健診 口腔細菌検出装置

【目的】 日本では,成人の約2人に1人が歯周病といわれる一方,歯科受診率は約5割にとどまっている。この現状を受け,2025年以降に「国民皆歯科健診」の導入が検討されており,簡易的な歯周病リスク評価ツールが求められている。本研究の目的は,歯科健診受診者の生活習慣や口腔内所見と,口腔細菌検出装置orcoa®を用いた歯周病原細菌感染率との関連を調査し,「国民皆歯科健診」に向けた知見を提供することである。

【対象および方法】 対象は,2025年3月に実施された企業歯科健診において研究同意を得た46名とした。事前に生活習慣や自覚症状を問診し,歯科健診ではう蝕経験歯数,Probing Pocket Depth(PPD),Bleeding on Probing(BOP)などを測定した。歯周病原細菌については,PPD最深部からプラークを採取し,orcoa®を使用して,Porphyromonas gingivalisP.g.),Treponema denticolaTannerella Forsythiaを検出した(神常大研倫第24-16号)。

【結果および考察】 歯周病リスク評価のため,PPDおよびBOPを基に,高リスク群(PPD 4 mm以上),中リスク群(PPD 4 mm未満,BOP陽性),低リスク群(PPD 4 mm未満,BOP陰性)に分類し,歯周病原細菌の感染率を解析した。その結果,P.g.の感染率は,高リスク群に限らず中リスク群でも有意に高かった。

【結論】 PPDが低値であっても,出血が認められた場合には歯周病原細菌が有意に検出されたことから,定期的な歯科受診の重要性が示唆された。また,orcoa®を用いた高精度な口腔細菌検出技術は,歯科健診における歯周病リスク評価のツールとして有用であることが示された。

P-72 ポスター発表 青年期および中年期女性におけるオーラルフレイルの現状

○中江弘美 吉岡昌美 十川悠香 坂本治美 篠原千尋 中野雅徳

徳島文理大学保健福祉学部口腔保健学科

キーワード オーラルフレイル 青年期女性 中年期女性

【目的】 オーラルフレイルに関する調査は高齢者を対象としたものが多く,青年期や中年期の現状については明らかになっていない。そこで,本研究では,青年期および中年期女性のオーラルフレイルの出現状況を調査し基礎資料を得ることを目的とした。

【対象および方法】 本研究では,現在歯数20本以上の者を対象とした。青年女性群:大学生38名(20.6±0.8歳)と,中年女性群:福祉施設に勤務する40歳~64歳の30名(49.0±5.4歳)を対象に,口腔状態(残存歯数,舌苔付着度(TCI),口腔湿潤度,舌圧,舌口唇運動機能(ODK))の測定と質問紙調査を行い,Oral frailty 5-item Checklist(OF-5)の該当者数を調べた。なお,本研究は徳島文理大学倫理審査委員会の承認を受けて実施した(R4-45)。

【結果および考察】 青年女性群ではOF-5 1項目該当者が7名(嚥下困難感3名,口腔乾燥感2名,滑舌低下2名)であり,オーラルフレイル該当者はいなかった。中年女性群では1項目該当者が10名,2項目該当者(オーラルフレイル)が5名であり,口腔乾燥感,嚥下困難感,咀嚼困難感の順で多かった。口腔状態を比較した結果,TCIは中年女性群で有意に高い値を示した(マンホイットニーU検定,p<0.01)。口腔湿潤度やODKの平均値は中年女性群で低かったが,有意差は認めなかった。一方,舌圧は有意差はないものの青年女性群の平均値が低く,1/4以上が低舌圧であることがわかった。青年期における低舌圧は口腔機能の発達不全が背景にある可能性も考えられた。

【結論】 歯数や咬合に問題のない青年期女性においてもOF-5の項目に1個該当する者(オーラルフレイル予備軍)が存在し,低舌圧に対しても着目する必要があることが示唆された。

P-73 ポスター発表 個人のブラッシング特性に合わせた歯ブラシ選択とその効果

○江田幸代1) 高柳篤史2) 江下義之1) 山本真士1)

1)花王(株)ヒューマンヘルスケア研究所

2)高柳歯科医院

キーワード 歯ブラシ選択 ブラッシング特性 口腔状態

【目的】 効果的なセルフケアには,個人のブラッシング習慣とスキル(以下,ブラッシング特性)に合わせた歯ブラシ選択が重要であると考える。しかしながら,多種多様な機能を有した歯ブラシから,一般生活者が最適な歯ブラシを選択することは難しい。日常のブラッシング特性や口腔状態に合わせた歯ブラシを使用することで,口腔状態改善が期待できるのではないかと考え,歯科衛生士が個人に適した歯ブラシを選択し,一定期間使用した時の口腔状態への影響を調べることを目的とした。

【対象および方法】 試験参加に同意した,1日2回以上ブラッシングを実施する20~65歳の51名を対象とした。歯ブラシは,特徴的な機能を有する5種類の市販歯ブラシを用いた。ブラッシング特性の指標となる,ブラッシング時間と口腔状態の二軸を基本とした選択フローチャートを用い,5種類の歯ブラシより個人に最も適すると考えられるものを歯科衛生士が選択した。選択された歯ブラシを1日2回以上3カ月間使用させた。口腔内診査は,歯垢付着状態(QHI)および歯周状態(PPD,BOP,GI)を試験開始前,1カ月後,3カ月後の計3回実施した。花王株式会社倫理委員会の承認(K0331-2404)に基づき実施した。

【結果および考察】 個人に適した歯ブラシを3か月使用した結果,使用前と比較してQHI,BOP,GIいずれも1カ月後,3カ月後とも有意な減少が認められた。個人のブラッシング特性の変容に依存することなく,歯ブラシを個人に合わせたものにかえることでも,口腔状態の改善ができることが示唆された。

【結論】 日常のセルフケアにおいて,個人の口腔状態やブラッシング特性に合わせた歯ブラシを使用することは,口腔状態を良好に保つ手段になることが示唆された。

P-74 ポスター発表 幼児における歯列・咬合不正が痩せに及ぼす影響について

○中村美紀 八木孝和 水村容子 氏橋貴子 川野亜希 宮澤絢子 破魔幸枝 山城圭介 吉田幸恵

神戸常盤大学保健科学部口腔保健学科

キーワード 幼児 歯列・咬合不正 痩せ 健康寿命延伸

【目的】 我が国の健康問題の1つに「痩せ」が挙げられる。健康寿命延伸には適正体重を維持することが重要であるが,幼児期や学齢期の体格に及ぼす歯科的要因についての知見は極めて少ない。そこで,本研究では,歯列・咬合不正と幼児の体格との関連を調査し,歯科的要因が幼児の「痩せ」に及ぼす影響について検討した。

【対象および方法】 対象は兵庫県内の保育施設に通う4~5歳の幼児150名とその保護者とした。保護者には幼児の身長・体重を含む全身と口腔の状態に関する質問紙調査を実施した。歯列・咬合不正は歯科医師による視診および保護者の申告を基に評価し,開咬・反対咬合・叢生・上顎前突・空隙歯列のいずれかを認めた場合を不正ありと判定した。体格はカウプ指数により評価し,14.5未満を「痩せ」,14.5~16.5未満を「正常」,16.5以上を「肥満」と分類した。歯列・咬合不正と体格の関連にはχ2検定を用い,有意水準を5%とした(神常研倫第23-20号)。

【結果および考察】 体格は「痩せ」群が58名,「正常」群が81名,「肥満」群が11名であった。歯列・咬合不正は65名に認められ,不正を有する群における「痩せ」の割合は47.7%であり,不正がない群の31.4%と比較して有意に高かった(p=0.0471)。この結果は,歯列・咬合不正を含む口腔機能の問題が,咀嚼効率の低下を通じて栄養摂取や体格に影響を及ぼす可能性を示唆する。幼児期は発育の基盤を形成する重要な時期であり,歯科的問題の早期評価と支援が発育支援の一環として重要であると考えられる。

【結論】 幼児の歯列・咬合不正と「痩せ」との間に有意な関連が認められた。今後は縦断的研究により,因果関係や介入効果について多面的に検討する必要がある。

P-75 ポスター発表 ラウリル硫酸ナトリウム配合洗口剤による口腔粘膜剥離における日内変動に関する研究

○大矢朋慧1,2) 相原喜子1) 内海倫也1) 近藤久貴1)

1)愛知学院大学短期大学部専攻科(口腔保健学専攻)

2)徳島大学大学院口腔科学研究科(口腔保健学専攻)学生

キーワード ラウリル硫酸ナトリウム 洗口剤 抗酸化能 口腔粘膜剥離 日内変動

【目的】 純水,ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)配合,非配合洗口剤によって生じる口腔粘膜剥離量の日内変動を調査することを目的として,市販洗口剤を用いた洗口後の口腔粘膜剥離量の変化を検証した。

【対象および方法】 21歳の女性6名を対象に,対照群である純水と,SLS配合洗口剤,SLS非配合洗口剤の2種の洗口剤を,メーカー指示書の使用方法(20mL,30秒洗口)で用いた。その後,純水で20mL,20秒で洗口を5回行った含嗽液を遠心分離し,沈殿物に含まれる剥離口腔粘膜細胞数を計測した後,乾燥重量を計測した。これを,9時,13時,17時の時間帯で,洗口30分後,60分後に実施した。なお,本研究は,愛知学院大学短期大学部倫理委員会(承認番号24-010)の承認を得て行った。

【結果および考察】 9時の洗口において,SLS配合洗口剤により剥離口腔粘膜細胞数は,30分後に,純水,SLS非配合洗口剤と比較し有意に増加した。13時と17時の洗口においては,30分後,60分後どちらも各洗口剤間で有意な差は認められなかった。乾燥重量は全ての時間帯において30分後,60分後どちらも各洗口剤間で有意な差は認められなかった。9時の洗口では13時と17時と比較し,SLS配合洗口剤によって剥離口腔粘膜細胞数が有意に増加した理由として,唾液中の抗酸化能の日内変動が関係している可能性が考えられる。

【結論】 本研究により,高齢者などの抗酸化能の低い者がSLS配合洗口剤を安全に使用するためには,洗口の時間帯を考慮する必要があることが示唆された。

P-76 ポスター発表 大型太陽電池付酸化チタン電極内蔵歯ブラシの口腔清掃効果の検討

○鈴木 恵1) 大嶋依子2) 細谷夏実3) 櫻井四郎3) 佐藤 勉4)

1)日本歯科大学東京短期大学

2)日本歯科大学附属病院

3)大妻女子大学

4)東海大学医学部基礎医学系

キーワード 酸化チタン電極内蔵歯ブラシ 歯垢付着状況 唾液検査

【目的】 大型太陽電池(従来の1.1倍の面積)付酸化チタン電極内蔵ブラシ(以下チタン歯ブラシ)の口腔清掃効果を歯垢付着状況の確認と唾液検査から検討することを目的とした。

【対象および方法】 対象は20代女子16名。事前に口頭と文書にて本研究の説明を行い,同意を得た。実験には,大型太陽電池付酸化チタン電極内蔵ブラシ(ソラデー5®,株式会社シケン,以下Sブラシ)とプラセボは酸化チタンを非内蔵の歯ブラシ(以下,Pブラシ)を用いた。実験はクロスオーバー試験で行った。対象者を2群(第1群と第2群,各8名)に分け,第1群は初めの4週間にSブラシの歯磨きをし,4週間のウォッシュアウト期間経過後にPブラシの歯磨きを4週間した。第2群はPブラシ,Sブラシの順に歯磨きをした。歯垢付着状況は,PlI(Plaque lndex)とPCR(Plaque Control Record,%)を用い,統計解析は対応のあるt検定を使用した(有意水準5%)。唾液検査はSMT(ライオン歯科材料株式会社)を用いた(東京短期大学倫理審査委員会-328)。

【結果および考察】 統計学的結果からSブラシ群はPブラシ群と比較すると,試験前後の歯垢付着状況は,PlIでは有意な差は無く,PCRは有意な差であった(p<0.05)。歯垢を確認する方法がPlIとPCRで異なる為であると考えられる。試験終了時のSMTは,Sブラシでは,う蝕の「酸性度」が減少し「緩衝能」は維持した。歯周病の「白血球数」と「タンパク質」,「アンモニア」が改善した。Pブラシは変化が無かった。以上から,Sブラシはう蝕および歯周病予防に活用できる可能性が示唆できた。

【結論】 歯垢付着状況と唾液検査の結果から,大型太陽電池付酸化チタン電極内蔵ブラシは優れた口腔清掃効果を有することが示唆された。

P-77 ポスター発表 オゾン水による口腔内細菌への殺菌,消毒効果について

○渡辺朱理1) 大森愛菜2) 横田憲治3) 玉木直文4) 松山美和1)

1)徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔機能管理学分野

2)ひしかわ歯科矯正歯科

3)岡山大学大学院保健学研究科検査技術学分野

4)鹿児島大学大学院医歯学総合研究科予防歯科学分野

キーワード 歯科医療 オゾン水 口腔内細菌 殺菌 消毒

【目的】 オゾン水の酸化力・殺菌力が歯科医療環境の衛生管理に適用できるか検討するために,口腔内細菌を指標とし,オゾン水による殺菌,消毒効果を検討した。

【対象および方法】 Streputococcus mutansS. mitisS. salivariusS. pyogenesActinomyces viscosusを用いた。od600にて菌体濁度1.0に調整した各菌液をオゾン水および滅菌水と混和し,37度で48時間培養を行った。さらに,約2週間から1か月間連続使用した歯ブラシ14本を用いて,オゾン水および滅菌水2mlを5回噴射し,各回数の歯ブラシ上のオゾン水および滅菌水を収集した。7本の歯ブラシから回収されたオゾン水および滅菌水はBHI寒天培地に塗抹し37度48時間好気培養を行った。残り7本は同方法で嫌気培養を行い各培地に生じたコロニー数の有無で判定した。

【結果および考察】 検証したすべての菌種でオゾン水の殺菌効果がみられた。歯ブラシに付着した嫌気性菌は,オゾン水2回目の噴射でほぼ検出されなかった。好気性菌は,オゾン水5回目の噴射においても2本の歯ブラシから検出されたが,全体的に噴射回数を重ねるごとに減少傾向がみられた。口腔内細菌,歯ブラシ付着細菌の嫌気性菌や好気性菌に対してオゾン水の殺菌,消毒効果があることが認められ,歯科医療衛生管理に有効であることが示唆された。

【結論】 代表的な口腔内細菌に対してオゾン水の殺菌効果を認めた。また歯ブラシ付着の好気性菌および嫌気性菌ともに,オゾン水による消毒効果が認められた。さらに芽胞を形成する細菌種や院内感染原因菌種などについてもオゾン水の殺菌,消毒効果を検証し,より安全で安心な歯科医療環境の衛生管理方法を検討していきたいと考える。

P-78 ポスター発表 音波歯ブラシブラシヘッドの差異による人工プラーク除去効果について

○山口未夢1,2) 増田麻里2) 後藤君江2) 犬飼順子2) 内海倫也2)

1)平岡歯科医院

2)愛知学院大学短期大学部専攻科(口腔保健学専攻)

キーワード 歯ブラシ 音波歯ブラシ 人工プラーク除去効果 ブラシヘッド

【目的】 形状の違う4つの歯ブラシを用いて,顎模型上で1歯面当たりの人工プラーク除去効果を比較検討した。

【対象および方法】 ブラシヘッドは,PHILIPS sonicareに付属するプレミアムガムケア,市販されている奇跡の歯ブラシ,濃密極細毛歯ブラシおよびPOPOTAN 爽Sohの4種類を用いて実験を行った。プレミアムガムケア以外は音波歯ブラシに装着できるように切断,加工した。上顎右側第1大臼歯の頬側面と両隣接面に人工プラークを塗布した後,歯ブラシの毛先が上顎第1大臼歯の頬側面に垂直に当たるように固定し,5秒,10秒,15秒,20秒の時間で歯面に当て,各秒数に対してそれぞれ6回施行した。

【結果および考察】 ブラシヘッド毎の清掃時間の違いによる人工プラーク除去面積は,プレミアムガムケアとPOPOTAN爽Sohでは各秒間に有意差はみられなかったが,時間とともに除去率が高くなる傾向がみられた。奇跡の歯ブラシと濃密極細毛歯ブラシでは,5秒と15秒では15秒の方が,5秒と20秒では20秒の方が人工プラーク除去率は有意に高かった。清掃時間を一定にした時のブラシヘッドの違いによる人工プラーク除去面積は,プレミアムガムケア,奇跡の歯ブラシ,POPOTAN爽Soh,濃密極細毛歯ブラシの順で人工プラーク除去面積が大きかった。

【結論】 歯ブラシを使用する際は,1歯面当たりの清掃時間を長くすることでプラークの除去効果が高くなることが示唆されたが,隣接面の移行部への清掃効果はみられなかったため,歯間清掃用具との併用が必要である。家電量販店などで様々な形態の音波歯ブラシが販売されているが,患者の口腔内の状況などを考慮し,適切なブラッシング指導をしていくことが重要である。

P-79 ポスター発表 糖尿病と自発運動がラット顎下腺組織IgA濃度に与える影響の解析

○山本裕子1) 猿田樹理2) 坂口和歌子3) 両角俊哉4) 東 雅啓5) 清水智子6) 槻木恵一3)

1)神奈川歯科大学短期大学部 歯科衛生学科

2)神奈川歯科大学 教育企画部

3)神奈川歯科大学 環境病理学分野

4)日本歯科大学新潟生命歯学部 歯科保存学第一講座

5)東京工科大学医療保健学部 看護学科

6)神奈川歯科大学 歯周病学分野

キーワード 唾液腺 IgA 糖尿病 自発運動

【目的】 本研究では糖尿病と自発運動が顎下腺組織IgA濃度とpolymeric immunoglobulin receptor(pIgR)発現量に与える影響を,動物実験で明らかにすることを目的とした。

【方法】 本研究は神奈川歯科大学実験動物・組み換えDNA委員会(17-016)の承認を受けて実施した。7週令の糖尿病モデルラットOLETFとそのコントロールLETOを使用し,LETO群,OLETF群,OLETF自発運動群の3群に分けた。16週後に顎下腺,血清,盲腸組織,盲腸内容物を採取した。顎下腺組織,盲腸内容物,血清のIgA濃度,血清IgG濃度,顎下腺組織チロシンヒドロキシラーゼ(TH)濃度はELISA法で測定した。顎下腺組織pIgR mRNA発現量はリアルタイムPCRで測定した。

【結果および考察】 顎下腺組織IgA濃度とpIgR発現量は,LETO群に比較して糖尿病モデルラット群で低値が認められたが(p<0.05,<0.05),OLETF群とOLETF自発運動群との間には差が認められなかった。顎下腺TH濃度は3群間で差が認められなかった(p=0.8)。本研究により,糖尿病発症が顎下腺IgA濃度とpIgR発現量を低下させる可能性が示された。また,糖尿病を発症している場合,自発運動の運動量では顎下腺組織IgA濃度とpIgR発現量に影響を与えない可能性が示された。さらに,糖尿病モデルラットでは交感神経活性化のマーカーとなるTHは低下していないが,副交感神経機能が低下し,その影響で顎下腺IgA濃度とpIgR発現量が低下する可能性が推測された。

【結論】 糖尿病は顎下腺IgA濃度を低下させ,IgAを上昇させる自発運動の効果を打ち消す可能性がある。

P-80 ポスター発表 口腔のherpes simplex virus感染と歯周炎症表面積との関係

○垣内陽菜乃1) 重石英生1) 小沼美玖1) 山木戸雛1) 升本陽菜1) 野見ほのか1) 兼保佳乃1) 矢野加奈子1) 仁井谷善恵2) 太田耕司1)

1)広島大学大学院医系科学研究科 公衆口腔保健学研究室

2)広島大学大学院医系科学研究科 口腔保健管理学

キーワード herpes simplex virus type 1 歯周炎症表面積 Plaque Control Record

【目的】 これまで,日本人成人における口腔のherpes simplex virus type 1(HSV-1)感染と歯周病の重症度については十分に検討されていない。そのため本研究では,口腔のHSV-1と歯周炎症表面積(periodontal inflamed surface area: PISA)および歯垢付着状態との関係を検討した。

【対象および方法】 2019年から2021年までに某大学病院を受診した成人患者で,本研究に同意の得られた168例(男性61例,女性107例,年齢(中央値)=69歳)を対象とした(承認番号:第E-1115号)。舌背部から擦過細胞採取用ブラシを用いてサンプルを採取した。リアルタイムPCR法を用いてHSV-1 DNAの検出を行った。

【結果および考察】 168例中25例(14.9%)の患者からHSV-1 DNAが検出された。HSV-1陽性例の年代別では60歳代と70歳代が多かった。HSV-1陰性例におけるPISA値の中央値は77.5(mm2),HSV-1 陽性例におけるPISA値の中央値は178.8(mm2)で,HSV-1 陽性例では陰性例と比べてPISA値が高かったが,有意差は認めなかった。また,HSV-1陰性例におけるplaque control recordの中央値は21.0(%),HSV-1 陽性例におけるplaque control recordの中央値は24.0(%)で,HSV-1 陽性例でやや高かった。HSV-1と口腔内の清掃状態との間には有意な関連は認めなかった。

【結論】 口腔のHSV-1感染は歯周病と関連している可能性が示唆された。今後は,HSV-1と歯周病原細菌の複合感染についてさらに検討する必要があると考えられた。

P-81 ポスター発表 口腔のHelicobacter pylori感染と口腔衛生状態との関係

○山木戸雛1) 重石英生2) 升本陽菜1) 小沼美玖1) 垣内陽菜乃1) 北崎ほなみ1) 兼保佳乃2) 矢野加奈子1) 仁井谷善恵3) 太田耕司2)

1)広島大学大学院医系科学研究科 公衆口腔保健学研究室 学生

2)広島大学大学院医系科学研究科 公衆口腔保健学研究室

3)広島大学大学院医系科学研究科 口腔保健管理学研究室

キーワード Helicobacter pylori Real-time PCR Plaque Control Record

【目的】 口腔のHelicobacter pylori感染と口腔衛生状態との関係を明らかにするため,歯周病のメンテナンス治療中の患者を対象に,口腔のH. pylori DNAを検出し,H. pyloriと口腔内の衛生状態や歯周組織の状態との関係を検討した。本研究は,広島大学の疫学研究倫理審査委員会の承認を得て行われた(承認番号:第E-1115号)。

【対象および方法】 某大学病院を受診した患者で,本研究に同意の得られた134例の患者を対象とした。細胞採取用ブラシを用いて,舌背部を擦過し,採取した口腔内擦過物からDNAを抽出した。H. pyloriに特異的なプライマーを用いて, Real-time PCRを行った。Plaque Control Record(PCR)を用いて口腔内の衛生状態を評価した。また,全顎の歯周ポケット測定を行った。

【結果および考察】 134例中10例(7.5%)において,H. pylori DNAが検出された。H. pylori陰性例のPCRの中央値は17.0%,H. pylori陽性例のPCRの中央値は35.5%で,H. pylori陽性例では陰性例と比較してPCR値は有意に高かった。H. pylori陽性例は,陰性例と比較して,出血を伴う4mm以上の歯周ポケットを持つ者の割合が高かったが,有意差はなかった。さらに,H. pyloriとPeriodontal Inflamed Surface Area(PISA)値との関係を検討した結果,H. pylori陽性例の方がH. pylori陰性例と比較してPISA値は高かった。以上より,口腔のH. pylori感染は口腔衛生状態と関係している可能性がある。

【結論】 口腔のH. pylori感染は口腔衛生状態と関係していた。口腔のH. pylori感染を予防するためには,口腔衛生状態を良好に保つことが重要であると考えられた。

P-82 ポスター発表 大学生の歯科保健の実態と歯科受診に関連する小学生時の歯科保健行動や教育

○三浦うた1) 古川絵理華2) 辻 優依2) 犬飼順子2)

1)愛知学院大学短期大学部専攻科 学生

2)愛知学院大学短期大学部専攻科

キーワード 大学生 歯科保健 歯科受診

【目的】 大学生の歯科保健の実態と歯科受診に関連する小学生時の歯科保健行動や教育を明らかにすることを目的とした。

【対象および方法】 名古屋市内にあるA大学の非医療系学科に在籍する大学2~4年生76名に,Microsoft Formsを用いて現在の歯科保健の実態と小学生時の歯科保健行動や教育に関する質問票調査を行った。本研究は愛知学院大学短期大学部倫理委員会(承認番号24-013)の承認を得た。

【結果および考察】 口の中で最も気になることは「歯の色」で,女子学生(59.3%)が男子学生(34.7%)より有意に高く(p<0.05),この項目のみ男女差が認められた。しかし,「歯周病」の関心は約10%と男女共に最も低かった。大学での歯磨き習慣がある者は3.9%で,磨かない理由は歯ブラシを持ち歩かない,人前で磨くのに抵抗があるためだった。1年以内に歯科受診をしなかった理由は,時間や金銭面,かかりつけ歯科医がいないことであった。よって,大学生の歯科保健への関心が低いと考えられた。また,小学校でのフッ化物洗口と歯科医院でのフッ化物歯面塗布の経験は,現在の歯科医院への受診と有意に関連していた(p<0.05)。フッ化物の応用による口腔内に対する関心の高まりや,予防の重要性を認識することにより,学童期以降も歯科医院の受診につながっている可能性が考えられる。

【結論】 大学生の歯科保健の実態として,口腔保健への関心は低かった。また,大学生の歯科受診には小学生時のフッ化物応用が関連していた。したがって,フッ化物応用を含む小学校や家庭での歯科保健活動はもちろん,「他律的健康づくり」から「自律的健康づくり」の転換期である大学生にも,小学生からのシームレスな歯科保健教育や歯磨きがしやすい環境の充実が求められる。

P-83 ポスター発表 能動的方法および受動的方法による歯肉マッサージ効果の比較

○岩熊実茅1) 鈴鹿祐子2) 荒川 真2) 酒巻裕之2)

1)千葉県歯科衛生士会

2)千葉県立保健医療大学 健康科学部 歯科衛生学科

キーワード 歯肉マッサージ セルフケア リラクゼーション 生理的変化

【目的】 対象者が能動的に歯肉マッサージを行った場合と,術者により受動的に行われた場合を比較し,セルフケアによる歯肉マッサージが及ぼす生理的変化とリラクゼーション効果について明らかにすることを目的とした。

【対象および方法】 C大学女子学生11名を対象として「対象者自身が行う能動的方法」と「研究者により対象者に行われる受動的方法」において歯肉マッサージを実施し,それぞれの歯肉マッサージ実施前後に生理的指標として心拍数・R-R間隔,皮膚温・粘膜温,最大開口量,口腔水分量,主観的指標として日本語版UWIST気分チェックリスト(緊張覚醒度,エネルギー覚醒度)を測定した。また,2日目の実験終了後にアンケートを実施した。解析は,Wilcoxonの符号付順位和検定を行った(千葉県立保健医療大学研究倫理審査員会承認番号2024-48)。

【結果および考察】 能動的方法,受動的方法ともに,歯肉マッサージ実施後は前と比較して心拍数・緊張覚醒度は有意な減少,R-R間隔・最大開口量は有意な増加を示し,受動的方法のみにエネルギー覚醒度が有意に低下した(p<0.05)。また,能動的方法について「手が疲れ最後まで加圧するのが難しかった」などの回答があった。能動的方法においても心拍数・R-R間隔・緊張覚醒度に有意差がみられたことから,セルフケアによる歯肉マッサージにおいてもリラクゼーション効果があると示唆されたが,活動的な情動は持続される可能性が示唆された。また,開口量の増加は,頰粘膜のストレッチや咬筋の上顎起始部の加圧も行ったことから開口筋群が柔軟化されたためと考えられた。

【結論】 セルフケアによる歯肉マッサージは,生理的にリラクゼーション効果をもたらし,緊張や不安感を低減させることが示唆された。

P-84 ポスター発表 口腔機能低下症とオーラルフレイルの認知に関する要因と啓発についての検討

○𠮷川遥菜1) 鈴鹿祐子2) 山中紗都2) 並木泰次3) 酒巻裕之2)

1)千葉県立保健医療大学健康科学部歯科衛生学科 学生

2)千葉県立保健医療大学健康科学部歯科衛生学科

3)なみき歯科医院

キーワード 口腔機能低下症 オーラルフレイル 歯科診療所

【目的】 2018年度の歯科診療報酬改定において,口腔機能低下症が病名として認められた。本研究は,口腔機能低下症およびオーラルフレイル(以下OF)の認知に関する要因を明らかにし,啓発方法について検討した。

【対象および方法】 C大学歯科診療室と千葉県内の歯科医院に来院した50歳以上の患者を対象に,無記名のアンケートを実施した。調査内容は,対象者の属性,フレイル・OF・口腔機能低下症についての知識や歯科関連のイベント参加経験の有無,歯科に関する情報獲得の手段についてなどとし,口腔機能低下症およびOFの認知に関する要因との関連について分析を行った(千葉県立保健医療大学研究倫理審査員会承認番号2024-47)。

【結果および考察】 100名(男性37名,女性63名)より回答を得た。口腔機能低下症の意味を認知していると回答したのは36名(36%),OFは21名(21%)にとどまった。また,認知している回答者の多くは,テレビ,新聞,インターネットから情報を得ていた。口腔機能低下症の認知に関する要因は,OFを聞いたことの有無と性別,定期健診受診の有無,歯科関連のイベント参加経験の有無,歯科以外のイベント参加経験およびフレイルを聞いたことの有無に有意な関連がみられた(p<0.05)。フレイルや口腔の機能障害の予防のためにも口腔機能低下症に対する啓発活動が必要であり,定期的歯科受診やイベントの参加促進など,情報を得る機会を増やすことが必要であると考えられた。

【結論】 口腔機能低下症およびOFの認知度は未だ低く,テレビや新聞,インターネットなどの媒体を通した能動的情報提供での啓発活動が必要であるとともに,歯科診療時や定期健診時の歯科医師・歯科衛生士からの情報提供が有効と考えられた。

P-85 ポスター発表 白色LED光を用いたPorphyromonas gingivalisに対する殺菌効果

○茂木万莉杏1) 林 桜2) 青木 章3) 竹内康雄4)

1)きくち歯科医院

2)埼玉県立大学 保健医療福祉学部 健康開発学科 口腔保健科学専攻

3)東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 歯周病学分野

4)東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 生涯口腔保健衛生学分野

キーワード 白色LED Porphyromonas gingivalis 歯周病 光線治療

【目的】 歯周病の主因であるプラークの除去には,機械的プラークコントロールが主に用いられているが,近年,その補助として光エネルギーの応用が注目されている。歯科において,光と光感受性物質の光化学反応を利用した抗菌的光線力学療法に関する研究報告は多数存在するが,光単独での抗菌効果については不明な点が多い。そこで本研究では,白色LED光に着目し,その照射が歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalisに及ぼす影響をin vitroで検討した。

【対象および方法】 P. gingivalis ATCC 33277をBrain Heart Infusionブロスで培養し,細菌懸濁液を作製した。これに対し,白色LED光(ピーク波長450 nmおよび600 nm)を250〜1250 mW/cm²で3分間照射した後,血液寒天培地に播種し,嫌気培養後にコロニー数をカウントした。また,96穴プレートを用いてP. gingivalisを培養し,プレート底部に付着形成したバイオフィルム様細菌に対して白色LED光を照射した。その後,クリスタルバイオレット法により残存バイオフィルム量を測定した。

【結果および考察】 P. gingivalisの細菌数は,白色LED光照射による総エネルギー量に依存して減少したが,その減少量は対照群である青色光(ピーク波長450 nm)や塩化ベンザルコニウムと比較し小さかった。また,バイオフィルム様細菌に対する白色LED光の抗菌効果はほとんど認められなかった。

【結論】 P. gingivalisに対する白色LED光の殺菌効果は限定的で,特にバイオフィルム様細菌は高い抵抗性を示した。

P-86 ポスター発表 フッ化物配合ポリッシングペーストによる術前清掃がオフィスホワイトニングの効果に及ぼす影響

○小林令奈1) 立原桃果1,2) 金子 潤1)

1)明海大学保健医療学部口腔保健学科

2)夏堀デンタルオフィス白金高輪

キーワード オフィスホワイトニング フッ化物配合ポリッシングペースト 漂白効果

【目的】 オフィスホワイトニング術前の歯面清掃の際に,フッ化物濃度950ppmFのポリッシングペーストを用いた場合には漂白効果に影響を及ぼさないことがわかっているが,1,450ppmFのより高濃度のものを用いた場合の漂白効果への影響については明らかになっていない。本研究では,オフィスホワイトニング術前の歯面清掃にフッ化物濃度1,450ppmFのポリッシングペーストを使用した場合の漂白効果への影響を検討した。

【材料および方法】 ヒト抜去前歯10本を歯冠中央から左右に二等分し,フッ化物を含有しないポリッシングペースト(N群)で右半分を,フッ化物濃度1,450ppmFのポリッシングペースト(F群)で左半分をポリッシングした。その後,オパールエッセンスBOOST(ウルトラデントジャパン)を用いてメーカー指示通りにオフィスホワイトニングを3日間行った。術前と毎処置後に被験面を歯科用分光測色計にて測色し,L*a*b*表色系にて表示後に術前と毎処置後との色差ΔEを通法により算出した。統計解析は反復測定分散分析を用いて行った(α=0.05)。

【結果および考察】 色差ΔEはホワイトニング回数を重ねるごとに両群とも徐々に上昇し,3日目でN群が4.37,F群が4.27となったが,両群間に有意差は認められなかった。フッ化物から放出されるフッ素イオンは歯質の特に無機質に取り込まれ,アパタイトの結晶構造を安定化させる効果が期待されているが,ホワイトニング剤は歯の表層あるいはアパタイト結晶間に拡散しながら浸透して効果を発揮する。この作用機序の違いによるものと思われた。

【結論】 フッ化物濃度1,450ppmFのポリッシングペーストによる術前清掃は,オフィスホワイトニングの漂白効果に影響を与えなかった。

P-87 ポスター発表 ゲーミフィケーションを活用した口腔健康教育プログラムの有用性の検討

○中尾風香1) 鈴木 瞳2) 杉本久美子2) 吉田直美2)

1)東京都歯科衛生士会

2)東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 口腔健康教育学分野

キーワード ゲーミフィケーション モチベーション 口腔健康教育 歯間清掃

【目的】 近年,ゲーミフィケーションを動機づけに応用した健康増進の取り組みが報告されているが,歯科保健指導に応用された例はない。本研究では,ゲーミフィケーションを用いた口腔健康教育プログラムを実施し,その有用性を検討することを目的とした。

【対象および方法】 2024年度某大学口腔保健衛生学専攻4年生のうち,研究協力の同意が得られた20名を対象とした。対象者は,Instagramを用いたプログラムに参加し,2週間毎日の歯間清掃回数を報告した。ゲーミフィケーションとして対象者をグループに分けて総歯間清掃回数を競わせる,報酬を与えるといった内容を組み込み,口腔保健に関する情報の配信により日々の報告を促した。介入前後に自記式質問票調査を行い,口腔保健行動,口腔保健への意識・意欲の変化について統計分析を行い,自由意見について質的分析を行った。本研究は東京科学大学統合教育機構倫理審査委員会の承認を得た(C2024-009)。

【結果および考察】 質問調査の回答率は100%であった。プログラム後は,介入前に比べて,有意な歯間清掃頻度の増加と歯間清掃への意欲の上昇が認められ,歯肉からの出血や歯肉の発赤腫脹の自覚症状も有意ではないが,減少方向となった。介入に対する感想の質的分析より,「競争心」「仲間への配慮」「配信情報の効果」「楽しさの実感」「モチベーション」「歯間清掃の習慣化」といったカテゴリーが抽出され,介入を通して競争心や仲間意識を持ちつつ,日々の情報配信を楽しみながらプログラムに参加した状況が示された。

【結論】 ゲーミフィケーションを用いた健康教育プログラムを,歯科衛生学生を対象に実施した結果,歯間清掃頻度および歯間清掃への意欲が増加し,プログラムの有用性ならびに今後の健康教育への応用可能性が示された。

P-88 ポスター発表 令和6年能登半島地震における災害歯科保健歯科衛生士の活動内容と災害歯科保健教育の必要性

○沢木栞渚1) 鈴木 瞳2) 杉本久美子2) 久保山裕子3) 吉田直美2)

1)横浜市立みなと赤十字病院歯科口腔外科

2)東京科学大学大学院医歯学総合研究科口腔健康教育学分野

3)福岡県歯科衛生士会

キーワード 令和6年能登半島地震 災害歯科保健歯科衛生士 災害歯科保健教育

【目的】 避難生活を伴う自然災害の頻発化,激甚化が進む日本において,災害歯科保健の重要性が認識されつつあるが,歯科衛生士の活動に関する報告はほとんどない。本研究は,災害支援に参加した歯科衛生士への調査より,支援活動の内容と歯科衛生学生が学ぶべき内容について明らかにすることを目的とした。

【対象および方法】 令和6年能登半島地震支援活動に参加した災害歯科保健歯科衛生士141名を対象としてWeb調査を行い,さらに協力が得られた者を対象にインタビューを行った。調査項目には,年齢,所属都道府県会,主要な活動内容,最重要と感じた支援,学生への災害歯科保健教育の必要性等を含めた。自由意見およびインタビュー内容は,質的分析によりカテゴリー分けを行った。本研究は,東京科学大学歯学系倫理審査委員会の承認を得た(D2023-078)。

【結果および考察】 Web調査の回収率は63%で,インタビュー参加者は7名であった。回答者の所属は,石川県および愛知県が最多で,18都府県にわたり,年齢は50代以上が72%を占めた。主要な支援活動は避難所アセスメントが約半数を占め,重視する支援内容は避難者への個別の聞き取り,口腔衛生指導が上位であった。卒前の災害歯科保健教育について99%が必要と回答し,その内容は,災害支援の基本的事項と意義,災害歯科保健における歯科衛生士の役割,支援に必要な知識と技術,ロールプレイなどの演習・実習に分類された。

【結論】 令和6年能登半島地震において支援活動に参加した災害歯科保健歯科衛生士を対象とした調査より,活動内容として避難者への個別聞き取り等の重要性が示された。また,卒前の災害歯科保健教育の高い必要性が明示され,内容として災害支援の基本的事項から実践的シミュレーションまで要することが示唆された。

P-89 ポスター発表 歯科診療前における洗口液の効果的な使用方法の検討

○藤島梨奈1) 中沢朱那2) 三分一恵里3) 森下志穂3) 星合愛子3)

1)医療法人新心会宇都宮病院

2)あべ歯科医院

3)明海大学保健医療学部口腔保健学科

キーワード 洗口液 含嗽 歯科診療補助

【目的】 歯科診療前には,口腔内細菌を不活化させ,エアロゾルによる汚染を防ぐ目的で,洗口液が使用されている。しかし,臨床現場では診療前の含嗽方法に明確な指針がなく,方法によっては十分な殺菌効果が得られていない可能性がある。本研究の目的は,グルコンサンクロルヘキシジン洗口液を用いた含嗽方法の違いによる口腔内細菌数の経時的変化を明らかにし,歯科診療前における洗口液のより効果的な使用方法を検討することである。

【対象および方法】 対象は某大学の4年生8名とした。水25mlに洗口液(コンクールF®)を5滴加え希釈した洗口液を使用した。舌前方2/3から綿棒で3往復して採取した唾液を検体とした。食後2〜3時間後,ブラッシングを行わず含嗽前の検体を採取した。実験1では洗口液を動かさずに5秒・10秒・15秒間保持し,実験2では口腔内で動かしながら同様の時間含嗽し,各含嗽直後に検体を採取した。1週間間隔で各条件を実施し,細菌数は細菌カウンタを用いて測定した。本研究は,明海大学保健医療学部倫理審査承認を得て実施した(承認番号:MH24-016)。

【結果および考察】 細菌カウンタレベル値と洗口液における含嗽前後の細菌数の経時的変化に有意な差は認められなかった。また,基準値と15秒含嗽後の細菌数では,ほとんど変化が見られなかった。洗口液使用後に細菌数が増加した原因としては,検体採取部位により細菌量が異なることが考えられた。本研究の被験者は,一般的な学生と比較して自らの口腔への関心が高く,口腔清掃をはじめとした歯科保健行動と意識が定着していると推察された。

【結論】 歯科診療前における洗口液の効果的な使用方法として,15秒以上の含嗽が望ましく,殺菌効果が発揮される最低限の基準となる可能性が示唆された。

P-90 ポスター発表 成人における歯科への関心度と歯科衛生士の関わり

○山本莉央1) 染谷りさ子2) 三分一恵里1) 星合愛子1) 森下志穂1)

1)明海大学保健医療学部口腔保健学科

2)医療法人社団爽晴会あおぞら歯科クリニック 船橋本院

キーワード 歯科定期健診 歯科への関心度 患者満足度

【緒言】 本研究は,継続的な定期歯科受診の有無による口腔保健行動や歯科衛生士に求める資質の違いについて明らかにすることを目的とした。

【対象および方法】 某大学の文系学部学生,大学職員,千葉県浦安市のスポーツ施設利用者計682名を対象に無記名のアンケートを行った。調査項目は,歯科への関心度,歯科衛生士に求めること,好感を持った行動などとした。定期健診受診群(以下;受診群)と定期健診非受診群(以下;非受診群)の2群に分け,2群間の比較は,χ2検定を用いた。本研究は明海大学保健医療学部倫理委員会(MH24-010)の承認を得て実施した。

【結果および考察】 歯科衛生士に求めることは,受診群は,説明のわかりやすさ,豊富な知識,親身な姿勢と回答した者の割合が有意に高く,非受診群では優しさと回答した者の割合が有意に高かった(p<0.05)。歯科衛生士の行動で好感を持った対応では受診群は,共感する姿勢,穏やかで優しい対応,意思を尊重してくれたと回答した者の割合が有意に高かった(p<0.05)。非受診群のみ回答した歯科定期健診を継続できない理由は,通うのが面倒くさいが圧倒的に多かったが,通いたいと思っている者が半数以上であった。以上の結果から,受診群は歯科衛生士とのコミュニケーションに関することを求めており,非受診群は,定期歯科受診をしたいと思ってはいるものの,実行するまでに至っていないことが明らかとなった。

【結論】 本研究により,歯科衛生士のコミュニケーションや動機づけ面接が,口腔保健行動の変容や維持に影響することが明らかとなった。

 
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