抄録
被災地大学で開講された復興を題材にした科目が,受講した学生にどのような影響を与えたかを明らかにするために,科目の実践と質問紙調査を用いた受講者による自己評価結果の分析を行った.その結果,1)東日本大震災のことを考える時間,東日本大震災や将来起こる大規模災害における復興への具体的な行動の構想には,影響は及ぼさなかったものの,2)危機回避・困難克服において必要な個人の「生きる力」(性格・考え方・習慣に関する個人の能力)は受講後に有意に向上した.3)さらに,被災経験者にとって,復興の理論や過去の災害の復興事例を学ぶことは,被災者が復興過程を歩む初期段階において大きな効果を有することを定性的に確認した.