環境感染
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ポビドンヨード原末 (PVP-I) の毒性学的研究
第1報ラットにおける単回経口投与毒性
尾嵜 秀次安藤 誠人川音 晴夫仲由 武實
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1999 年 14 巻 4 号 p. 239-246

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抄録

ポビドンヨード原末 (PVP-I) 60, 200,600, 2000mg/kgを雌雄ラットに単回経口投与したときの毒性学的影響について検討を行った.
1.試験期間中に死亡例は認められず, また投与群と対照群間の体重の推移にも差はなかった.
2.一般状態では2000mg/kg群の雌2例, 雄1例で投与後15~30分に肛門から粘液の排泄が観察されたが, いずれも30~60分後には正常に復した. その他に雌1例で投与後15分に流涎, 投与後30~60分に反応性低下が見られたが, 流涎は投与後30分で, また反応性低下は投与後120分で完全に消失した.
3.投与後14日の甲状腺ホルモン (TSH, T3, T4, free T3およびfree T4) の変動は, 雌雄ラットとも2000mg/kg投与においても影響は認められなかった.
4.PVP-Iを経口投与すると速やかにヨウ素が用量依存的に体内に吸収され, 60mg/kg群では1~2時間, 200mg/kg群では1~2時間, 600mg/kg群では2時間, 2000mg/kg群では4~6時間程度で血中濃度が最高値に達するものと考えられた.吸収されたヨウ素は比較的速やかに体外に排泄されると考えられ, 48時間後にはいずれの投与群においても対照群とほぼ同程度の値に回復した.
5.試験期間中の血液学的検査, 生化学的検査および尿検査の値にPVP-I投与に起因した変化はなかった.
6.PVP-I投与後14日の心臓, 脾臓, 肺, 肝臓, 腎臓, 精巣, 卵巣, 前立腺, 子宮, 下垂体, 胸腺, 副腎および脳の剖検所見, およびこれら臓器の重量に対照群との比較で差を認めなかった.
7.PVP-I投与後14日の病理組織学的所見において胃粘膜下織の限局性で軽度な線維増生と細胞浸潤が2000mg/kgの雄1例で観察されたが, その他, 各種臓器にPVP-I投与に起因すると考えられる変化は認められなかった.
8.以上, PVP-Iをラットに単回経口投与した結果, 2000mg/kg (ヒト体重を50kgとして100g/bodyに相当) でPVP-Iの直接作用によると思われる軽度な胃粘膜障害がみられた以外はPVP-Iに関連した毒性症状は認められず, PVP-Iは毒性の弱い化合物と考えられた.

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