環境感染
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殺菌消毒剤・ND-2 (塩化ベンザルコニウム製剤) の有効性, 安全性および有用性の検討について
高橋 孝行国分 勝弥森田 雅之森田 紀代恵桜井 磐今井 健郎松本 文夫小池 清彦岡部 信彦助川 茂斎藤 秀剛
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1990 年 5 巻 2 号 p. 21-29

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抄録

塩化ベンザルコニウムを主薬とし, 皮膚保護を目的に界面活性剤ラウロマクロゴールを添加した消毒剤ND-2について, 医師7名, 看護婦17名, 薬剤師2名, 臨床検査技師3名, 放射線技師1名, 計30名を対象にベースン法で手洗いした際の有効性 (殺菌力) と安全性 (皮膚刺激性) を検討したところ, 以下のごとき成績が得られた.
1. 本剤の有効性を調べる目的で, 消毒前に手指のコロニー数が100個以上検出された被験者を対象に, 塩化ベンザルコニウム濃度を0.1%としたベースン液中で30秒間手指を消毒した. 消毒後のコロニー数が50個以下に減少したもの (有効以上) は30例中28例で有効率は93.3%であった.
また, 本剤の殺菌力の持続性を調べる目的で, 看護婦3名および臨床検査技師2名を対象に消毒後, 片方の手に滅菌済み手術用手袋を装着して, 各時間ごとに手袋を外して手指の細菌数を測定した. 少なくとも消毒後2時間目までは消毒直後のコロニー数の状態を維持していた.
2. 安全性試験は塩化ベンザルコニウム濃度を0.1%としたベースン液を用いて通常どおり手指を4週間消毒し, 皮膚荒れ発症の有無を調べ安全性を検討した. その結果, 30例中「問題なし」は29例 (96.7%) また「やや問題あり」は1例 (3.3%) ときわめて高い安全性が確認された.

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© 日本環境感染学会
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