予防精神医学
Online ISSN : 2433-4499
自殺対策の経緯とこれから
竹島 正
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2017 年 2 巻 1 号 p. 40-47

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抄録

わが国の自殺対策は自殺対策基本法の制定以降大きく発展し、自殺死亡率はようやく1998年の急増以前の水準に戻った。自殺死亡率の減少は、(1)自殺対策基本法に基づく施策の影響、(2)自殺対策と関連する施策の影響、(3)長期的変動の3つの要因が重なって、現在の自殺死亡率の低下が起こっていると考える。そして、(1)と(2)の効果は、自殺死亡率が急増前の水準に戻った今こそ、それがさらに低下することを示すことによって検証されると考える。わが国の自殺対策は、WHOの推奨する多部門による包括的な自殺予防戦略を、自殺対策基本法とそれに関連する背策をもとに具体化した一例であるが、自殺対策のさらなる発展には、行政、研究、活動のインターフェイス構築による創造的な横のつながりが必要とされている。

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© 2017 日本精神保健・予防学会
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