2018 年 53 巻 3 号 p. 105-109
2017年に愛知県の金魚卸売市場で,体表に腫瘍状の隆起のあるキンギョが1尾発見された。このキンギョの体側部には 2~4 mm程度の隆起が複数認められ,一部に出血が見られた。隆起組織の一部を採取して検鏡したところ,粘液胞子虫の胞子が多数確認された。胞子の大きさは,長さ17.1 ± 1.0 μm(平均±標準偏差),幅6.1 ± 0.7 μmで,一つの極嚢が観察された。18SリボソームRNA遺伝子の部分配列は,Thelohanellus testudineusと完全に一致した。本研究は,国産キンギョの皮膚に寄生したT. testudineusの初報告である。