2020 年 55 巻 2 号 p. 42-45
2018年9月~12月に岩手県の明戸川さけますふ化場で採卵に使用したシロサケ雌親魚の体腔液から細菌性冷水病原因菌Flavobacterium psychrophilumが検出された。冷水病菌の検出率は河川で採捕した河川遡上親魚で0.0~91.7%,定置網で採捕して1~2週間淡水蓄養した海産親魚で0.0~100.0%だった。淡水蓄養をしなかった海産親魚の体腔液からも冷水病菌が検出された(検出率:21.4%)。同ふ化場では,2018年に累計で21,165,000粒の受精卵を吸水前消毒し,平均発眼率は92.4%だった。吸水前消毒をしない対照区では3ロット中1ロットで発眼卵の卵内から冷水病菌が検出された(検出率:23.3%)。吸水前消毒した試験区では4ロット全てで卵内感染は認められなかった。これらのことから,シロサケふ化場における事業規模の種苗生産において,吸水前消毒は冷水病菌の卵内感染の防除に有効であることが示された。