近年,日本の漁業・養殖業生産量は緩やかな減少傾向が続いている。この減少には様々な要因が関わっているが,魚病もその一つである。養殖では年間100億円程度の魚病被害が継続しているとされているが,魚病対策経費,貝類や天然資源生物の被害は含まれておらず,被害総額はそれ以上に大きいと思われる。今後,水産業を維持・発展させていくためには魚病対策は不可欠である。そこで,養殖企業,都道府県,製薬会社,研究機関,大学などで長く魚病にかかわってきた方々から構成される「魚病問題を考える会」を開催し,5回にわたるオンライン座談会ならびにメールによる意見交換を行い,現在の魚病をとりまく状況について,防疫,予防・治療,検査・診断,養殖関係者等の知識・認識の4つの項目に分けて包括的に魚病対策が抱える問題点の抽出を行った。本稿では,考える会でのとりまとめ内容を情報として提供する。