魚病研究
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アユのグルギア症に関する研究―I
新種の提案
高橋 誓江草 周三
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1977 年 11 巻 4 号 p. 175-182

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抄録

 (1) アユ寄生微胞子虫の生鮮胞子は長楕円形で,大きさ5.1~6.2×2.0~2.5μ,平均5.8×2.1μである。(2) 感染実験により,感染後6日目に腸粘膜固有層にシゾント1個と宿主細胞核1個を持つキセノマが,つづいて6~9日目に腸粘膜下組織から筋肉層に数個のシゾントと数個の宿主細胞核を持つキセノマが観察され,本種が細胞内寄生性であることが分かった。(3) キセノマ内における増員生殖と胞子形成の過程を記載した。(4) 本種は1個のスポロントから2個の胞子を作るものであり,Glugea属に分類される。(5) 感染実験によリアユのほかにニジマスも本微胞子虫に対し感受性を持つこと,しかしGasterosteus aculeatus microcephalusは感受性を持たないことが分った。(6) 既報のGlugea属の種と比較し,胞子の大きさ,宿主範囲の特性から本種を新種と認めGlugea plecoglossi n. sp.を提案した。

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