抄録
1982 年から 1984 年にかけて, 静岡県下の養殖アユ(Plecoglossus altivelis)に Pseudomonas anguilliseptica 感染症が発生し, 少なからぬ被害をもたらした。これは養殖アユにおける本菌感染症の初発生例であるが, 分離株は従来のウナギ由来株とはウナギ(Anguilla japonica)およびアユに対する病原性, および新鮮血清の殺菌作用に対する対抗性において相違した。また血清学的には, 両者は共通の耐熱性抗原を有するものの, アユ株にはウナギ株に存在するK抗原とは異なる抗原性をもつ表在抗原が認められた。