魚病研究
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OMV感染耐過魚に発現した腫瘍の組織学的研究
吉水 守田中 真木村 喬久
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1988 年 23 巻 2 号 p. 133-138

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抄録

 OMV誘発腫瘍について組織学的観察を行い,以下のような形態的特徴を明らかにし得た。1. シロザケに発現した顎の腫蕩は大きな明るい核を持つほぼ単一の上皮性細胞から構成され,分裂増殖が盛んで,しかも結合組織内へ強い浸潤増殖が認められ,悪性度の高い基底細胞癌と考えられた。2. 角膜上皮,鰓蓋内側に発現した腫瘍は顎に発現した腫蕩と形態的に同一であったが,鰭の腫瘍は表皮組織の限局性増生のみであった。3. 腎臓に発現した2種類の腫瘍のうち一方は顎の腫瘍と形態的に同一で転移腫瘍と推察された。他方は尿細管上皮細胞の増生,肥厚と平滑筋繊維の出現により特徴づけられたがOMVとの関連性は明らかにし得なかった。

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© 日本魚病学会
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