魚病研究
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魚類養殖環境としての大槌湾におけるVibrio anguillarumの分布
田島 研一絵面 良男木村 喬久
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1988 年 23 巻 2 号 p. 95-103

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抄録

 V. anguillarumあるいはその類似菌の生態および分布を明らかにすることを目的に1979~1981年の3年間にわたり,岩手県大槌湾のギンザケ養殖海域を対象に微生物学的調査を実施した。その結果,5337株の分離菌株中,一般性状,血清学的性状およびDNA相同性の上でV. anguillarumと同定されたものはわずか58株であった。そのうちJ-O-3型に型別された36株は明らかに養殖魚に来源を有するものと考えられた。また1株ながらJ-O-1型に型別される菌株が養殖休業期の生簀から離れた湾中央定点から分離された。さらに大槌湾のほぼ全域の海水,プランクトン他,底泥,貝等の環境試料からのみ分離された残りの21株はすべてJ-O-8型の菌株であった。これらの事実は今後V. anguillarumの生態や分布,伝播経路を知る上で一つの手掛りとなり得るものと考える。

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