魚病研究
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養殖ハマチに寄生する嚢虫に関する研究―VIII
カタクチイワシの体内にみられる感染仔虫の幼若型について
中島 健次江草 周三
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1972 年 6 巻 2 号 p. 73-77

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抄録

 1. カタクチイワシの腹腔内から,明らかに感染仔虫の幼若型である矮小虫体が見出され,幽門垂内からは,これとの関連性がらかがわれる一種の条虫類の幼生が発見された。2.幼若虫体は,7~13月令のカタクチイワシに認められ,カタクチイワシは5月令以上であれば,常に,感染仔虫の前段階幼生の感染を受け,特に,9~11月令のもので盛んであることがうかがわれた。3.幼若虫体のみられたカタクチイワシは,5月から11月にかけて採捕され,豊後水道では,この時期に感染仔虫の感染源が出現するものと推定された。4.カタクチイワシに寄生する感染仔虫は,procercoidでもplerocercoidでもないので,plerocercus(充尾虫)である嚢虫の前段階幼生という意味で,新たに,“procercus”(前充尾虫)と仮称することを提案した。

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