家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
特集:過渡期の家族性腫瘍診療,その現状と展望
家族性腫瘍に対する産婦人科医の意識調査についての検討
三浦 史晴中山 育慧永沢 崇幸小見 英夫利部 正裕本田 達也諸原 雄一庄子 忠宏竹内 聡福島 明宗菊池 昭彦杉山 徹
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2012 年 12 巻 2 号 p. 32-34

詳細
抄録
がん罹患患者が増加するに伴って家系内にがん患者を抱える家族も増加傾向にあるが,「がん家系」という言葉がひとり歩きをして無用の心配を抱いている家族も少なくない.しかし,真の家族性腫瘍の家系内においては,正しい情報提供によりがんの早期発見・早期治療が可能となる.今回岩手県内の産婦人科医に家族性腫瘍についてのアンケートを行い,今後の家族性腫瘍の診療のあり方について考察した.その結果,産婦人科医が家族性腫瘍についてある程度は理解しているが,具体的に説明することに対して不安を抱いている現状が判明した.その要因としては「遺伝学的知識に自信がない」,「診療時間内に家族のことまで言及することは困難」,「目の前の癌患者の診断治療には支障がない」などが挙げられた.家族性腫瘍の診療を行う目的は,家族の過剰な心配を排除することと,家系内の遺伝的リスクの高い人を拾い上げて早期発見に繋げることである.そのためには家族性腫瘍についての知識の啓蒙が最重要課題であると考えられた.
著者関連情報
© 2012 The Japanese Society for Familial Tumors
前の記事 次の記事
feedback
Top