抄録
家族性大腸腺腫症患者6 人を対象に就学・就労・結婚・挙児というライフイベントにおける体験を調査した.その結果,治療開始による学生生活への影響,職業の選択・就職活動・出世や部署異動の際の就労への影響,パートナーとの関係で疾患が与える影響への懸念が示された.挙児希望に対する直接的影響はみられなかったが,子どもの成長とともに遺伝に対する心配は強くなっていた.ライフイベントは家系員の罹患経過および自身の身体状況とともに疾患の受け止めに影響しており,医療者は積極的にその体験に目を向け,ともに対応策を検討していく必要性があると思われる.