家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
総説
Gastric adenocarcinoma and proximal polyposis of the stomach(GAPPS)におけるAPC遺伝子生殖細胞系列バリアントおよび臨床病理学的特徴
三井 康裕寺前 智史田中 久美子藤本 将太北村 晋志岡本 耕一宮本 弘志佐藤 康史六車 直樹高山 哲治
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 19 巻 2 号 p. 53-59

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抄録

GAPPSは胃底腺ポリポーシスを背景とした胃癌を発生する新規の常染色体優性遺伝性疾患である.その原因としてAdenomatous polyposis coli(APC)遺伝子promotor 1Bの病的バリアントが報告されている.GAPPSの報告は欧米の家系のみであったが,近年になって本邦からも少数例認められるようになった.しかし,Helicobacter pylori感染率が高い本邦においては疾患の拾い上げが十分でない可能性がある.また,GAPPSの自然史は未だ不明な点が多く,臨床的に高い悪性度を示すものの,予防的胃全摘術の適応を含むサーベイランス方法は十分に定まっていない.今後,本邦をはじめ,より大規模な調査によりGAPPSの臨床病理学的特徴,病態およびサーベイランスのあり方について十分に検討する必要がある.

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© 2019 The Japanese Society for Familial Tumors
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