日本消化器集団検診学会雑誌
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高齢者胃癌検診の諸問題
舩坂 好平岡村 正造大橋 信治瀬川 昂生
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キーワード: 早期胃癌, 高齢者, 検診
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2003 年 41 巻 6 号 p. 598-604

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抄録

1991年から2000年までの10年間に当院で内視鏡的粘膜切除術 (EMR) または外科手術により治療された早期胃癌684例を, 年齢別に区分し比較することで, 高齢者胃癌の特徴を検討した。
高齢者では分化型腺癌が多く, IIC病変の割合が減少していた。また大きさ, 深達度, 脈管侵襲ともに壮年者より進行した状態で発見されていた。発見契機としては検診よりも医療機関での一般診療の際に施行された胃X線検査, 内視鏡検査によるものが有意に多くみられた。今回の検討で, 高齢者の早期胃癌は検診での発見例が少なく, 医療機関の一般診療による検査での発見が多いことより, 現行の検診体制では限界があるのではないかと思われた。さらにEMR症例に限れば高齢者胃癌の初回拾い上げ検査はほとんどが内視鏡検査であった。
検診対象の高齢化に対応すべく, いかに各個人に応じた検査方法の振り分けを行うか, 検診受診者数が多数であることの問題を解決するため, 患者をどのように絞込み, 内視鏡検診へ移行していくか, そして新たな検診対象者を開拓していくか, 等の課題が明らかとなった。これらを克服するため, 個別検診が重要となってくるのではないかと考えた。

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