日本産科婦人科内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5746
ISSN-L : 1884-9938
Chlamydia trachomatisを原因とる不妊症例における腹腔鏡下手術の有用性について
飯野 好明井尾 裕子三島 眞喜子近藤 一成高田 眞一古川 隆正中熊 正仁
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2005 年 21 巻 1 号 p. 185-188

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抄録
【目的】Chlamydia trachomatisは、感染症例が急増しているsexually transmitted diseaseであり、不妊症からみても女性側では、感染後卵管周囲や管腔内における癒着を残し、これにより卵管性不妊の原因となる症例が認められる。このような症例には腹腔鏡下手術が有効であることは明らかであるが、必ずしも感染した全例にそのような異常が認められるわけではなく、また腹腔鏡下手術の侵襲度も考慮すると、その施行症例の選択やタイミングについてはなかなか難しい。今回Chlamydia trachomatisが不妊原因と考えられた27例について腹腔鏡下手術を行い以下の知見を得た。
【方法・成績】不妊期間1年以上で、Chlamydia trachomatisの抗体陽性。Hormonalな異常以外に他に異常を認めない症例27例について腹腔鏡下手術を施行した。全例レボフロキサシン内服治療後HSGを行い、両側卵管閉塞である場合は直ちに腹腔鏡を施行したが、片側閉塞例や正常例は不妊治療を優先し、妊娠に至らなかった場合は、平均約10ヶ月で腹腔鏡下手術を施行した。27例中16例はIgA陽性、IgG陽性 (A群) 。11例はIgA陰性、IgG陽性 (B群) であった。HSGで異常を認めたのはA群6例 (37.5%) B群7例 (63.6%) であったが、その後に行った腹腔鏡にて不妊原因となる所見を認めなかった症例はA群で2例、B群で1例のみであった。特にB群の2例は、HSG施行時異常を認めなかったが、腹腔鏡施行時 (4ヵ月後、11ヵ月後) には両側とも卵管閉塞、水腫化を認めた。以上よりA群に比べB群に重症例、急速な増悪例を認めた。10例が腹腔鏡施行後妊娠した。
【結論】Chlamydia trachomatis抗体陽性例で、特にIgG抗体を持続的に有する場合は、卵管における癒着等の合併例が多く、従って早期の腹腔鏡下手術の施行が望ましい。
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