民族衛生
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原著
Community residents’ confidence in spending their end-of-life at home and the related factors : a cross-sectional study
Mahiro SAKAIHiroki YANASEAtsko TAGUCHITakashi NARUSESatoko NAGATA
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2015 年 81 巻 4 号 p. 122-133

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抄録

目的 : 本研究は, 地域住民における「終末期を自宅で過ごすこと」の自信と, その自信に関連する要因を明らかにすることを目的とした.
方法 : 福岡県の二自治体から無作為に抽出した20歳から79歳までの住民1,800名を対象に無記名自記式質問紙調査を実施した. 終末期は「余命は6ヵ月程度あるいはそれより短い期間, 身体の痛みは無く, 日常生活を送る上で介護を必要とする状態」と定義し, 調査対象者に自宅で最期まで過ごせると思うか否かを尋ねた. 対象者の属性を記述した後, 終末期を自宅で過ごすことの自信に関連する要因を明らかにするため, 多重ロジスティック回帰分析を実施した.
結果 : 返信のあった質問紙のうち, 有効回答数は1,168通であった (有効回答率, 64.9%). そのうち, 195名 (16.7%) は, 自身の終末期の療養場所として自宅を希望し, 自宅で最期まで過ごせると思うと回答した. 多重ロジスティック回帰分析の結果, 年齢がより高い者, 女性よりも男性の方が, 終末期を自宅で過ごすことに自信がなかった. 一方, 健康状態が良い者, および, 自宅療養の際に利用できる在宅ケアサービスのうち, 特に, 自宅療養を支援する病院や診療所があると認識している者, 24時間訪問看護サービスがあると認識している者は, 終末期を自宅で過ごすことに自信があることが明らかになった.
結論 : 分析全対象者1,168名のうち, 自宅で最期まで過ごせると思うと回答した者の割合は16.7%であった. 地域住民の「終末期に自宅で最期まで過ごせるという自信」を高めるためには, 在宅で利用可能な医療サービスの情報を住民に提供するなど, 広報の活用も行うことが必要である.

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© 2015 日本民族衛生学会
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