1.血族結婚或は同族結婚によつて單純メンデル劣性の遺傳特質が現われる場合に家系調査の結果に照して,その結婚が発現者を生むことの事前確率を計算する方式を示した.
2.この樣にして計算した事前確率と実際の出現の例とを対照して考察した.共通の祖先夫婦の一人がヘテロであつたという仮定の下に1/64の確率のときに現われている例が最も多いが1/2000という樣な低い確率であるのに実際に現われている例もある.
3.更に同胞に幾人もの罹患者の表われる事を考慮に入れるとこの確率は一層小さくなり,確率百万分の一以下のものが7例もある.
4.この樣な低確率の場合の出現に対して考慮すべき可能性に就て論議した.
