抄録
日本農村の血族結婚の濃厚さを調査するために,見本として著者が採つた栃木縣芳賀郡祖母井町では,全夫婦1279組中
1.血族結婚は大部分イトコ同士結婚(4親等)であり,4.77%を占めた.その他に,5親等0.24%,6親等の0.86%が見られた.
2.血族結婚の優生学的指標は
I=0.00312
I′=0.0512
3.本町では,61夫婦(4.77%)のイトコ結婚があり,イトコ半以下をも合せ考へると,64.11夫婦(5.12%)のイトコ結婚があるのに相当してゐる.
4.全町47部落中,イトコ結婚の10%以上に及ぶものは,四部落あり,その内特別な一つの部落では,20%に達し,全然他部落民と結婚せず,優生学上好ましからぬ状況を示した.
5.調査中血族結婚によると思われる全身白色症の一家系を発見した.