民族衛生
Online ISSN : 1882-868X
Print ISSN : 0368-9395
ISSN-L : 0368-9395
勞働作業の味覺に及ぼす影響について
第3報空腹時及び食後の骨味戚受性の比鞍
近内 康夫
著者情報
ジャーナル フリー

1956 年 22 巻 4 号 p. 95-98,A7

詳細
抄録

1.前報と同様な方法でサッカローゼを用い中等度労働作業者20名について昼食の前後各30分乃至1時間に甘味感受性を検査した.すなわち食前は血糖が食前の被検者固有水準にあるべき時期をとり,食後は血糖値が食餌性高血糖を現わす時期をねらつたものである.昼食前後の変動は甘味答申率(正答率)と採点方式とを併用して調べた.
2.甘味感受性には食事の前と後とで有意の差が認められない.
3.従つて前報に報告した夕に至つては甘味感受性が増すという結果は食事の関係に影響されていないものと考えられる.
4.昼食前後の正答数の差は増加,減少,不変のうち不変が多い.すなわち食前食後で血糖値が異つている筈であるにも拘らず甘味感受性の変化は確証できない.
5.喫煙の習慣と甘味感受性の変化との間にも有意の差はみられない.
6.自覚症候としての疲労感は昼食の前と後とで全く変化を認めない.
7.従つて前報に於て報告した疲労による甘味感受性の上昇という結果は食前食後というような検査時期に影響されたものではない.即ちこの点に顧慮なく,この方法を集団の疲労検査として用いることが出来る.

著者関連情報
© 日本民族衛生学会
次の記事
feedback
Top