1986 年 52 巻 2 号 p. 92-100
日本人の皮下脂肪厚の性・年齢別度数分布を作成するという遠大な計画の一環として幼児(3,4,5,6歳児)の皮脂厚を計測した.1985年6月・上旬から9月中旬にかけて,武蔵野市(447人),那覇市(416人),旭川市(578人)の保育所・幼稚園の幼児・園児1,471人(男児785,女児686)を対象に,5部位の皮脂厚を計測した.なお,機器としてはA-mode式超音波皮脂厚計を用いた. 主なる結果は下記の通りである. (1)超音波皮脂厚計による計測としては本邦初の,そしておそらく世界でも初めての幼児の5部位(biceps, triceps, subscapula, suprailiac, thigh anterior)の度数分布を作成した. (2)幼児(3~6歳)では,5部位すべてにおいて女児の皮脂厚が男児の皮脂厚より厚い. (3)幼児(3~6歳)では,男女共に,身長と皮脂厚の間には,ほとんど関連は認められない.また,体重,Kaup指数と皮脂厚の間にはすべて有意な正相関がある.ただし,Kaup指数の方が体重よりも皮脂厚値に対して強い正相関がある.