民族衛生
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我が国の糖尿病訂正死亡率の地域差と関連のある栄養因子について
吉村 武三好 保今木 雅英藤井 正信田村 隆教中村 武夫堀 義治棚田 昌俊当宮 辰美
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1986 年 52 巻 3 号 p. 133-141

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抄録

 糖尿病の誘発因子として食事,肥満,感染症,精神的ストレス,ある種の薬物,妊娠などがあげられているが今回,糖尿病発症に及ぼす要因のうち最も重要なものと考えられる食生活中の栄養素摂取量と糖尿病訂正死亡率の関係を国民栄養調査結果により地域ブロック別に検討した. 1)地域ブロック別にみた栄養素摂取量と糖尿病訂正死亡率の相関係数を見ると,男子は動物性蛋白質と有意な正の相関,ビタミンB1とは有意な負の相関が認められた.女子,男女計では蛋白質,動物性蛋白質の間に有意な正の相関,ビタミンB1とは負の相関が認められた.さらに重回帰分析を用いて関連する各因子の相対的な重みを検討すると,男子では動物性蛋白質,炭水化物,ビタミンB1が選択され動物性蛋白質,炭水化物とは有意な正の回帰,ビタミンB1とは有意な負の回帰を示した.女子においては,動物性蛋白質,炭水化物,ビタミンA,ビタミンB1,ビタミンB2であり,動物性蛋白質,炭水化物,ビタミンAは有意な正の回帰,ビタミンB1,ビタミンB2は有意な負の回帰を認めた.男女計は動物性蛋白質,炭水化物,熱量,ビタミンAとは有意な正の回帰,ビタミン,ビタミンB2とは有意な負の回帰を示した. 2)食品群別摂取パターンと糖尿病訂正死亡率との関係は米飯型で,さらに主食偏重型の食生活パターンは糖尿病訂正死亡率が低い傾向にあり,逆にパン,めん類型で副食品多食型の食生活パターンは糖尿病訂正死亡率が高い傾向にあった.

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