植物工場学会誌
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コンピュータシミュレーションによる設備投資計画 (第1報)
ソフトの開発ときのこ栽培環境の解明
松山 正彦寺澤 泰堀部 和雄
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2000 年 12 巻 2 号 p. 126-133

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抄録

本報では, きのこの栽培調整や形状制御を可能とする環境制御のための適正な設備投資を目指し, これまでの研究成果にもとづき, 環境制御状態と空調機稼働状態を示すシミュレーションソフトを開発するとともに, 栽培瓶数15万本クラスの標準的規模のきのこ工場を例にとり, 栽培環境制御の実態を明らかにした.
1.現状のきのこ栽培室では, きのこから発生した炭酸ガスを外気で希釈してるので, 外気導入により, 夏季昼下がりはわずか1~2分, 冬季明け方は2~6分で室内環境が不適正になる.したがって, きのこと他の野菜類との同室栽培により炭酸ガス濃度の調整を行い, 設備投資を抑えることが重要な課題である.
2.夏季昼下がり, 栽培室は0.5m3/s換気扇, 21kW冷房機により, 炭酸ガス濃度 (4352, 4468, 4585) ppm, 温度 (21.7, 21.9, 22.0) ℃, 湿度 (98.0, 99.3,100.0) %に制御できた.このとき, 実際の幾多の工場で発生しているようなパワー過不足を生じなく適正環境となる.また加湿器は必要なかった.稼働率は換気扇89.2%, 冷房機96.2%であった.
冬季明け方, 冷房機を使用しないと温度が目標上限を若干越える (約0.2℃, 3~4min/h).0.5m3/s換気扇, 21kW冷房機, 6kW暖房機, 19kg/h加湿器を使用すれば, 湿度は (67.6, 68.6, 70.0) %になるが, 夏季と同様に適正に制御できた.稼働率は換気扇89.2%, 冷房機5.6%, 暖房機86.4%, 加湿器92.1%であった.

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© 日本生物環境工学会
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