植物工場学会誌
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電気分解水が水耕植物の生育におよぼす影響 (第2報)
電解水希釈養液が水耕コマツナの生育におよぼす影響
松尾 昌樹島 淳人
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1994 年 6 巻 2 号 p. 134-141

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抄録

電解水の陽極水, 陰極水およびその混合水を用いてコマツナを水耕栽培した.電解水の理化学的特性と無機成分を測定し, 生育量と電解水の特性との関係を検証した.
1) pHが4-9の範囲の電解水は, 2-4日でその理化学的特性を失い, 植物への影響力を失った.
2) 播種後10日目まで電解水のみで育苗後, 水耕装置に定植し, 電解水に水耕用肥料を混入した養液で無調整・無交換のまま栽培した場合は, 一部を除き電解水の影響はみられなかった.
3) 電解水中の無機成分は陰極水に陽イオン, 陽極水に陰イオンが多いが, 肥料を混入するとその濃度差は現れなくなり, 無機成分濃度の差により生育に差が生じるとは考えにくい.
4) 電解水に肥料を混入するとpHは6.25付近に揃うので, pHにより生育に差が生じるとは考えにくい.
5) 電解水養液を頻繁に変えることで電解水の特性が継続的に植物におよぶようにすると, 酸化還元電位 (ORP) が高い処理区では生育を抑制し, ORPの低い区では促進効果がみられた.ゆえに, ORPと生育促進および抑制の間には相関関係があると推察される.

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© 日本生物環境工学会
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