1997 年 9 巻 1 号 p. 36-43
レタスの水耕栽培において, 子葉や茎頂がキューブ表面に長期間触れることにより生育障害が発生した.本葉が4枚展葉するまでに子葉がダメージをうけると収量が低下した.この障害により収量が低下するばかりでなく, 成長量の個体問格差が増加した.生育障害は, キューブ上部面に水耕液が蒸発してできた高濃度の集積塩に子葉や茎頂が接触することにより発生すると考えられた.キューブの表面に被覆処理することでこれらの障害を回避できた.植物工場等の高度施設栽培では, 計画的生産を阻害する要因を徹底的に除去することが重要である.さらに, 個々の植物の成長を極大化かつ均一化する栽培技術とともに, 生産の管理技術として生育異常を早期に検知するための成長モニター技術も重要であると考える.