日本労務学会誌
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特別寄稿Ⅰ
問題の解決の「鍵」は現場に―実証的な労働研究―
佐藤 博樹
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2017 年 18 巻 2 号 p. 4-17

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ABSTRACT

This article provides an overview of my past and present research going back to my graduate student years. It is not possible, due to the limited space available, to revisit every research theme I worked on from Industrial Relations to Human Resources Management. This article focuses on my work on trade unions, non-standard employment, work-life-balance, and diversity management.

1. はじめに:研究関心,研究課題,研究方法

日本労務学会誌の前編集長からの執筆依頼には,研究論文ではなく,「これまでの研究の振り返りやまとめ,新たに取り組んでいる研究の紹介,特に注目している企業の事例紹介,大学,大学院の教育に関する論考,その他関心のあること」と書かれていた。依頼のすべてを取り上げると散漫になるので,ここでは前者2つのテーマに限定したい。読者の皆様の研究に参考になるのか不安はあるが,折角の機会なので,研究者としてのキャリアが短い学会員(以下,若手1とする)を念頭に,書かせていただくことにしたい。

これまでの研究を振り返り,研究関心や研究方法の特徴を説明することから始めよう。研究関心や研究課題を振り返ると,技術系の研究との対比では,理学でなく,工学的な研究関心に基づいて研究課題を選択してきた。つまり,企業の人事担当者や現場の管理職などが直面する課題を念頭に,自分の関心に即して研究テーマを選択し,課題の解決につながる「解」を実証的に明らかにするような研究を行ってきた。最近は,学術雑誌とりわけ海外の査読付きジャーナルに掲載された論文から研究テーマを選ぶ若手研究者も散見されるが,そうではなく,研究課題を現場に求めてきたのである。同時に,課題を解決する「解」も現場にあるという信念もあった。もちろん,現場にある「解」は,理論的に整理されたり,有効な「解」として実証されたりしているわけではない。そのため,現場にある「解」の理論的な整理や実証が研究者の役割と考えてきた。

こうした研究課題の設定や研究関心のあり方は,大学院の修士論文で,ウエッブ夫妻(夫シドニーと妻ビアトリス)の労働組合論ではなく,「社会理論」を取り上げたことの影響が大きいと考えている(1982 ①2)。ウエッブ夫妻は,労働組合や労働運動の研究者として著名であるが,地方自治体や消費者組合の研究,さらには生産者と消費者の利害調整を踏まえた新社会の構想などの研究(S&B.Webb, A Constitution for the Socialist Commonwealth of Great Britain,1920;岡本秀昭訳,木鐸社1979)もあり,研究範囲は極めて広い。社会調査の方法に関する著作(S&B.Webb, Methods of Social Study,1932;川喜多喬訳,東京大学出版会1982)もあり,夫妻の具体的な実証研究と合わせて読むと,現場に「解」があるという信念が夫妻の研究の背後にあったことがわかる。ちなみに,ビアトリスは,社会学者のH・スペンサー(家庭教師であった;1980 ①)とA・コントの影響を強く受けていた(1982 ①)。夫妻は,イギリス社会学会の創設にも参加している。こうしたウエッブ夫妻を修士論文で取り上げたことで,その後の研究テーマの選び方や研究方法などに大きな影響を受けたと思う。

また,企業における人事労務関係の現場の課題を知る機会としては,30歳代から企業の人事労務の担当者向けの1年や半年など比較的長期の研修の指導講師3や,労働組合役員の研究会4に参加したことが有益だった。調査研究として,企業や労働組合を訪問する際に,現場の実務家から学んだことも多い。さらに,企業の方々が参加する研究会を組織してきたことや5,最近ではビジネススクール(中央大学大学院戦略経営研究科)で社会人を教える経験も現場の皆さんが直面している課題を知るうえで有益である。

研究方法は,実証的な方法で,共同研究を主としてきた。共同研究が多い点でも工学的な研究に近い。共同研究が多いため,共著や共同論文,さらに編著が多くなっている。共同研究のため,研究成果の公表に際しては,参加者全員が何らかの形で研究成果を論文等として発表できることを重視してきた。その結果,共同論文や共著が多くなったわけである。共同研究では,単独での研究に比較し,シナジー効果など生産的な成果が得られる利点がある一方,研究成果の公表などでは,参加者一人一人の貢献への配慮が必要で,難しい面があるのも事実である。多くの先輩研究者から学ぶことが多かったが,共同研究の進め方は移行錯誤で行ってきたともいえる。

また,人事管理や労使関係は,労働市場だけでなく,労働政策のあり方にも大きな影響を受けることがあり,労働政策の立案に参加したり6,企業の人事管理と労働政策の関係に関しても論文7を書いたりしてきている。

2. 1980年代半ば頃の研究関心

大学院生時代から様々な調査研究に取り組んできた。厳密にいえば,労働調査への最初の参加は大学の学部時代で,それは電機労連(現,電機連合)・労働調査協議会の共同調査として実施された日立製作所・日立工場での現場役付工などへのインタビュー調査である(1975 ①)。最近は,日本企業の人事管理に関する研究が多いが,それ以外に労働組合や労使関係に関する研究(後述する),東南アジアの日系企業の人事労務管理に関する研究(今野浩一郎,八幡成美,白木三秀らと;1984 ①など),戦後日本企業における品質管理の導入に関する歴史研究(中村圭介らと;1995 ②),技術者のキャリアに関する国際比較研究(今野浩一郎,八幡成美,福谷正信らと;1990 ②1991 ⑤1995 ①など),結婚など家族形成に関する研究(2010 ④)など様々な調査研究に取り組んできた8。すべてを紹介できないため,本稿では,人事管理の領域で取り組んできた研究の一部9と,労働関係の調査研究を主に紹介する。

1980年代半ばにおける自分の研究関心を振り返るために,当時執筆した小論を紹介したい。それは,「科学技術と経済の会」が刊行する『技術と経済』に掲載された「<調査屋>の関心領域 労働研究におけるフロンティアにかえて」(1986①)と題する小論である。1986年1月号のため,執筆時期は1985年の秋以降であろう。そこには「実証研究から労働研究に係わっているので,実証研究の領域で今後研究してみたいと思う事柄について触れる」と書かれており,当時の研究関心を知ることができる。その内容の骨子はつぎのようになる。

  • ① 企業の人材活用の変化として,内部労働市場の外部化と外部労働市場の積極的活用があることから,企業単位の雇用管理の研究だけでなく,企業グループや取引先を含めた雇用構造全体を把握する調査が求められる(定年延長に伴うホワイトカラーのキャリアの出向・転籍の増加など)。
  • ② 外部労働市場の積極的活用の結果,パート,アルバイト,派遣労働者など非正規従業員層の拡大があり,臨時工研究など非正規従業員層に関する従来の研究とは異なる視点が求められる。臨時工などの研究では,「正規従業員が唯一望ましい雇用形態であり,本来臨時工といった雇用形態はなくすべきだ,という問題意識が背景にあった」といえる。しかし,「近年の非正規従業員についてはそうした問題意識が当てはまらない層が多くを占めてきている」。「それぞれの雇用形態のメリットを認めて就業している層が増加している」。「従ってそれぞれの雇用形態の果たしている機能を位置づける研究関心が求められる」。非正規従業員のうちパートに関しては優れた研究が出てきているが,学生アルバイトに依存する産業群が拡大しており,学生アルバイトに関する研究は手薄である。
  • ③ 企業の人材活用における内部労働市場の外部化の進展を踏まえて,「内部労働力と外部労働力の組合せがどのような論理で,どのような水準で決まるのか」,両労働力の活用の「均衡点」が決まる論理などは興味深い研究領域である。
  • ④ 雇用構造の変化は,就業形態の多様化と同時に進展し,派遣就業など働き方の多様化をもたらしているだけでなく,今後は在宅勤務などの拡大も想定される。
  • ⑤ 雇用就業構造の変化と同時に職種構成が変化し,ホワイトカラー化が進展している。これまでの労働研究は,ブルーカラーを中心としたものであり,ホワイトカラーでは近年拡大している技術職等の研究が少ない。労働組合研究でも,従来は,ブルーカラーの労働組合の研究が主で,今後は,研究職など拡大する高学歴ホワイトカラーの労働組合に関して,組織ニーズ,組織化のあり方,運動原理の研究が求められる。
  • ⑥ 労働組合研究では,正規従業員による企業別組織というこれまでの組織原理にのりにくい,パートや派遣労働などにおける組織原理に関する研究が急務である。若者の組合離れなどに対応するために既存の労働組合においても組合の組織開発が必要で,労働組合には「<経営>の視点が欠けていた」が,今後は「組合員という消費者を対象としたマーケッティングが必要なのである」。
  • ⑦ 雇用労働でも自営業でもない新しい働き方として<第3の職業>ともいえる働き方に関する研究も必要となろう(シルバー人材センターやワーカーズコレクティブなど)。「働く動機が,経済性よりも,理念の実現,連帯維持,さらには自己実現などにあり」,「働き方では<拘束性>を嫌い」,他方で,何らかの収入を伴う働き方でボランティア活動ではない。こうした働き方の担い手は,「生活の基盤が他にあり,経済的な必要性が低い人々である」。「これまでの労働研究は,雇用労働や自営業が念頭におかれ,こうした<第3の働き方>を捉える分析装置を持ち合わせていない。新しい研究分野といえる」。

上記などを踏まえて,「労働研究の分野ではこれまで取り組んできた領域が縮小し,それ以外に未知の領域が拡大しつつあるのが現状で」,「そういう意味では研究のフロンティアに事欠かない分野といえる」としていた。

上記は,私の研究関心だけでなく,おそらく当時の研究動向を反映したものであろう。今振り返ると,私がその後の80年代後半から90年代に取り組んだ調査研究でもあった。他方で,後に継続的に研究対象としたワーク・ライフ・バランスやダイバーシティ経営への言及はない。しかし,後者の研究関心は,80年代後半や90年代前半に書かれた論文(1986 ②1988 ④1993 ①)で確認できる。

3. 労働組合研究:新しい課題と組合マネジメントに関する研究

労働組合への関心は,既に触れたように労働調査協議会でアルバイトとして調査を手伝うことから始まる(1975 ①1976 ①1977 ①)。研究者としての労働組合に関する本格的な調査研究は,中村圭介や神谷拓平との共同研究である。労働組合の組織率低下や労働組合無用論などを背景に,労働組合の労働条件向上効果の測定や,労働組合が直面していた組織率低下への対応策として組織化などを取り上げたものである。この共同研究は,当時,労働経済学者によって労働組合の効果に関する研究(Freeman & Medoff, What Do Unions Do? 1984 ; 島田晴雄・岸智子訳,日本生産性本部1987)が行われており,それにも触発されたが,我々の問題関心は日本の労働組合が直面している課題に実証的に応えることであった。その成果が,『労働組合は本当に役に立っているのか』(中村圭介,神谷拓平と共著,1988 ①)である。

労働組合の労働条件向上機能では,労働組合が組織された組織企業と労働組合が組織されていない未組織企業の労働条件の比較を既存調査の再分析で行った。労働組合の組織化の取り組みでは,企業のグループ経営への対応策としてのグループ労連・労協の組織化とその機能(1999 ⑥でも分析している),企業内での組織化として正社員のうち非組合員の専門職などの組織化と有期契約であるパート社員の組織化,さらには産業別組合による未組織企業の組織化の取り組みに関する実証的な研究からなる。残念なことでもあるが,こうした課題は現在の労働組合にも当てはまる状況が続いている。

組合員の組合離れなどを契機として,労働組合を経営体として捉えて組合マネジメントの視点を強調した研究にも取り組んだ。これは『ユニオン・アイデンティティ大作戦:労働組合改造講座』(川喜多喬と;1991 ③)や『エクセレント・ユニオン:1150 組合の活性化提言』(藤村博之と;1991 ①)である。前者では,総合電機メーカーの中央研究所の支部組合(高学歴ホワイトカラーの労働組合の研究として,1983 ②も)や地域ユニオンの活動と組織に関するインタビューなどを行っている。後者では,労働組合の存在意義の再構築として,当時のユニオン・アイデンティティの議論を踏まえて,労働組合の活性化のためのアイディアの提供を調査研究から行おうとしたものである。

労働組合研究から派生した研究として,労働組合が組織されていない未組織企業が拡大していたことから,未組織企業における労使関係の担い手として従業員組織の機能に関する調査研究を行った(1993 ②)。未組織企業に関する労使関係の研究は,企業経営における人事管理の役割として,企業の人材活用ニーズと労働者の就業ニーズの調整的機能を重視する人事管理論(1999 ①の第1章)につながることにもなる。この関心は,職場の上司と労働組合に苦情処理の研究としても行われた(2000 ①)。

4. 正社員以外の多様な働き方への関心:派遣,パート,アルバイト

企業における非正社員の活用や多様な就業形態に従事する人々の就業意識に関する調査研究は,大学院時代における量販店のパート社員やアルバイト社員の調査研究が出発点となる。それは,ゼンセン同盟(現在,UIゼンセン)の委託研究として,津田真澂研究室の院生が参加して実施した大規模意識調査(『チェーンストア労働者の実態と意識』1980)である。組合員の意識調査に関する報告書しか刊行されていないが,その前段として,企業や店舗での詳細なヒアリングが行われた。小売業における店舗での多様な人材活用を初めて学ぶ機会でもあった。パート社員の意識の多様性やその後のパート研究で取り上げられる基幹労働力化の動きも確認できた。

その後,飲食店などにおける学生アルバイトの研究では,主婦パートと学生アルバイトの組合せに着目した研究(1988 ②2000 ③)や,人材派遣業や派遣労働者に関する調査研究を行った(1986 ③)。後者の研究は,労働者派遣法が施行される前から行われており,最初は業務処理請負業として展開していた企業を調査したものである。

正社員以外の多様な就業者を調査研究するなかで,就業者の多様な価値志向を踏まえて,それぞれの働き方の評価を行うことの重要性を感じ始めていた。こうした考えが強くなったのは,「非正社員の働き方は不安定で,正社員の働き方が望ましい」とする通説への反発があったのも事実である。非正社員の働き方だけでなく,正社員の働き方にも改善すべき課題があり,前者の課題の改善策は,正社員化のみではないと考えていたことがある(2003 ③2004 ①)。大事なことは,非正社員の働き方の課題を明らかにし,就業者の価値志向に即して改善策を議論すべきと考えていた。この研究関心を最初に明確にした論文が「非典型労働の実態―柔軟な働き方の提供か?」(1998 ①)である。こうした問題関心は,1989年の座談会のための報告でも指摘していた(1989 ①)。こうした研究は,(2007 ②)につながることになる。就業者の価値志向を重視する研究関心は,社会学を正式に学んだことはないが,社会学を自己流で学んできたことや,国際比較を含めて労働者意識に関する論文(1982②1987 ①1991 ④)をいくつか書いていたことも関係しよう10

さらに,こうした研究関心は,人事管理として,正社員や非正社員という固定的な区分でなく,両者の区分の再構築の調査研究(佐野嘉秀,原ひろみらと;2003 ②2004 ⑦2008 ②2011 ④2013 ①)に展開されることになる。これは雇用区分の多元化に関する調査研究としては最初のものと考えている。

5. 人材サービス業に関する共同研究:派遣・請負に関する研究

労働者派遣法が施行される前から業務処理請負業として行われていた人材サービス業の調査を行った経験があることを述べた。人材サービス業に関する本格的な研究は,東京大学在職中に,社会科学研究所に人材ビジネス研究寄付研究部門11(2004年4月から2010年3月までの6年間12)を設置したことに始まる。人材活用を研究するなかで,企業の人材活用において,有期契約社員の活用に加えて,人材サービス業が提供する労働サービスの利用の円滑化が重要になると考えたことがある(2001 ④2004 ②など)。企業の人材活用が,直接雇用によるだけでなく,派遣業や請負業,さらに職業紹介業などの人材サービス業に依存する部分が拡大しつつあったことによる。他方で,派遣業や請負業に関しては,不安定雇用を創出するビジネスとして,マスコミなどでは,批判的な論調も目立った。しかし,こうした批判は,断片的な情報に基づくもので,派遣業や請負業,さらには派遣業などの就業者の実態に関する調査研究は皆無に近かった。こうした研究状況を解消することを意図して,上記の寄付研究部門を設けることにしたのである(これとは別に電機総研での研究として2001 ⑤がある)。

寄付研究部門では,派遣業や請負業を中心として,人材サービス業と同業における就業者だけでなく,人材サービス業を活用する企業に関しても,アンケート調査に加えて,事例研究による実証的な調査研究を多数実施した。例えば,無期雇用の派遣技術者を活用している企業の開発職場における活用実態に関する事例研究などをあげることができる。寄付研究部門の研究成果は,学術研究として発表しただけでなく,人材サービス業の経営者や人材サービス業を活用する企業,さらには,行政担当者などが参加できる成果報告会を毎年開催し,社会的に還元する努力を行った。さらに,寄付研究部門の役割として,人材サービス業に関して研究を行う若手研究者の育成を考えていた。そのため,寄付研究部門では,部門で雇用した専任の准教授と助教だけでなく,東京大学以外を含めて大学院生など若手研究者が参加し,調査研究できるような運営を行った。こうした研究者のなかからのちに,政府の労働関係の審議会や研究会に参加する研究者が育った。

寄付研究部門の調査研究は,紙媒体だけでなく,調査研究の報告書13は,寄付研究部門のホームページで公開した14。さらに研究書として2冊(2010 ②2014 ②)を刊行した(他に2004 ⑥2005 ①2006 ④)。寄付研究部門は,人材サービス業の社会的機能に関する実証的な研究と同時に,この分野の研究者を育成するという当初の目的をある程度まで実現できたと自負している。こうした研究成果を社会的に還元することを意図して,中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール)に「人材サービス業論」を2017度に開講した。私を含めて4名の講師が分担して講義を行うが,講師は寄付研究部門に参加した研究者が主となる。講義は,科目履修が可能であることから,企業の人事担当者や人材サービス業の担い手が,人材サービス業の社会的機能に関して学べる機会や両者の議論の場となることを期待している。

6. 両立支援からワーク・ライフ・バランス支援,さらにダイバーシティ経営へ:働き方改革から人事制度改革へ

ダイバーシティ経営につながる研究の出発点は,ワーク・ライフ・バランス(WLB)の研究にあるが,当初は,育児休業制度など両立支援に関する研究から始まった。両立支援制度に関しては,①ファミリーフレンドリー企業研究会(1997年度;今田幸子,脇坂明,武石恵美子らと),②育児休業制度の円滑な利用に関する中小企業における事例研究(2000年度;脇坂明,上林千恵子らと),③女性雇用管理調査の再分析(2000年度;脇坂明,武石恵美子,黒澤昌子らと),④男性の育児休業取得促進に関する調査研究(2002年度;脇坂明,武石恵美子,八代充史,松浦民恵らと),⑤両立支援施策と企業業績に関する研究(2004年度・2005年度;脇坂明,武石恵美子,松原光代らと),⑥育休取得や短時間勤務利用者の上司である管理職の研究(2005年度;矢島洋子と),⑦育休取得者や短時間勤務利用者の評価・処遇に関する調査研究(2008年度;武石恵美子,矢島洋子らと)など多くの研究に参加した。②の研究からは,育休取得者が出たときに職場での対応策に関する知見を現場から学ぶことができ,⑥や⑦からは両立支援制度の円滑な利用のためには,評価制度や処遇制度の見直しや上司である管理職の役割の重要性に気が付くことができ,①,③の研究からは両立支援制度と活躍支援(能力開発機会)を車の両輪として推進することが不可欠なことなどを学んだ。後者の点は,⑤の研究でも確認できた。こうした研究成果は,研究書(2008 ⑥)や新書(2004 ④)として刊行した。

両立支援制度に関する数多くの調査研究に参加することを通じて,次第に両立支援という制度よりも働き方のあり方を含めたWLB の重要性に気が付き,研究もWLBにシフトしていった(2007 ①2008 ①)。当時,政府などによる「仕事と生活の調和憲章」の策定に参加したことも影響していよう。同時に,海外では,大学などにWLBに関する研究センターが多く存在するにもかかわらず,日本にはそうした組織がないことに気が付き,日本におけるWLBに関する研究組織の設置を考え始めた。

WLBに関する研究組織を民間企業6社との共同研究として,東京大学社会科学研究所にワーク・ライフ・バランス推進・研究プロジェクトを2008年10月に設置した。この組織は,ワーク・ライフ・バランス&多様性推進・研究プロジェクトと組織名称を変更し,2017年度は31社との共同研究として,中央大学大学院戦略経営研究科で継続して運営されている。プロジェクト名に研究だけでなく,推進を入れたのは,企業の取り組みを支援するという意味合いからである。そのため,プロジェクト参加企業の取り組みを支援するだけでなく,研究成果を企業の多くに活用していただくために,プロジェクト参加企業以外も参加できる成果報告会を毎年1回開催している。4つから5つの分科会と全体会からなる午後半日のイベントで,300人程度のダイバーシティ推進室や人事セクションの担当者が参加している。ダイバーシティ推進室などの担当者に対して,実証的な研究に基づいた施策の提案を心掛けている。そのため,研究成果を学会報告や論文や一般書として公表するだけでなく(2010 ⑤2011 ①2012 ③2014 ①),それに基づいた提言をこれまで多数公表している。提言には,部下のWLB 支援を行う管理職の重要性,短時間勤務者のマネジメントのあり方,仕事と介護の両立支援,女性のキャリア形成支援,転勤施策などがある。

最近は,WLB支援からダイバーシティ経営へと研究の関心をシフトさせただけでなく,ダイバーシティ経営を企業に根付かせるためには,働き方改革(2011 ①)に加えて,人事制度の改革の必要性を認識するようになってきている(2016 ①2017 ①)。ダイバーシティ経営,つまり多様な人材が活躍できる企業組織とするためには,働き方改革が不可欠となることは理解しやすいであろう。それは,望ましい社員の人材像と働き方が対応することによる。言い換えれば,いつでも必要なときに残業できる社員と残業を前提とした働き方の改革である。同時に,日本企業,とりわけ大企業の人事制度は,特定の社員像を想定して設計,運営されていることが課題と認識するようになった。日本の大企業であれば,会社の人事権による転勤を受け入れることができる社員を想定しており,転勤を受け入れることができる社員を前提とした転勤制度の運用ともいえる(2017 ①)。つまり,ダイバーシティ経営として多様な人材を受け入れ,それぞれの社員が仕事で能力を発揮し,活躍できるようにするためには,働き方改革に加えて,人事制度の改革が必要なのである。こうしたことから,最近は,ダイバーシティ経営に適合的な人事制度の研究を科研費で行っている(武石恵美子らと)。

7. これからの労働研究:取り組みたい研究課題

大学院在学時から40年ほど様々な調査研究に従事してきた。調査研究に基づいた論文や研究書だけでなく,人事労務管理(1999 ①2000 ⑤2002 ①2009 ①)や産業社会学(2004 ③)の基本的なテキストやリーディングスを共著・編著として刊行し,日本の人事管理や関係を海外に紹介する英文書(1997 ①)も編集した。さらに,企業向けの研修用のDVD もこれまで5巻監修(松浦民恵らと)した。最近のDVD では,仕事と介護の両立支援やカップルでの子育てと働き方改革などがある(2017 ④)。ダイバーシティ経営を職場に根付かせるためには,企業のダイバーシティ推進室や人事セクションだけの取り組みでは不十分で,職場の管理職の意識や行動が変わることが「鍵」となると考えていることがある。職場の管理職が,広義の人事管理の担い手であることによる。人事管理の担い手である管理職の意識や行動を変えるツールとして,研修用のDVDを監修した。これまでと同様に今後も,調査研究の成果を,企業の職場レベルまで浸透させる取り組みを担いたいと考えている。

ここ10年を振り返ると事例研究に取り組む時間が極めて少なかったと反省している。そのため,今後は,事例研究を重視したいと考えている,それは,現場に学ぶという視点を生かすためには,事例研究が不可欠となることによる。データ分析に基づく研究を有益なものとするためにも,事例研究が必要になる。しかし,事例研究とデータ分析の両方に関心のある研究者が極めて少ないことも気がかりなことである。東京大学社会科学研究所に在職中,研究者が自分でデータを集めなくても,データアーカイブのデータを使用して2次分析で研究ができる研究環境を整備することに取り組んできたが151995③2000 ④2006 ①),そのことが安易なデータ分析を可能とし,データの背景にある現実への関心が希薄な論文を生んでいる面もあり,複雑な気持ちでもある。この点の改善を研究者に期待したい。

事例研究に取り組みたいと記したが,関心のある研究テーマは,企業が必要とする新しい人材像の確定とその育成策である。新しい人材像として,柔軟性,知的好奇心,学習意欲の3つを具備した社員を想定している。不確実性の高い企業環境の下,企業が存続・発展していくためには,企業が社会経済環境の変化に適応する必要があり,社員には上記の3つが不可欠と考えていることがある。特定の業務に求められる職業能力ではなく,広義の変化対応力である。一般的には,加齢によりこうした広義の変化対応力は低下すると考えられるが,年齢を重ねてもこうした変化対応力が低下しない人材に関する研究を行いたいと考えている。もう1つのテーマは,バウンダリー・マネジメントである。仕事をする時間と仕事をしない時間の境界のマネジメントである。いつでもどこでも仕事ができる環境が整備される中で,仕事をしない場所と時間を自己マネジメントすることの重要性が高まっていることによる。電機連合の電機総研のプロジェクトでは,この2つの研究テーマに取り組みつつある(島貫智行,松浦民恵ら)。近いうちに日本労務学会の大会で報告できればと考えている。

このほかにも取り組みたい研究テーマは多数あるが,それは企業秘密として開示を控えることにしたい。

(筆者=中央大学大学院戦略経営研究科教授)

【注】
1  「若手」は年齢を意味するのでなく,研究者としてキャリアが短い者を指す。具体的には,大学院の修士課程以降の研究歴を想定している。

2  本稿での文献の記載は通常と異なり,私の著作を参照する場合,共著や編著を含めて,原則として刊行年と文献番号のみを記載する。そのため文献リストは刊行年順とした。私の著作以外の著作は本文に掲載した。

3  例えば,日本生産性本部経営アカデミーの人事関係のコースのグループ指導(1986年,1988年から1990年)やコーディネーター(1997年から2002年),また日本能率協会人事革新研究会のコーディネーター(1999年,2000年)を担当した。

4  全国労働生産性会議や社会経済生産性本部(当時)の労働組合役員の研究会への参加などが有益だった。

5  後述するように,東京大学社会科学研究所在職中の人材ビジネス寄付研究部門での研究活動や,民間企業との共同研究である中央大学での「ワーク・ライフ・バランス&多様性研究・推進プロジェクト」(東京大学社会科学研究所で「ワーク・ライフ・バランス研究・推進プロジェクト」として開始)での企業の皆さんとの交流機会が有益であった。

6  厚生労働省の労働政策審議会や研究会に参加し,男女雇用機会均等法,パート労働法,労働者派遣法,育児・介護休業法などの立案に参加してきた。また,内閣府の男女共同参画会議(男女共同参画基本計画など)や仕事と生活の調和推進官民トップ会議(仕事と生活の調和憲章など)などにも参加した。

7  最近では法律関係の雑誌にも論文(2015 ①)を掲載している。

8  1980年代までに参加した調査研究は,下田平裕身ほか『労働調査論:フィールドから学ぶ』(日本労働協会1989)の第3部「われわれが関わった労働調査一覧」を参照されたい。

9  本稿で言及していない労働関係の研究では,労働時間(1988 ③1997 ②2001 ①2017 ③),成果主義(1999 ⑤),自営業・個人請負・起業(1987 ②1993 ③1999 ⑦2000 ③2012 ②),介護分野の雇用管理(2008 ④),人材育成(1987 ③1990 ①2003 ①2006 ②2010 ①),高齢者雇用(1987 ②),人事管理の戦後史(2004 ⑤),労働者の権利に関する認知度(2004 ⑧2008 ③)などがある。

10  一橋大学では社会学部に在学していたが,アメリカ社会学の講義はなく,マルクスやウェーバーに関する学説史としての講義が主で,社会学を正式に学んだことはない。しかし,法政大学在職中に,稲上毅教授の代行として,2年間ほど,社会学理論や現代社会論を講義した経験がある。また,千葉大学や東京都立大学で,社会学関係の講義を非常勤で教えた。

11  当時,派遣業として急成長したスタッフサービスからの奨学寄付金による。スタッフサービスは,のちにリクルートに買収された。寄付研究部門は,私が運営を統括し,専任の准教授1名,助教1名,事務スタッフ1名から構成された。

12  2010年3月以降は,科研費でさらに3年間,調査研究を継続した。

13  刊行した報告書は,研究シリーズが17冊,資料シリーズが6冊である。

14  現在でも東京大学社会科学研究所のホームページから閲覧可能である。

15  SSJデータアーカイブで,執筆時点では約1600のデータセットが提供されている。

【参考文献】(刊行年別に掲載)
  •   ・1975
  •   ① 「職業生活」(第4回組合員意識調査:第2次報告「作業集団と労働意識」1975年2-3月調査)『調査時報(電機労連)』電機労連調査部・労働調査協議会,Vol.116, pp.101-107.
  •   ・1976
  •   ① 「職業問題とその処理行動」「職業生活」『労働疎外に関する調査報告書:労働意識と労働疎外について』全国電気通信労働組合,pp.87-124,pp.125-144.
  •   ② 「組合員の社会的性格」『労働意識調査報告書:1975 年9-11 月実施』(主査・海野幸隆)国鉄動力車労働組合「調査資料」No.57,pp.9-56.
  •   ・1977
  •   ① 「企業内労働市場の構造:能力主義管理と年功秩序」『大手製鉄所の労働者と労働組合』(主査・海野幸隆),日本鉄鋼産業労働組合連合会・労働調査協議会,pp.1-17.
  •   ・1980
  •   ① 「ビアトリス・ウエッブ:H・スペンサーの弟子から社会主義者への歩み」『一橋研究』一橋研究編集委員会,Vol.5,No.2,9月,pp.129-144.
  •   ② 「男子社員の実態と意識」『チェーンストア労働者の実態と意識』ゼンセン同盟,7月,323p.
  •   ・1982
  •   ① 「ウエッブ社会理論の再構成:テクノラート・ウエッブからモラリスト・ウエッブへ」『日本労働協会雑誌』Vol.22,No.9,9月,pp.53-64.
  •   ② 「現代日本の労働者意識」津田真澂編『現代の労務管理と労使関係』有斐閣,pp.219-250.
  •   ③ 「労働者意識の国際比較」津田真澂編『現代の日本的経営』有斐閣,pp.57-93.
  •   ・1983
  •   ① 「労働組合の『発言』と組合類型」(梅沢隆と共著)日本労働協会編『80 年代の労使関係』日本労働協会(稲上毅・川喜多喬編『リーディングス日本の社会学(9)産業・労働』東京大学出版会,1987に再録)
  •   ② 「ホワイトカラー化と労働組合」『労働レーダー』Vol.7, No.5, pp.11-15.
  •   ・1984
  •   ① 「日系進出企業における経営現地化の現状と特徴:インドネシアにおける事例研究(上・下)」『研究資料月報』法政大学大原社会問題研究所,Vol.307,pp.1-17 & Vol.308,pp.3-14.
  •   ・1986
  •   ① 「<調査屋>の関心領域:労働研究におけるフロンティアにかえて」『技術と経済』科学技術と経済の会,Vol.1,No.227,1月,pp.56-58.
  •   ② 「仕事,個人そして『労働の人間化』」(稲上毅と分担執筆)法政大学大原社会問題研究所編『労働の人間化:人間と仕事の調和をもとめて』総合労働研究所,pp.222-258.
  •   ③ 「人材派遣業の実態」現代フリーワーク研究会編『人材派遣:法律と派遣ビジネスの実際』有斐閣,pp.17-31.
  •   ④ 「高齢者会社の現状と課題:60歳台前半への雇用継続の可能性」『日本労働協会雑誌』Vol.28, No.11,pp.34-41.(日本労働研究機構編『リーディングス日本の労働⑤雇用管理』日本労働研究機構,1999に再録)
  •   ・1987
  •   ① 「労働者の意識・価値観の変化」労働大臣官房政策調査部編『日本的雇用慣行の変化と展望(研究・報告編)』大蔵省印刷局,pp.47-72.
  •   ② 「高齢者の就業機会としての自営業セクター」『雇用の調整と管理』(季刊労働法別冊No.11),pp.13-27.
  •   ③ 「ソフトウェア産業における経営戦略と人材育成:人材育成体制とキャリア・パスの確立」(今野浩一郎と共著)『日本労働協会雑誌』Vol.29, No.7,pp.2-13.
  •   ・1988
  •   ① 『労働組合は本当に役に立っているのか』(中村圭介・神谷拓平と共著)総合労働研究所,259p.
  •   ② 「学生アルバイトの活用と就業の実態」『季刊労働法』No.149,10月,pp.106-116.
  •   ③ 「ソフトウェア業における労働時間の規定要因と時間短縮の課題」『日本労働協会雑誌』Vol.30,No.10,pp.26-36.
  •   ④ 「人事管理の複線化・多様化とQWL:異質化管理の確立を」日本労務学会年報編集委員会編『日本労務学会年報(第18回大会)』pp.24-30.
  •   ・1989
  •   ① 「就業形態の多様化と新しい働き方の台頭(学界展望:労働調査研究のフロンティア)」(報告と座談会)『日本労働協会雑誌』日本労働協会,Vol.31, No.2・3,pp.14-25.
  •   ・1990
  •   ① 『ソフトウェア産業と経営:人材開発と開発戦略』(今野浩一郎と共著)東洋経済新報社,168p.
  •   ② 生産性上級技術者問題研究委員会編『英国の技術者・日本の技術者:技術者のキャリアと能力開発』(分担執筆)日本生産性本部,120p.
  •   ③ 生産性上級技術者問題研究委員会編『ドイツの技術者・日本の技術者:技術者のキャリアと能力開発』(分担執筆)日本生産性本部,134p.
  •   ・1991
  •   ① 『エクセレント・ユニオン:1150組合の活性化提言』(藤村博之と共著)第一書林,157p.
  •   ② 『外国人研修生:研修制度の活用とその実務』(今野浩一郎と編著)東洋経済新報社,158p.
  •   ③ 『ユニオン・アイデンティティ大作戦:労働組合改造講座』(川喜多喬と共著)総合労働研究所,1991,251p.
  •   ④ 「労働者の価値観・行動様式の変化と労働組合の対応」『日本労働研究雑誌』Vol.33,No.6, pp.39-47.(日本労働研究機構編『リーディングス日本の労働③労働組合』日本労働研究機構,2001 年3 月に再録)
  •   ⑤ 生産性上級技術者問題研究委員会編『米国の技術者・日本の技術者:技術者のキャリアと能力開発』(分担執筆)日本生産性本部,106p.
  •   ・1993
  •   ① 『ゆとりと働きがい』日本労働研究機構・日本労使関係研究協会,148p.
  •   ② 「未組織企業における労使関係:労使協議制と従業員組織の組織状況と機能」『日本労働研究雑誌』Vol.36, No.10,pp.24-35.
  •   ③ 「イギリスにおける新規開業の動向」国民金融公庫総合研究所編『平成6年版 新規開業白書』中小企業リサーチセンター,pp.157-178.
  •   ・1995
  •   ① “Corporate Careers of R&D Personnel,” P.Shapira ed., The R&D Workers : Managing Inovation in Britain, Germany, Japan and the United States, Quorum Books ; Westport, pp.45-58.
  •   ② 『日本企業の品質管理:経営史的研究』(宇田川勝・中村圭介・野中いずみと共著)有斐閣,226p.
  •   ③ 「データバンクの設立を」『労働統計調査月報』Vol.47, No.3, 554, pp.1.
  •   ・1997
  •   ① Japanese Labour and Management in Transition : diversity, flexibility and participation, with MariSako, London :Routledge,p.344.
  •   ② 「労働時間制度の弾力化が機能する条件」『日本労働研究雑誌』Vol.39, No.9, pp.44-53.
  •   ・1998
  •   ① 「非典型的労働の実態:柔軟な働き方の提供か?」『日本労働研究雑誌』Vol.40, No.12,pp.2-14.
  •   ・1999
  •   ① 『新しい人事労務管理』(藤村博之・八代充史と共著)有斐閣,249p.(第5版まで刊行)
  •   ② 『リーディングス日本の労働⑤雇用管理』(山本茂・八代充史・本田一成と編著)日本労働研究機構,400p.
  •   ③ 「日本型雇用システムと企業コミュニティ:国際比較とその行方」稲上毅・川喜多喬編『講座社会学6 労働』東京大学出版会,pp.33-73.
  •   ④ 「企業のリストラクチャリングの現状と課題:雇用システムの変化と間接部門の効率化」『ジュリスト』有斐閣,No.1149,pp.30-37.
  •   ⑤ 「成果主義と評価制度そして人的資源開発」『社会科学研究』東京大学社会科学研究所,Vol.50,No.3,pp.101-116.
  •   ⑥ 「労連はいかなる機能を果たしているのか?:自動車産業と電機産業の比較から」(酒向真理と共著)『季刊労働法』Vol.188,pp.89-98.
  •   ⑦ 「新規開業と経営革新」稲上毅・八幡成美編『中小企業の競争力基盤と人的資源』文眞堂,pp.154-178.
  •   ⑧ 「いま,なぜ自営業か?」『Works』リクルートワークス研究所,No.34,pp.8-9.
  •   ・2000
  •   ① 「個別的苦情と労働組合の対応:職場の上司と労働組合」『日本労働研究雑誌』Vol.42, No.12,pp.2-12.
  •   ② 『企業保障と社会保障』(武川正吾と編著)東京大学出版会,282p.
  •   ③ 『店長の仕事:競争力を生みだす人材活用』(鎌田彰仁との編著)中央経済社,160p.
  •   ④ 『社会調査の公開データ:2次分析への招待』(石田浩・池田謙一との編著)東京大学出版会,260p.
  •   ⑤ 『マテリアル人事労務管理』(藤村博之・八代充史と共著)有斐閣,173p.(後に新版を刊行)
  •   ・2001
  •   ① 「ホワイトカラーの働き方と裁量労働制の適用可能性:成果主義が機能するための条件」『組織科学』,Vol.34,No.3,pp.42-52.
  •   ② 「再雇用制度は使命を終えたのか?:その活性化のために」佐野陽子・嶋根政充・志野澄人編著 『ジェンダー・マネジメント:21世紀型男女共創企業に向けて』東洋経済新報社,pp.289-303.
  •   ③ 「日本における『ファミリーフレンドリー』施策の現状と課題」『季刊家計経済研究』Vol.50春,pp.11-17.
  •   ④ 「視点 外部労働市場依存型の人材活用と人事管理上の課題」『ジュリスト』No.1211,pp.2-4.
  •   ⑤ 『IT時代の雇用システム』(編著)日本評論社,213p.
  •   ・2002
  •   ① 『人事管理入門』(今野浩一郎と共著)日本経済新聞社,313p.(後に第2版を刊行)
  •   ② 「キャリア形成と能力開発の日米独比較」小池和男・猪木武徳編著『ホワイトカラーの人材形成:日米英独の比較』東洋経済新報社,pp.249-267.
  •   ・2003
  •   ① 『成長と人材:伸びる企業の人材戦略』(玄田有史と共編)勁草書房,190p.
  •   ② 「雇用区分の多元化と人事管理の課題:雇用区分間の均衡処遇」(佐野嘉秀・原ひろみと共著)『日本労働研究雑誌』Vol.45.No.9,pp.31-46.
  •   ③ 「正社員も非正社員もいなくなる」『Works』ワークス研究所,No.59,pp.9-10.
  •   ・2004
  •   ① 『変わる働き方とキャリア・デザイン』(編著)勁草書房,186p.
  •   ② 『パート・契約・派遣・請負の人材活用』(編著)日本経済新聞社,169p.(後に第2 版を刊行)
  •   ③ 『仕事の社会学:変貌する働き方』(佐藤厚と共編著)有斐閣,p.215.(後に改訂版を刊行)
  •   ④ 『男性の育児休業:社員のニーズ,会社のメリット』(武石恵美子と共著)中央公論新社,190p.
  •   ⑤ 「人事制度でたどる戦後史:1960年代,日経連はすでに今日的な人事制度を提案していた」『エコノミスト臨時増刊:戦後日本企業史:経済大国を築いた人々』毎日新聞社,Vol.82,No8, pp.106-110.
  •   ⑥ 「製造分野における請負企業の事業戦略と人事管理の課題」(木村琢磨・佐野嘉秀・藤本真と共著)『日本労働研究雑誌』No.526,pp.16-30.
  •   ⑦ 「雇用区分の多元化と賃金管理の課題」『社会政策学会誌』法律文化社,No.12,pp.60-82.
  •   ⑧ 「労働組合支持に何が影響を与えるのか:労働者の権利に関する理解に着目して」(原ひろみと共著)『日本労働研究雑誌』Vol.46,No.11,pp.54-70.
  •   ・2005
  •   ① 「ものづくりと人材活用:外部人材―競争力基盤の維持のために」工藤章・橘川武郎・グレン・D. フック編『企業体制(現代日本企業 1)』有斐閣,pp.105-123.
  •   ・2006
  •   ① 「データアーカイブの役割とSSJデータアーカイブの現状:実証研究における再現性を担保するために」(佐藤朋彦と共著)『日本労働研究雑誌』Vol.48,No.6,pp.42-54.
  •   ② 『人材育成としてのインターンシップ:キャリア教育と社員教育のために』(堀有喜衣・堀田聡子と共著)労働新聞社,200p.
  •   ③ 「新規高卒者の継続採用と人材育成方針:企業が新規高卒者を採用し続ける条件は何か」(原ひろみ・佐野嘉秀と共著)『日本労働研究雑誌』Vol.48,No.11,pp.63-79.
  •   ④ 「人材ビジネスの社会的機能と課題:雇用機会創出とキャリア形成支援」樋口美雄・財務省財務総合研究所編著『転換期の雇用・能力開発支援の経済政策:非正規雇用からプロフェッショナルまで』日本評論社,pp.27-54.
  •   ・2007
  •   ① 「労働意欲を左右するワーク・ライフ・バランス:仕事管理・時間管理の変革を通じた効率化を」『中央公論』中央公論新社,Vol.122,No.5,pp.168-177.
  •   ② 『不安定雇用という虚像:パート・フリーター・派遣の実像』(小泉静子と共著)勁草書房,171p.
  •   ・2008
  •   ① 「ワーク・ライフ・バランスと企業によるWLB支援」山口一男・樋口美雄編著『論争 日本のワーク・ライフ・バランス』日本経済新聞出版社,pp.106-123.
  •   ② 「人材活用における雇用区分の多元化と処遇の均等・均衡の課題」『組織科学』Vol.41,No.3,pp.22-32.
  •   ③ 『バランスのとれた働き方:不均衡からの脱却』(編著)エーデル研究所,239p.
  •   ④ 「ケアの人事管理:雇用管理と報酬管理」上野千鶴子・大熊由紀子・大沢真理・神野直彦・副田義也編『ケア:その思想と実践⑥ケアを実践するしかけ』岩波書店,pp.177-196.
  •   ⑤ 「労働時間の現実と希望のギャップからみたワーク・ライフ・コンフリクト:ワーク・ライフ・バランスを実現するために」(原ひろみと共著)『季刊 家計経済研究』Vol.79, pp.72-79.
  •   ⑥ 『人を活かす企業が伸びる:人事戦略としてのワーク・ライフ・バランス』(武石恵美子と共編)勁草書房,186p.
  •   ⑦ 『ワーク・ライフ・バランス:仕事と子育ての両立支援』(編集代表:佐藤博樹)ぎょうせい,338p.
  •   ・2009
  •   ① 『叢書・働くということ 第4巻 人事マネジメント』(編著),ミネルヴァ書房,278p.
  •   ・2010
  •   ① 『働くことと学ぶこと:能力開発と人材活用』(編著)ミネルヴァ書房,229p.
  •   ② 『実証研究 日本の人材ビジネス:新しい人事マネジメントと働き方』(佐野嘉秀・堀田聡子と共編著)日本経済新聞出版社,604p.
  •   ③ 「人事管理研究における今後の重要課題」『日本労働研究雑誌』Vol.52, No.7, pp.54-58.
  •   ④ 『結婚の壁:非婚・晩婚の構造』(永井暁子・三輪哲と共編著)勁草書房,p.198
  •   ⑤ 『職場のワーク・ライフ・バランス』(武石恵美子と共著)日本経済新聞出版社,203p.
  •   ・2011
  •   ① 『ワーク・ライフ・バランスと働き方改革』(武石恵美子と共編著)勁草書房,212p.
  •   ② 「第3次男女共同参画基本計画の特徴と課題:女性の活躍の場の拡大のために」『ジュリスト』No.1424,pp.8-14.
  •   ③ 「市場環境や労働市場の構造変化と労働政策の課題: 企業の人事管理の視点から」『社会政策』社会政策学会,Vol.3,No.1,pp.55-66.
  •   ④ 「企業の人材活用の変化と非典型雇用」宮本みち子・小杉礼子編著『二極化する若者と自立支援』明石書店,pp.128-145.
  •   ・2012
  •   ① 『人材活用進化論』日本経済新聞出版社,295p.
  •   ② 「個人請負就業者の『労働者性』と就業選択」(佐野嘉秀・大木栄一と共著)『日本労働研究雑誌』Vol.54, No.7, pp.55-69.
  •   ③ 「ワーク・ライフ・バランスと働き方」盛山和夫・上野千鶴子・武川正吾編『公共社会学2 少子高齢社会の公共性』東京大学出版会,pp.253-269.
  •   ・2013
  •   ① 「多様な形態の正社員:非正社員と正社員のキャリアの連続に向けて」宮本太郎編『生活保障の戦略:教育・雇用・社会保障をつなぐ』岩波書店,pp.61-83.
  •   ・2014
  •   ① 『ワーク・ライフ・バランス支援の課題:人材多様化時代における企業の対応』(武石恵美子と共編著)東京大学出版会,320p.
  •   ② 『人材サービス産業の新しい役割:就業機会とキャリアの質向上のために』(大木栄一と共編著)有斐閣,329p.
  •   ③ 『介護離職から社員を守る:ワーク・ライフ・バランス支援の新課題』(矢島洋子と共著)労働調査会,200p.
  •   ・2015
  •   ① 「改正パートタイム労働法と企業の人材活用の課題」『ジュリスト』1476号,pp.37-41.
  •   ② 「改正労働者派遣法と派遣活用企業・派遣会社の人材活用上の課題」『ジュリスト』1487号,pp.26-31.
  •   ・2016
  •   ① 「ダイバーシティ経営と人材活用の課題:働き方と人事管理システムの改革が鍵」『季刊家計経済研究』家計経済研究所,Summer,111号,pp.2-11.
  •   ・2017
  •   ① 『ダイバーシティ経営と人材活用:多様な働き方を支援する企業の取り組み』(武石恵美子と編著)東京大学出版会,2017.
  •   ② 「慣行による異動の再検討を:古くて新しい課題:企業の人事権と転勤のあり方」『公明』5月号,137号,pp.26-31.
  •   ③ 「勤務間インターバルが労働者のワーク・ライフ・バランスに与える効果」(島貫智行と共著)『季刊労働法』258号,pp.168-180.
  •   ④ 『「働き方改革」とカップルの子育て』(松浦民恵と監修)日本経済新聞出版社.
 
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