抄録
Falcon Cell culture insertを用いて, ラット内皮細胞のIgE透過性に対する抗アレルギー剤の効果を検討した.内皮細胞を通過するIgEの透過係数は, クリアランス速度を基本として算出した.ヒスタミン (1×10-10M) に24時間暴露した内皮細胞のIgE透過係数は, ヒスタミン非存在下に比して著しく上昇した.ヒスタミンとazelastine hydrochloride (1×10-6M) を同時に暴露したIgEの透過係数は, ヒスタミンのみの暴露に比較して著しく減少した (p<0.05) .ヒスタミンによって亢進したIgE透過性は, suplatast tosilateとketotifen fumarateでは抑制されなかった.しかしながら, azelastine hydrochloride は内皮細胞のヒスタミンによるIgE透過性亢進を抑制する効果を示した.これらの結果から, IgEの血管透過性制御作用を具備した抗アレルギー剤は, アレルギー反応の制禦という観点からは有効な薬剤である.