保険学雑誌
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「民間医療保険の課題と将来」―平成18年度大会シンポジウム―
民間医療保険の役割
―日米の比較を通じて―
中浜 隆
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2007 年 2007 巻 596 号 p. 596_69-596_88

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抄録

日本では,公的医療保険(社会保険)が主流であり,民間医療保険はその補完的役割をおもに果たしている。今後,医療リスクが高くなり,公的医療保険の保障範囲が縮小され,患者の医療費負担が増加するならば,民間医療保険のニーズと役割はいっそう高まるであろう。
民間医療保険のおもな保障対象は,(1)公的医療保険における患者の自己負担,(2)公的医療保険が保障しない医療サービス,(3)長期入院等による就業不能に対する所得保障,である。そして,民間医療保険の特徴は,(1)保険期間は長期であること,(2)現金給付方式が採用されていること,(3)定額払い方式が採用されていること,である。
これらの点について,アメリカの民間医療保険(アメリカでは民間医療保険が主流である)と比較し,その状況を考察すると,日本の民間医療保険は今後もこうした特徴を基本的に維持しつつ,その役割を果たしていくことが望ましいと考えられる。
今後の医療費の動向は,公的医療保険の改革と民間医療保険の役割(公的医療保険と民間医療保険の役割分担)および保険会社の医療保険業務に影響を与える基底的要因になるであろう。

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© 2007 日本保険学会
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