保険学雑誌
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「自由化後10年の検証」―平成20年度大会シンポジウム―
保険自由化の評価と消費者利益
―損害保険業を中心に―
堀田 一吉
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2009 年 2009 巻 604 号 p. 604_5-604_24

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抄録

戦後保険業に大きな影響をもたらした「護送船団行政」は,保険市場の安定的成長を保証してきた一方で,保険市場に非効率を生じさせる要因でもあった。その弊害を改め,保険自由化・規制緩和への政策転換が図られた。保険自由化後の保険市場をみると,(1)代理店販売チャネル改革,(2)市場集中化・寡占化,(3)損害率の上昇,経費率の減少,(4)料率競争の進行,(5)国内事業収益の相対的低下と海外事業進出への動き,などに顕著な変化が見られる。しかし,保険自由化は,全体として消費者利益の増大をもたらしたが,その配分は均等に及んだわけではなく,利益を享受できる者と,不利益を強いられる者とが明確に選別された。本稿では,保険自由化が保険業(とくに損害保険業)に及ぼした影響について,主として消費者利益の観点から評価をしつつ,今後の保険業の課題を述べる。

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© 2009 日本保険学会
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